Efficeonは、メモリコントローラやAGPコントローラを統合しているため、ノースブリッジは不要であるが、サウスブリッジは必要。MP70GではULiのM1563Mが採用されている。メインメモリは、標準状態でPC2700を256Mバイト実装している。メモリスロットは1基しかないため、メモリを増設する場合は、標準搭載の256Mバイトメモリモジュールを取り外して、代わりに512MB以上のSO-DIMMを装着する必要がある(メモリは最大1GBまで増設可)。
なお、Efficeonでは、コードモーフィングソフトウェア実行用にメインメモリから24Mバイト分が確保されるため、256Mバイトを搭載していても、実際に利用できるメモリ容量は232Mバイトとなる。
ビデオチップはMOBILITY RADEON 7500(ビデオメモリ32MB)を搭載。MOBILITY RADEON 7500は、Direct X 7世代のビデオチップであり、MOBILITY RADEON 9XXXなどの最新ビデオチップに比べると性能は劣るが、それでもこのクラスのノートPCで一般的に採用されている統合型チップセットと比べれば、3D性能描画ははるかに高い。
HDD容量は60Gバイトで、このクラスの製品としては大容量である(下位モデルのMP50Gは40Gバイト)。MP70Gが筐体に内蔵するDVDマルチドライブも魅力だ(下位モデルのMP50GはDVD-ROMコンボドライブ)。DVD-Videoの再生だけでなく、DVD-R/RW/RAMメディアへの記録が可能なので、データのバックアップからオリジナルDVD-Videoの作成までさまざまな用途に使える。
また、Windowsを起動せずにDVD-Videoや音楽CDの再生が可能な「INSTANT PLAY」機能を装備していることもAV機能を重視するMP70Gらしいところ。電源オフの状態で、左側面に用意されている「DVD/CDボタン」を押すだけで、INSTANT PLAY機能が起動するので、ポータブルプレイヤー感覚で気軽にDVD-Videoや音楽CDの再生が楽しめる。
INSTANT PLAY機能の起動はすばやく、筆者のテストでDVD-Videoの再生は28秒程度で開始された。また、付属のヘッドホンに付属するリモコンを利用すれば、巻き戻しや早送り、音量調節などの操作も可能になる。
ネットワークは、IEEE 802.11b/g対応無線LAN、100BASE-TX対応有線LAN、56Kbpsモデムと、一通りの装備を有している。無線LAN機能は、アセロスの高速化技術「Super G」にも対応。Super G対応のアクセスポイントと組み合わせることで、高いスループットを実現する。無線LAN機能は、[Fn]+[F1]キーでオンオフできる。必要のないときは無線LANモジュールをオフにして、バッテリーを長持ちさせることも可能だ。
インタフェースとして、USB 2.0×2と外部ディスプレイ出力を装備しているほか、MP70G内蔵HDDをほかのPCからUSB経由で外付けHDDとして使える「DirectHD」接続用端子も用意されている。カードスロットは、PCカードスロット(TypeII×1)のみ。PCカードスロットのフタはダミーカード式ではなく、内側に倒れ込む構造になっているので、フタを紛失する恐れがない。公称バッテリー駆動時間は約5時間で、十分満足できるレベルだ。
なお、上位モデルのMP70Gでは、オフィススイートの「Microsoft Office Personal Edition 2003」がプリインストールされている。
MP70Gのベンチマークテストの結果は以下の通りだ。比較用に、超低電圧版Pentium M/1GHzと統合型チップセットIntel 855GMを採用した富士通「FMV-BIBLO LOOX T70G」のスコアを並べている。なお、今回試用したMP70Gは試作機であるため、製品版とはパフォーマンスが異なる可能性があるので、そのあたり配慮して参照していただきたい。
FINAL FANTASY XI Official Benchamark2 | Mebius PC-MP70G | FMV-BIBLO LOOX T70G |
Low(640×480ドット) | 2091 | 計測不可 |
High(1024×768ドット) | 1315 |
Efficeonは、x86命令を直接実行するのではなく、コードモーフィングソフトウェアによってVLIW命令に変換してから実行するため、命令変換のオーバーヘッドがある。そのため、第1世代EfficeonのTM8600/1GHzでは、超低電圧版Pentium M/1GHzと比べて、やや性能が低かったのだが、MP70Gに搭載されているTM8800/1.6GHzは、実クロックが600MHzも高いため、超低電圧版Pentium M/1GHzを上回るパフォーマンスを発揮している。
Efficeonのコードモーフィングソフトウェアは、繰り返し実行される命令はより高度に最適化する仕組みになっているので、アプリケーション利用時の体感速度は、ベンチマークのスコア差以上に高速だと感じる可能性が高い。実際にいくつかのアプリケーションを動かしてみたが、動作はキビキビしており快適に利用できた。
また、MP70GはビデオチップとしてMOBILITY RADEON 7500を搭載しているため、3DMark2001 SEでは、統合型チップセットを採用したLOOX T70Gの約2倍のスコアを叩き出している。ハードウェアT&Lエンジンも搭載しているので、FINAL FANTASY XIなどのハードウェアT&Lエンジンを必要とするアプリケーションも利用できる。
MP70Gは、第2世代Efficeonの採用により、重さ1kg台前半の2スピンドルモバイルノートPCとしては、トップクラスの性能を実現していることが魅力だ。INSTANT PLAY機能を搭載しているので、ポータブルプレイヤー代わりに使うにも便利。軽くて高性能な2スピンドルモバイルノートPCを探しているのなら、有力な選択肢となるだろう。
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