秋モデルのVALUESTARでは、ハイエンドモデルに位置付けられるラインアップが二つある。ひとつは23インチワイド液晶モデルで、もうひとつが17インチ液晶だが地デジ対応となるVL800/ADだ。
従来からあるコストパフォーマンス重視モデルのVALUESTAR Lの仲間ということで、地味な存在に見えるかもしれない。しかし、VL800/ADのほうが他社のラインアップでは見られない、独自色の高い製品といえるだろう。
地上デジタル放送はすでに営業放送を開始しているが、中部、関西圏はともかく、首都圏は民放まで含めた完全視聴地域がまだ狭く盛り上がりは今ひとつ。しかし、地上デジタル放送の妨げとなっていた地上アナログ放送チャネルの移行(アナ−アナ変換)も終了したので、アテネオリンピックを機会に放送出力を徐々に増強している段階だ。
秋モデルのVALUESTAR Lシリーズの外観は従来から一新され、とくにシルバーのフロントマスクが目新しい。スペックも、今までのVALUESTAR Tシリーズが有していた以上の性能を、従来と同等の筐体サイズ(筐体容積は約12リットル)で実現している。
マザーボードには最新のチップセットであるIntel 915GVを搭載しており、CPUもPentium 4 520(動作クロック2.80GHz)とそれなりにパフォーマンスがある。Intel 915ファミリーを採用していると言っても、価格競争力を持たせなければならない「コンパクト筐体」の製品であるため、メモリはコストパフォーマンスのよいDDRを使用している。
ただし、PC3200のデュアルチャネルアクセス(256Mバイトを2ch)と、こちらもパフォーマンスを意識した構成になっている。メモリの増設は行えない(空いているメモリスロットがないため、メモリ容量を増やす場合はモジュールを交換することになる)が、最初から512Mバイトのメモリを搭載しているので十分だろう。
グラフィックスはコンパクトPCの常で、チップセット内蔵だが、それでもIntel 915GVで内蔵されたグラフィックスコアは新世代の「Intel GMA 900」に変更され、3Dゲームにも対応できるほどに性能が強化された。HDDもSerial ATA対応の250Gバイト容量のドライブを搭載した。
メディアカードリーダはSD/メモリースティックに加え、xDピクチャーカードにも対応。これで最新のデジカメからの読み取りにも困らないはず。光学ドライブは二層DVD+Rの書込みに対応したDVDスーパーマルチドライブ(GSA-4120B)を搭載している。依然として二層DVD+Rのメディア価格は高く、気軽に使うわけには行かないだろうが、長時間の高画質録画にも対応しているのは心強い。
フルモデルチェンジなので本体の変更は当然として、周辺機器となるキーボード、マウス、リモコンもすべて改良されている。キーボードはパームレストなしでも手首の負担が軽減された薄型のもので、カーソルキーが小さくなったものの、ステップスカルプチャ構造が引き継がれ、キーのぐらつきも少なく押しやすい。
リモコンには、よく使う機能を一発で呼び出せる「ダイレクトボタン」や、メニュー経由で機能を選ぶ「ナビボタン」が用意されているだけでなく、TVを視聴するときに使うボタンが、色を区別した上で一箇所にまとめて配置されるなど、わかりやすいレイアウトデザインが施されている。
さらに、独自の統合メニューである「MediaGarage」の起動のほかに、メインメニューの呼び出しに割り当てられた「ホームボタン」が中央下部に配置された。このMediaGarageは、従来行えなかったTV録画、CD/DVDの再生にも対応している。そのため、TV関連の機能はここからすべて扱えるようになっている。
このあたりの機能強化は、VALUESTARシリーズ全体の構成を見直したことで実現したともいえる。コンパクト筐体のラインアップは従来「大型のT」「小型のL」という構成になっていたが、これが秋モデルから「小型のL」に一本化された。このため秋モデルではLシリーズのラインアップが広がり、TV関連機能が強化されたというわけだ。ちなみにLシリーズの秋モデルは8製品で構成され、最下位モデル以外はすべて“テレパソ”となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.