FinePixの新シリーズとして「FinePix E510」(以下、E510)と「FinePix E550」(以下、E550)が同時に発表された(関連記事参照)。見た目もすごく似てる明らかな兄弟機なので、ついつい「E510/E550」と一緒に扱われがちだし、このレビューも「E510とE550を一緒にやってくれない?」と依頼されたのである。
ところが、なにをおっしゃるうさぎさん。両方をよく比べてみると、デザインとユーザーインタフェース以外はまったく似て非なるデジカメなのだ。ありがちな「CCDが違うだけであとはほとんど一緒」という兄弟ではなく、見た目は似てるが中身は全然違う従兄弟ってくらいなのである。
でもせっかくなので両者を見比べながら触ってみよう。
両者が兄弟機に見えるのはなんといってもボディが同じ(ように見える)から。シンプルな矩形でバランスもよく、小型軽量ながらグリップ部が少し飛び出ていてホールディングしやすいスタイル。ボディは非常にコンパクトだが、右手中指と薬指でうまくグリップすると人差し指がちょうどシャッターボタンにかかる設計になっており、シャッターボタンも微妙に傾斜がついていて押しやすいのである。
ちなみに高さはE510が60.5ミリ、E550が63ミリと微妙にサイズが違う。写真をよく見ると分かるように、基本デザインは同じながらディテールが微妙に違うのである。デザイン上の処理だけではない違いだ。両者の似ているようで違うけれども、でも同じように見えるという微妙な差異はなかなか面白いのである。
重さもE510が約176グラム、E550が約200グラムと比較的軽量で、どちらのモデルも写真で見るよりコンパクトだと思っていい。
E510とE550がもっとも異なるのは、CCDとレンズだ。CCDはE510が通常のCCDで、E550がスーパーCCDハニカムと方式が違うのみならず、E510は1/2.5型、E550は1/1.7型と大きさまで違うのだ。レンズも異なるので、当然そのテイストも変わってくる。
E510は一般的な1/2.5型の520万画素CCDに28〜91ミリ相当の3倍ズームレンズを搭載。28ミリからの広角系ズームモデルだ。比較的軽量でありながら広角に強く、しかもテレコンやワイコンを付けることができる。オプションのワイドコンバージョンレンズ「WL-FXE01」を使えば約21ミリ相当の超広角デジカメとしても利用可能だ。マクロ時は光学ズームが約1.4倍におさえられるが約6.7センチまで、さらにスーパーマクロではワイド端固定になるが約2.6センチまで寄れる。
起動速度は約3秒とあまり速くないのが残念。
対してE550は1/1.7型のスーパーCCDハニカム HRを搭載。有効画素数は630万画素で、1200万画素相当の画像を生成することができる。レンズは32.5〜130ミリ相当の4倍ズームレンズ。一般的な3倍ズームの広角側と望遠側に少しずつ伸ばしたスペックでF2.8-5.6だ。実はこのCCDとレンズのスペックは、コンパクト系上位モデルである「FinePix F810」(以下、F810)とまったく同じ。実際、同じものを使っていると思っていいだろう。起動もF810と同様に非常に高速で、約1.3秒で撮影可能になる。
よって、マクロモードもワイド端固定になる。これは残念。
F810との違いは、ワイドモードの有無やコンバージョンレンズを付けられるかどうかだ。E550の方がワイコンやテレコンを付けられる分、F810より拡張性が高くていいかもしれない。
E510とE550。もっとも基本的なCCDとレンズがこれだけ違うとなると、写りにもかなり差が出てくる。
どちらもFinePixだけあって基本的な絵作りやオートホワイトバランスの働き具合(けっこう強力に働くため、色温度が低いところでもある程度追従する)は同じだが、E550の方がシャープでメリハリがある。
もっとも画質に差が出るのは感度だ。どちらもISO80-400だが(E550だけは画素数こそ300万画素相当に落ちるがISO800も使える)、ISO200や400に増感したときのノイズはE550の方が少なく、高感度時の実用性はE550が上だ。
大きく引き延ばしたりディテールを拡大しない限り、520万画素と630万画素(ハニカム配列ではあるが)の差はそれほど気にしなくてもいいだろうが、高感度時のクオリティには差が出るのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.