Athlon 64とNVIDIA SLIの破壊力を知るAthlon 64で構築する最強ゲームPC第2回(1/3 ページ)

» 2004年12月17日 00時00分 公開
[ITmedia]

 年末の自作PC注目のキーワードは、なんと言っても「Athlon 64 & NVIDIA SLI」に尽きるだろう。2004年に登場した新世代GPUは、従来と次元が異なるハイパフォーマンスを実現してくれたが、その年の最後になって、またまた「別次元」の3D描画性能を手に入れることができたのである。

 今年の6月に正式発表された「NVIDIA SLI」は、専用のコネクタを接続された複数のPCI Express X16対応GeForce 6シリーズ(NVIDIAの説明によると、GPU内部にはGeForce 6シリーズすべてのGPUに、NVIDIA SLIのインタフェースと回路が組み込まれているという。しかし、グラフィックスカードにコネクタを用意しているのは、一部ベンダーが発表した製品をのぞいて、GeForce 6600 GT以上となっている)を、同時に使うことで3D描画の性能を向上させようという技術だ。

 さて、 SLIという言葉に「そうそう、3dfxが開発したVoodoo2の二枚差しでできた"あれ"」と反応するベテランユーザーは多いかもしれない。3dfxのSLIを簡単に説明すると、二つの「3D描画専用」GPUがそれぞれ、一つの画面の「奇数ライン」「偶数ライン」を分担して演算し、その結果を合成して一枚の画像にしていた。「奇数」「偶数」という切り分けなので、それぞれのGPUは「画面の広さ」は常に同じだけ分担することになる。

 NVIDIA SLIが3dfxのSLIから進化している点は、それぞれのGPUで分担するのが「同じ広さ」ではなく「同じ演算処理負荷」であるところだ。「ダイナミック・バランシング・アルゴリズム」とNVIDIAが呼ぶ手法によって、それぞれのGPUで演算負荷が均一になるように、片や画面の上から、片や画面の下から分担するエリアを割り当てていくのが、新世代のSLIのキモである。

GeForce 6600シリーズの発表会で紹介されたNVIDIA SLIの「ダイナミック・バランシング・アルゴリズム」

 発表当初は、2枚のグラフィクスカードを接続するブリッジチップの物理的仕様や、信号の仕様、そして、それぞれのGPUでどのように分担して描画処理を行うのかなどなど、明らかにされない部分や未決定の項目が多く、実現すら危ぶまれていた時期もあった。

 8月に日本でNVIDIA SLIの動態デモを行うなど、NVIDIAも早い段階から積極的にプロモーションを行っていたが、そのNVIDIAのスタッフ自身から「細かい仕様がなかなか決定しないから、実現化するまで時間がかかるかもしれない」との発言があったり、ゲームユーザーにそのメリットをアピールする絶好の機会であるはずの東京ゲームショウ2004でNVIDIA SLIは微塵も出てこないなど、期待していたユーザーとしては「こりゃ、今年中にはお目にかかれないかもね」とあきらめモードだったことをここに告白しよう。

 10月にnForce 4 SLIが正式に発表された時点でも、「うーん、チップセットが発表されただけじゃねー」とそれまでの経緯もあって懐疑的であったのだが、11月にアキバで行われたASUSやGIGA-BYTEのプライベートイベントで、nForce 4 SLI搭載マザーが登場するようになってから状況が急転。ついに先週末からエンドユーザーがNVIDIA SLIのパフォーマンスを享受できるようになったのである。

店頭に登場したnForce 4 SLI搭載マザーであるASUSの「A8N-SLI Deluxe」にAthlon 64 FX-55とGeForce 6800GT二枚をNVIDIA SLIで組み合わせた、いま最も贅沢なPCゲームマシン構成

 現在、コンシューマー市場向けプラットフォームでNVIDIA SLIに対応するのはAthlon 64向けチップセット「nForce 4 SLI」搭載マザーボードだけ、ということになる。

 グラフィックスカードを2枚同時に動作させて「シングル動作の1.87倍」とNVIDIAが説明するパフォーマンスを叩き出すNVIDIA SLIを利用できるAthlon 64プラットフォームは、3Dゲームフリークにとって大いなる優位性を持っているといっていいだろう。

インテルとAMDそれぞれのハイエンドパーツでパフォーマンスを比較

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