iMac G5を使ってみた(3/3 ページ)

» 2004年12月20日 15時45分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]
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メモリによる速度の違いを調べる

 最初に、ちょっと調べてみたいことといったのがこれだ。

 Macintoshの上位機種であるPower Mac G5は、メモリコントロールがデュアル・チャネル専用なので、メモリは「同一のものを同時に2枚挿し」としなければならない。でも、iMac G5はそうではない。メモリは1枚単位でOKだ。なにより出荷時が256Mバイトが1枚だけという状態なのだ。

 ところが、Appleが公開しているDeveloper Noteによれば、iMac G5は「2枚の同一のDIMMを挿した場合にはメモリバスは128ビットになる」のだそうだ。これはデュアル・チャネルのことだ。これは、ちょっと試してみたい。

 iMac G5に使うのはDDR400(PC3200)のDIMMだ。そこで、アイ・オー・データ機器に、512Mバイトのものを2枚と、1Gバイトのものを1枚貸してくださるようにお願いした。512Mバイト×2と1Gバイト×1の違いがあるか調べようというわけだ。そうしたら届いたのは512Mバイト×2と1Gバイト×2。デュアルチャネル用に規格の揃ったもの2枚が1パッケージになっているのだ。デュアルチャネルで必要な「同一のメモリ」というのは容量や速度といった規格に現れるものだけではなく、メモリチップの構成なども同じでないといけないので、こういう風にあらかじめセットになっているのはありがたいのだ。

 なんにして、1Gバイトメモリも2枚借りられてしまったわけだ。それならメモリ容量によるアプリケーションの速度の違いも調べてみることにしよう。

 iMac G5のメモリ増設は簡単だ。ディスプレイ面が下、底面が手前になるように机の上に置いて(このときディスプレイを傷つけないようにタオルなどをしいておくこと)、底面のネジ3本をプラスドライバー(#2)でゆるめる。このネジはゆるめきっても本体から外れない。3本ゆるめたら、スタンドに手をかけて上に引っ張ればふたを開けるように裏板をはずすことができる。

 G5プロセッサの右側にあるのがメモリスロット。写真はアイ・オー・データ機器のメモリ2枚を挿したところ。ちなみにその上にあるのがSerial ATAのハードディスク。また、G5や基盤からファンを経由して放熱孔までの空気の流れにも注目。

 今回は、次の組み合わせでしらべてみることにした。

 1)256Mバイト×1 = 256Mバイト

 2)512Mバイト×2 = 1Gバイト

 3)1Gバイト×1 = 1Gバイト

 4)1Gバイト×2 = 2Gバイト

 最初の1)がiMac G5の出荷状態。2)と3)がデュアル・チャネルの効果の比較。4)はiMac G5の最大メモリ容量である。

  • Photoshop CS

 デジカメで撮影した画像を並べて作った10240×7680ドットの自然画像(222Mバイト)に、アクションを使って「ぼかし8回」+「反転1回」のフィルタをかける。アクションをスタートさせてから、反転が終わって画面が再表示されるまでの時間をストップウォッチで手計測。5回の試行の平均。

容量秒数
1)256Mバイト×16分12.5秒
2)512Mバイト×22分46.0秒
3)1Gバイト×12分52.4秒
4)1Gバイト×21分05.7秒

 メモリ容量の違いが速度差に顕著に表われるテストだ。Photoshopperならメモリはたくさん積んでおきましょうというところ。デュアル・チャネルの実験は、512Mバイト×2のほうが3.7%ほどはやい。わずかだが確かに効果はあるようだ。

  • iTunes

 「Light of Love(坂本真綾)」(7分54秒の穏やかな曲)をCDからAIFFファイルとしてハードディスクにコピーし、これをiTunes 4.7(QuickTime 6.5.2)でAAC 128kbps、AAC 160kbps、MP3 160kbpsでエンコード(*7)。変換のメニューを選んでから変換終了のチャイムが鳴るまで手計測。5回の試行の平均。

容量AAC(128)AAC(160)MP3(160)
1)256Mバイト×126.4秒24.8秒27.6秒
2)512Mバイト×226.8秒24.3秒23.2秒
3)1Gバイト×125.1秒25.7秒22.7秒
4)1Gバイト×225.8秒24.5秒23.4秒

 全体にメモリによる速度差がほとんど見られない。iTunesだけ使っているならば、メモリ容量はあまり気にしないでよさそうだ。

  • iDVD

 DVで撮影したビデオ(Robo-oneの決勝トーナメント抜粋。52分58秒)をiMovieで編集したものを、iDVD4.0.1で「処理能力を優先する」でエンコードする時間。エンコードが開始されてから、ディスク焼きに入る直前までの時間を手計測。これは1度ずつしか試行しなかった。

容量秒数
1)256Mバイト×11時間15分23秒
2)512Mバイト×21時間13分59秒
3)1Gバイト×11時間15分04秒
4)1Gバイト×21時間13分47秒

 普通の人がiMac G5を使う範囲ではもっとも時間がかかりそうな作業だ。わたしには意外だったのだけど、これはメモリ容量による速度差が全く見られない。一方、メモリ2枚挿しの効果はわずか(2%弱)だが見られる。

 こうしてみると、iMac G5ではデュアル・チャネルは確かに効果を上げる。効果は3%程度だから目に見えて速いってわけじゃないけど、でもどうせメモリを増設するなら「同一メモリを2枚」にしておくというのがよいだろう。もっともそのとき、もともとついている256Mバイトはもったいないことになっちゃうのだけど。

そのほか

 iMac G5を正面から見たとき、スピーカー穴が見えない。じゃあどこにあるのかというと底面に下を向いてついているのだ。音は床(机面)に向けて発射され、一度跳ね返って人間の耳に届くというわけ。こういう構造なので、音はどうかなと思っていくつかCDを聞いてみた。

 さすがにちょっとなまる。アグレッシブというよりは疲れない音だ。iTunesで聞くときなどは「サウンドエンハンサー」を少しかけた方が聞きやすいかもしれない。

 一方DVDは気持ちがいい。おもわずキル・ビルI、IIと見直しちゃったけど、さすが20インチのワイド画面というところ。画面が横にパンするようなところでの遅れもまったくない。

 それにしても、と思うのだけど、キーボードとマウスがワイヤレスのなのは快適だ。DVDをみるときなんて画面からはなれて床の上に座り込んでたりするんだけど、そんなときにキーボードを持っていけるのだ。でかいリモコンだ。画面は遠くからでも見えるから、そういうだらけた姿勢でWWWブラウジングなんてのもOK。マウスは腿の辺りですりすりしたりして、ますますだらけモード。とくにこのマシンではデフォルトでこっちがいいんじゃないかなあ。少なくともショップでもこの形で買えるようにしてほしい。最初にパソコンを買うっていう人にこそ、このだらけ感覚を味わってほしいんだけど、そういう人はあんまりWWWショッピングはしないものだ。


*7 以前、Power Mac G5で試したのと同じ曲。こうすれば比較できると思ったのだけど、iTunesとQuickTimeのバージョンが変わっているので比較にはならなかった。



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