COMPUTEX TAIPEI 2003の初日に大々的な発表会を行った新世代AMD64。そのなかで、PCI Expressへ対応したVIAやSiSのチップセット搭載のサンプルマザーも紹介されていたが、年末になってようやく本格的に動き出す兆しが見えてきた。
発表自体はVIAやSiSより遅れたものの、NVIDIAが発表した「nForce4」はパーツベンダーのプライベートイベントで早々とサンプルが登場し、後を追いかけるようにATIが発表したRX480/RS480こと「RADEON XPRESS 200P/200」もまもなく製品が登場する「はず」だ。すでに概要をお伝えしているが、それぞれの機能をもう一度まとめてみよう。
どちらも、「PCI Express」対応を主要な特徴としてあげているが、その仕様は「全部で20レーンのPCI Expressをサポート」と両者でとくに違いはない。ただし、すでに紹介しているように、nForce 4の最上位モデル「nForce 4 SLI」では、NVIDIA SLIを有効にした状態で、グラフィックスカード用のスロットが、「PCI Express X8」の2スロット構成に変更できるのが特徴。
また、ワンチップ構成のnForce4は別として、RADEON XPRESS 200P/200では、ノースブリッジとサウスブリッジの接続にもPCI Expressを利用しているのがユニーク。このため、RADEON XPRESS 200のサウスブリッジとしては、ATIが開発した「IXP400」以外にも、ほかのチップベンダーが開発したPCI Express対応のサウスブリッジも組み合わせることが可能だ。
nForce 4では、セキュリティ機能としてハードウェアエンジン「ActiveArmor」を備え、セキュリティ処理に関わるCPUの負荷を軽減する役割を果たしている。対するRADEON XPRESS 200ではTPM1.1/1.2に準拠したハードウェアセキュリティの機能が組み込まれている。
ストレージ関連の機能については、nForce 4がSerial ATA/3Gビット/秒をサポートし、「Dual Controller Archtecture」「Native Command Queuing」といった高速転送、アクセス機能をアピールするのに対して、RADEON XPRESS 200は、サウスブリッジとして組み合わされるチップの性能に依存することになる。例えば、ATIが開発したIXP400には、RAID 0、1をサポートするものの、nForce 4のような多機能性は備えていない。
興味深いのは、インテル対応のPCI Expressプラットフォームが今年の大きな流れとして取り組んでいるHigh Definition Audioを採用せず、サウンド機能はAC 97をサポートするのみであること。NVIDIAは「専用チップの実装で対応してもらう」と説明し、ATIは「必要なユーザーはより高機能なサウスブリッジを搭載したマザーを選択すればいい」と述べるなど、HD Audioに対する姿勢が似通っているのも面白い。
nForce 4では、グラフィックス機能が内蔵されていないが(先日発表されたGeForce 6200 TCは多分にマザーボードへの実装を意識した機能を備えているとも考えられるが)、RADEON XPRESS 200は、Dircet X 9に対応したグラフィックス機能がチップセットに組み込まれている。
RADEON XPRESS 200のグラフィックスコアについて、ATIが「パフォーマンスはRADEON X300相当」と説明するが、内蔵されたグラフィックスコアのクロックは300MHzでピクセルパイプラインが2本と、内部構造はRADEON X300クラスのGPUを簡略化させたものになっている。
ビデオメモリはメインメモリと共有する以外に、専用のフレームバッファメモリも利用できる。ATIがいう「RADEON X300相当」とは、このフレームバッファを使った場合のパフォーマンスであり、メインメモリを共有する場合はその半分程度になるとATIは説明している。
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