第13回 小物と撮影セッティングの関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/2 ページ)

» 2005年01月13日 09時32分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 デジカメを買って、以前は撮らなかったようなものまで撮るようになるのは誰しも経験してると思うけど、その1つが「身の回りの小物」や「お気に入りの製品」。雑貨が好きな人は雑貨をつい撮るだろうし、コレクターなら自分のコレクションを撮るだろうし、クルマ好きなクルマを撮るだろうし、オークションを使う人なら出品する品を撮る。特にそういうモノって家の中で思いついたときにすぐ撮れるから撮りやすいってのもある。

 今回はそんなモノをきれいに撮るという話。業界では「ブツ撮り」といいます。

小物を撮るときの基本

 モノを撮るときの基本はいろいろあるけれども、姿形がきれいに見えるように撮ることと本来の色がちゃんと出るように撮ることの2つ。さらにオークション出品用ように「その製品だけをちゃんと撮りたい」場合は、背景に余計なものが写らないようにすることも重要だ。

 そして何よりお金や手間暇をかけないこと。大きなカメラ量販店などへ行くと、ブツ撮りようの簡易撮影キットなんてのを売ってるし、確かにそれを使えばきれいに撮れるけれども、5000円で売りたい品を撮るために1万円の撮影キットを買うのは本末転倒。一般家庭なり独り暮らしの部屋なりで手持ちの装備でできるチープな撮影術が基本中の基本だ。

 その辺を1つずつチェックしてみよう。

その1:姿形がきれいに見えるように撮る

 ズームレンズのデジカメなら少しでも遠くから少しでも望遠側で撮ること。2〜3倍くらいで撮れるなら一番いい。理由は3つある。

 1つめは広角側だとどうしても遠近感が強調されて形が歪むこと。

 2つめはコンパクトデジカメクラスだと広角側で樽型収差(上下左右の端が外側にたわんで写る)が避けられないこと。まっすぐであるべき箇所が丸くなって写っていたらちょっとイヤでしょ。

 3つめは広角側の方が広い範囲が写るため、背景を隠しにくいこと。背景のごちゃごちゃは撮りたくないではないか。

 ただし、マクロモードだと広角に固定されるとか、望遠にすると撮影距離が急に長くなってピントが合わないなんてこともあるので、その場合はしょうがないです。カメラの都合に合わせてください。

その2:フラッシュは使わない(三脚を用意する)

 続いて内蔵フラッシュは使わない。それはもう下の例を見れば一目瞭然で、光の当たったところがテカっちゃうからである。

 もう1つ重要なのは、ISO感度をもっとも低いものに固定すること。室内でフラッシュを焚かないとなると(日差しがはいる昼間の窓辺なら話は別だが)、どうしても暗くなる。暗いのにフラッシュを発光禁止にすると、カメラとしては「手ぶれしそうだからISO感度を上げてシャッタースピードを上げなければ」と働いて、増感する。増感するとどうしてもノイズが増えてきれいに撮れない。ノイズがのっかるのは避けたい。そこでISO感度を一番低いところに、最悪でもISO100にセットする。

 ISO感度を低くすると今度はシャッタースピードが遅くなって手ぶれしやすくなる。特にモノを撮るときは手ぶれによる絵の乱れが目立ちやすい。そこで三脚の出番となるのだ。立派な三脚じゃなくても、2〜3000円のミニ三脚でいい。家で撮るのなら、いざとなれば椅子なりダンボール箱なり何なりを使えばカメラを置く台くらいにはなるもの。それにミニ三脚を合わせればそれなりに格好はつくし、ミニ三脚であってもカメラ位置や撮影角度の微調整をするのに役立つのだ。

 手ぶれを完璧に防ぐにはさらにセルフタイマーで撮るといい。指でシャッターを押したときのブレが発生しないから。暗い照明しかないときは試してみるべし。

その3:ホワイトバランスを合わせること

 室内で撮るとなると重要なのがホワイトバランス。つまり、白い色がちゃんと白く撮れるかという問題で、普段はオートホワイトバランスが効くのであまり意識しなくてもいいんだけれども、室内だと照明が白熱灯だったり蛍光灯だったりするし、蛍光灯と一口にいっても白色、昼白色、昼光色といろいろあるし、パルック色なんていってる会社もあるしで微妙に違う。オートホワイトバランスがうまく働かないこともある。特に白熱灯のとき。白熱灯だとうまく色を補正してくれないデジカメもあるし、白熱灯だとわざと赤みを残した写真にしてくれるデジカメもある。それはそれでいいんだが、モノの写真を撮るときは大きなお世話だったりするのだ。

 そこで「ホワイトバランスのカスタム設定」(呼び名はメーカーによって違う。ニコンは「プリセット」と呼ぶし「マニュアル」「ワンプッシュ」なんて表記しているメーカーもある。四角と三角が合わさったアイコン表記だけがされる製品もある)を持っているデジカメはそれを積極的に使おう。

 使い方は簡単。照明のセッティングをしたら、そこに「真っ白」な紙を置き、それでホワイトバランスを設定するのだ。そうすれば白いものが白く撮れるよう補正してくれる。

 例えば写真印刷用のプリント用紙(写真用の紙の方が普通紙より白いから)なんかがいい。目で見て「これが真っ白だ」と思えばそれでいいんだけれども。

 ホワイトバランスの話ついでに照明の話を。室内だと部屋の灯りを使って撮ることになると思うけど、種類が異なる照明を組み合わせないことが大事。天井の蛍光灯だけでは暗かったり変に影がでてうまくいかないこともある。そういうときは適当な卓上照明を補助に使うのがいいけれども、そういうときは天井の照明と種類を合わせること。

 天井の照明は蛍光灯だけど、それだけだと暗いからと横から白熱灯でスポットライトを当てるなんてのはまずい。場所によって色が変わってしまうからだ。

その4:ピントに気をつけよう

 最後はピント。近距離で撮ることになると思うけど、その場合は忘れずにマクロモードにすること。で、写真は被写体が近ければ近いほどピントがシビアになるという性格があるので、うまくピントが合っているかどうかときどきパソコンの画面で確認しながら撮るのがいい。それが面倒くさければ、ちょっとずつ角度を変えながら撮るとか数センチずつ近寄ったり遠ざかったりしながら撮るとかそういう技を使うといい。

 間違って背景にピントがあったりするとみっともないのでそれだけは気をつけるべし。

その5:きれいに掃除してから撮ろう

 当たり前だけど、撮る前に被写体をきれいにしておくこと。一見気にならなくても、写真に撮ると(特に大きく撮るから)ホコリや汚れが急に目立ち始めるもの。撮る前にホコリをはらい、必要な布やウエットティッシュなどで汚れをふきとってきれいな状態で撮りたい。

部屋のどこでどう撮ろう

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