PCが成熟市場となり、今後は商品の差別化が難しくなると言われ始めて久しい。
実際、導入するPCを選択する際、多くの場合はプロセッサパフォーマンスやメモリ、ハードディスクの容量といった必要スペックと予算が優先され、商品そのものが持つ力は評価されにくい環境にある。
とはいえ、「すべての分野において商品の差が生まれないか?」と言えば、まだそこまで成熟した領域にまでは踏み込んでいない。
技術によって製品にアドバンテージを与え、差別化する。最近の東芝のPC戦略を見ると、同社が差異化できる分野をAVノートPCとThin & Light(薄型・軽量)ノートPCの2つに見据え、開発資源を集中する戦略を採っているようだ。
東芝は2004年、同社が持つ家庭向け映像機器ベンダーとしてのノウハウをノートPCに実装した本格的AVノートPC「Qosmio」ブランドを立ち上げた。
ノートPCでAV機器の真似事をするのではなく、本物のAV機器で使われている技術を持ち込んでPC技術との融合を図ることで、コモディティではない付加価値の高いノートPCを提供するというのがQosmioのコンセプトである。
Qosmioは、差異化技術として高画質化技術、自社開発TVチューナ、AVソフトウェア技術を駆使することで、“いつでも、どこでも、誰でもが高品位にAVコンテンツをプライベートに楽しむ”という新しいユーザースタイルを提案した。そのコンセプトはユーザーの心を刺激し、全く新しいブランドとしてPC市場の中で定着しつつある。
一方、今回の新型dynabook SSシリーズでは、同シリーズが作り上げてきた薄型・軽量ノートPCのイメージをさらに強固なものとするため、明確なコンセプトとともに“東芝らしさ”を打ち出した製品開発が行われている。
東芝のThin & Lightの開発コンセプトは、“薄さ・軽さを犠牲にせずに高性能・高信頼性を実現すること”だという。それを達成するために、今回の新型dynabook SSシリーズにも軽薄短小技術や高信頼性技術といった東芝の差異化技術がふんだんに盛り込まれている。
このところ“モバイルコンピューティング”という言葉には、すっかり使い古されたイメージが定着してしまったが、あらゆるビジネスにおいて情報の窓口になっているPCは、それ自身が大きなビジネスのパワーを持っている。
ビジネス上のさまざまな判断を行うための材料、コミュニケーションの履歴、スケジュールなどの個人情報、多種多様な情報を分析するためのツールや文書作成のツール、それらのツールを使って作られた資料など、ありとあらゆるビジネスのための情報がそこにはある。
モバイルコンピューティングを実践するということは、それらの情報やツールを活用するシーンが大幅に拡大することを意味する。
ところがこれが難しい。“使い古されたイメージ”と言うほどには、モバイルコンピューティングの持つ潜在力を活かせているケースは少ない。単にPCを持ち歩くだけでなく、それを使いこなすための工夫が必要だからだ。それはシステムソリューションとして実現するものであったり、個人の使いこなしレベルで対応できるものもあるだろう。一方、そうした使いこなしを可能な限りサポートする配慮が、ハードウェアにも必要になる。そして、そこにこそ製品を差異化するための技術が要求される。
では、PCを持ち歩き、ビジネスのパワーとして活用するユーザーを、ハードウェアの観点からどのように支援できるのか?
新型dynabook SSシリーズには、20年にわたる東芝ノートPCの歴史を通じて培った技術とノウハウに基づいて、実際にノートPCを持ち歩くユーザーの視点から考えられた多くの要素やさまざまな配慮が盛り込まれている。
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