自社開発BIOSで、企業ユーザーのニーズにきめ細かに対応東芝 新型dynabook SSシリーズ(2/2 ページ)

» 2005年01月19日 17時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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デバイスの利用可否をローレベルで実現するデバイスロック

 最近では記録型のCD/DVDが標準装備されることが多くなったPCの光学ドライブだが、セキュリティ面を考えれば、これを完全にユーザーに開放したくない場合も多い。ユーザーによるソフトウェアのインストールとそれに伴うウイルス感染やシステムの不調、大容量の光ディスクを通じた企業データの持ち出しなど、光学ドライブ搭載による利便性向上は危険性と隣り合わせだ。

 これはUSBポートにも言える。大容量で安価なUSBメモリキーが普及したことで、USBポートは光学ドライブと同様に、大きなセキュリティホールとなっている。

 これに対してOSレベルで対策を施しても、完全な解決策とはならない。USBポート経由の周辺機器や内蔵光学ドライブからPCを不正にブットアップし、管理者の意図しないOS環境を立ち上げ、HDD内のデータを吸い上げるといったことも可能であるからだ。

 もちろん、最初からこれらのデバイスを搭載しないという選択肢もあるが、これらのデバイスを完全に除去してしまうと、いざというときの柔軟性、利便性が失われる。管理者側からすれば、同一仕様のハードウェアを利用者の業務種別や職責によって管理しておき、ハードウェアの割り当てを変更する際には、設定を変えて次の利用者に渡したい。そうした柔軟な対応は“不要デバイスは搭載しない”という方法論からは生まれない。

 これに対し、「東芝デバイスロック設定ユーティリティ」はBIOSレベルでデバイスの利用可否を制御するため、BIOSにスーパーバイザーパスワードをかけてロックしておけば、ユーザーが勝手に不要デバイスを利用することを防ぐことができる。利用を禁止するレベルにも柔軟性があり、ブートの許可/禁止、デバイス使用の許可/禁止を設定できる。

「東芝デバイスロック設定ユーティリティ」の画面 BIOSレベルでデバイスの利用可否を制御できる「東芝デバイスロック設定ユーティリティ」(画面はdynabook SS LX/L10のケース)
「東芝パスワードユーティリティ」は、スーパーバイザーパスワードを設定することにより、BIOSの設定変更を防止できる

揺るぎのないプラットフォームを提供

 BIOSの話からは離れるが、新型dynabook SSシリーズには海外モデル向けに提供されてきたポートリプリケータ「アドバンスト・ポートリプリケータIII」がオプションで提供される。

 新しいポートリプリケータにはデスクトップPC並のポートが装備され、映像出力もアナログRGBに加え、液晶ディスプレイなどにデジタル接続可能なデジタルDVI(使用の可否は接続するノートPCに依存)もサポートされている。ポートリプリケータ用コネクタの仕様は以前からのものが継承されており、今後は国内モデルでも共通のポートリプリケータを利用できるようにしていくという。

オプションで提供される「アドバンスト・ポートリプリケータIII」
新型dynabook SSシリーズの裏面に搭載しているポートリプリケータ用コネクタ。仕様は従来からのものが継承されているため、共通して使用できる

 企業向けPCでは、ポートリプリケータだけでなく、バッテリなどのオプション類が共通に利用できることも、ハードウェア資産の柔軟な運用という面で重要性が高い。東芝はdynabook SS MX/LXの両モデルに共通のバッテリを採用して、相互にオプションを利用し合えるプラットフォームを構築した。

 こうした共通プラットフォームの思想は、たとえばキーボードデザインにも表れている。MXとLXには、底面積の違いからやや異なるサイズのキーボードが搭載されているが、電源ボタンやメールボタン、インターネットボタンといった基本ボタンの配置は共通化された。

 今後も東芝は、揺るぎのない共通のハードウェアデザインを提供することで、ユーザーの投資を可能な限り保全していくという。こうした設計ポリシーこそが、企業向けにノートPCを提供してきた東芝のノウハウそのものなのかもしれない。

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