開発コード名「Sonoma」として長らく知られてきた新世代Centrinoを「ようやく」発表したインテル。Sonomaによって高機能になったノートPCがもたらすメリットをインテル代表取締役共同社長の吉田和正氏と、インテル取締役マーケティング本部長ケヴィン・セラーズ氏がアピールした。
吉田氏は、2003年3月のCentrino発表から順調に成長するノートPC市場について、「日本国内における無線LANホットスポットは6倍に、無線LANをサポートするノートPCの割合は2倍に伸びた」と具体的なデータを示しながら説明。
インテルがCPUとチップセット、無線LANモジュールといったパーツレベルの供給だけでなく、ノートPCや無線LANの接続環境の整備に努めてきたこともアピールし、その具体的な成果として「ローミングサービスをサポートする接続業者が増えてユーザーの利便性が向上し、インテルが検証している接続環境が増加することによって、信頼感と安定性をユーザーに提供している」と述べた。
また、これからのノートPCが使われている用途として、先日発表された「Connect By Boeing」を始めとする機内利用、国技館やツインリングもてぎなどにおけるスポーツ情報の提供などを紹介。
インテルがモバイルプラットフォームとして重視する「ワイヤレス接続」「優れたバッテリー持続時間」「高い処理能力」「薄型軽量のフォームファクタ」を「さらに強化した次世代Centrinoにホームユースでもオフィスユースでも大いに期待している」と語った。
ケヴィン氏は次世代Centrinoを構成するCPUとチップセットの仕様について説明。FSB533MHzやDDR2-533/400への対応、チップセットに内蔵されたDirect X 9対応のグラフィックスコアなど大幅に強化された機能を紹介した。
このうち、システムのパフォーマンスとバッテリー駆動時間の関係について「MobileMark 2002」で測定した値を示し、Pentium M 730(FSB533MHz、動作クロック1.6GHz)とPentium M 725(FSB400MHz、動作クロック1.6GHz)で5%のパフォーマンスが向上しながらもバッテリー時間は同じであることをアピール。
また、「日本のユーザーは3Dグラフィックス性能を重視する」と述べるケヴィン氏は、内蔵グラフィックスコア「Intel GMA 900」についても、3DMark2001SEの結果から、Pentium M 725とIntel 855GMEの組み合わせよりもPentium M 730とIntel 915GMの組み合わせが91%向上していると説明した。
「このように、機能が拡張された次世代Centrinoを搭載したノートPCはデジタル家電を超える性能を得る。TVチューナーやリモコンを搭載し、10フィートUIへの対応はノートPCでも拡大する」(ケヴィン氏)
セキュリティやワイヤレス接続性能の向上も次世代Centrinoの特徴。IEEE 802.11iやWPAによる無線LANセキュリティやPentium MとWindows XP SP2の組み合わせで実現するエグゼキュート・ディスエーブル・ビットによるセキュリティ、そしてIEEE 802.11a/b/gの接続とBluetoothの接続が共存できる「インテル ワイヤレス・コイグジスタンス・システムII」を紹介。無線LANで接続されたテレビ会議システムでBluetooth接続のヘッドセットを使用するデモを披露した。
「次世代Centrinoは、より多くのものをユーザーが利用できるようにしてくれる。それはリッチコンテンツであり、HDオーディオであり、7.1chサラウンドであるのだ」(ケヴィン氏)
なお、今回登場したチップセット「Intel 915PM」「Intel 915GM」「Intel 910GL」のメモリバス仕様において、インテルのデータシートでは「DDR333搭載時のメモリバスはシングルチャネル」とあるが、一部の国内製ノートPCでデュアルチャネルのメモリバスがサポートされている。
この件について、インテルは「メモリバスはDDR333でもデュアルチャネルで動作できる機能を有しているが、インテル内部のリソースを効果的に使うために、DDR333実装時におけるデュアルチャネルの動作検証を行っていない。そのため、正式なスペックとしては『DDR333はシングルチャネルのみ』となっている。ただし、ノートPCメーカーから要望があれば、インテルとして協力をしないわけではない」と答えている。
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