土地の起伏や形状を正確に計測、記録するための測量機システム。普段、我々があまり手に取ることがないプロフェッショナルのための道具だが、そこには最新の情報処理技術が詰め込まれている。中でもニコン・トリンブルは、測量機にいち早くポータブルコンピュータを導入。測量の現場において即時、測量結果をビジュアル化できるシステムを作り上げた。現在はそのシステムを発展させ、富士通のタブレットPC「STYLISTIC」シリーズをシステムに組み込んでいるという。
ニコン・トリンブル パートナー営業部次長の有田啓二氏、同じくパートナー営業部の本島正一氏に、最新の測量機材とタブレットPCについて話を伺った。
かつて測量と言えば、測量機を覗きながら箱尺の目盛りを読み取り、その数値や角度情報を記録しておき、オフィスで三角関数を駆使しながら立体的な図面に起こす作業だった。その後、測量機へのコンピュータ導入により、測量点の情報をメモリ内に蓄積していき、オフィスでCADへと入力、あるいはインタフェースを通じてデータ転送することで、図面作成の大幅な自動化が行えるようになった。
ニコン・トリンブルの製品は、そこからさらに一歩踏み込み、CADソフトが動作するポータブルコンピュータを測量の現場に持ち込もうというものだ。計測結果は独自開発のCADソフトを組み込んだコンピュータに自動入力され、目の前で図面が次々に完成していく。
さらに同社が発売するGPS測量システムと組み合わせれば、測量点の絶対位置を同時記録していくことも可能である。同社のGPS測量システムは、最低でも5衛星を受信し、GPS計測誤差を補正するディファレンシャルGPS技術と組み合わせることで1〜2センチ程度という高精度を実現している。
本島氏は「たとえば公共事業では、正確な図面あるいは図面データを発注官庁に提出しなければなりません。その効率が業務のスピードを決定づけます。現在、我々の製品と同様の機能を提案しているベンダーもありますが、測量機、CADソフト、図面出力、それにGPS計測機など、すべての要素をトータルで提供しているのは我々だけです。また、CADを最初に現場へと持ち込んだのも我々です」と話す。
ニコン・トリンブルは、測量機のニコン、GPSシステムのトリンブルの共同出資で生まれた会社だが、それ以前にJECというCADソフトを測量現場に導入した世界初のベンダーが持っていた技術をトリンブルが継承しており、三つの要素をすべて提供できるソリューションベンダーへと発展した経緯がある。各システムは単純な連携を行うのではなく、統合された一つのシステムとして連動する。それがニコン・トリンブルの持つ本質的なアドバンテージというわけだ。
同社の測量システムがターゲットとしているのは、1/500あるいは1/200といった高精細の地図の作製だ。工事を始めるに当たっては、マンホールや電柱位置などを正確に把握し、施工計画を練るためのベースとなる正確な地図が必要となる。
ニコン・トリンブルが独自の測量用CADシステム「GUIDERV」は、測量点に置くミラーを持つオペレータ(ミラーマン)がコンピュータを持ち、測量データを無線でミラーマンのタブレットPCへと送信。ミラーマンは自分が立っている場所の情報をタブレットで入力していく。
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