シャープが「AVセンターパソコン」と呼ぶ新しいコンセプトのPCが、今回紹介する「Mebius TX」シリーズである。本体の外観からはPCというイメージはほとんど感じられない。まるっきりHDDレコーダーかと思ってしまうデザインである。
これならAVラックに納められていたとしても違和感は感じられない。横置きの薄型筐体の右側に光学ドライブが配置されており、「HDD&DVD RECORDING」と書かれている。筐体中央には、受信中のテレビチャネルやHDDの残量などが表示されるステータスディスプレイを装備。前面のUSBやカードリーダーのスロットなどは押し開き式のカバーで隠されている。このあたりのデザイン処理がPCと感じさせないのだろう。
外見は「非PC」であるものの、筐体を開けて見慣れたパーツが詰め込まれているのを見ると、Mebius TXがれっきとしたPCであることが分かる。マザーボードは、Intel 865Gチップセットを搭載したギガバイト製シャープ用カスタムモデル。このマザーにはIEEE 1394やギガビットLANがオンボードで用意されている。
CPUは、Celeron D 330(動作クロック2.66GHz)で、ヒートパイプでつながれた2つのヒートシンクとファンで効率よく冷却する、特殊なクーリングシステムを採用している。
ライザカードから使うようになっているPCIスロットには、キャプチャーカードとしてピクセラのPIX-MPTV/PCIが差されていた。HDDは250Gバイト、メモリは512MバイトのDDR1枚。増設用のメモリスロットが1つ用意されている。なお、今回試用したモデルはPC-TX26GSだが、下位モデルのPC-TX26Gではメモリは256Mバイトとなる。
上位モデル下位モデルの違いとしては、メモリ容量のほかに、PC-TX26GSに付属するサブウーファーがPC-TX26Gにはなく、PC-TX26GSにはMicrosoft Office Personal 2003がプレインストールされている。
PC-TX26GTの付属ディスプレイは、26インチの大型液晶パネルを搭載。このサイズであれば、リビングのメインモニタとして迫力ある映像が楽しめる。液晶パネルは、ASV方式の低反射ブラックTFT液晶で、AQUOS相当とシャープが自慢する映りの良さは特筆。
画面の縦横比は16:9と通常のワイドテレビサイズ。PC使用時の解像度は1360×768ドットと、ちょっと変則的なサイズとなっている。コントラスト比は800:1と、一般的な液晶ディスプレイよりもずっと高く、最大輝度も500カンデラとかなり明るい。
映像の表示は一般の液晶テレビと遜色ない。ただし、ディスプレイ内蔵チューナーは地上波のみ対応で、PCに組み込まれたキャプチャーカードにあるチューナーユニットも地上波に限られる。そのため、外部チューナーを接続しない限り、映し出される映像はSD放送のみとなり、この液晶パネルの持つポテンシャルをフルには発揮させられない。
外部入力はD4に対応しているので、そこにBSデジタルチューナーを繋いでみたところ、ハイビジョン放送の美しい映像がディスプレイに表示された。この状態でようやくこのディスプレイの本髄に迫れた感じがする。これほどの表現力をもったディスプレイを地上波のみで使用するのは、いささかもったいないのではないだろうか。
バックライトがかなり明るいため、PC用ディスプレイとして使用する場合、そのままでは目が疲れてしまいそうだ。そこで、輝度を落とした省電力モードで使用したところ(これはスイッチで簡単に切り替えられる)、今度はちょうど良い感じになった。リビングなどで、離れた位置から操作する場合でも、ディスプレイをじっと見て使うなら輝度を多少落として使ったほうが快適になるはずだ。
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