ユーザーの声に応えたユーザーインタフェースに注目──エプソンダイレクト「Endeavor NT340」(1/2 ページ)

» 2005年01月31日 20時02分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

モバイルと使い勝手とエンターテイメントがほどよいバランスのB5ノート

 「携帯重視のノートPCにおける携帯性能と使い勝手のほとよいバランス」を考えていくと、その行き着く先はB5サイズになるようだ。携帯することだけを考えれば、少しでも小さいほうが楽だが、キーボードやディスプレイといったユーザーインタフェースは一定のサイズを確保しないと使い勝手が悪くなる。

 これまでもB5サイズ以下のノートPCが少なからず登場したが、それぞれの売れ行きやラインアップに存在した期間を思えば、結局、広く受け入れられた携帯重視型ノートPCはB5サイズだったのではないだろうか。今回取り上げたエプソンダイレクトのEndeavor NT340もそんな携帯性能と操作性のバランスがとれたB5ノートPCだ。

Endeavor NT340

 NT340は一般的なB5ファイルサイズに12.1インチ液晶ディスプレイ(最大解像度は1024×768ドット)を搭載し、LAN、3つのUSB2.0、IEEE 1394などを備える。CPU、HDD、光学ドライブ、無線LANはBTOでユーザーが自分の用途に応じてスペックを選択可能。光学ドライブやCPUは控えめにして、その代わりにメモリとHDDに予算を全力投入、といったわがままができるのもエプソンダイレクトの魅力といえる。

 重さは軽量バッテリー装着時で1.54キロ、約7.1時間の動作が可能な超長時間バッテリーを装着しても1.82キロと、携帯性能はそれなりに確保される。長時間、超長時間バッテリーを搭載しても背面方向に長くなるため、キー入力などのユーザビリティには影響しない。

 基本的なデザインは従来のEndeavor NT3xxシリーズ同様の、きわめてシンプルなノートPCといっていい。ただ、ディスプレイの背面(携帯するときには上面となる)部分はマグネシウム素材を使った枠造形デザインを採用して剛性を確保し、強度的に弱い液晶ディスプレイを保護している。

 Endeavor NT3xxで好評だったカラーバリエーションも継承され、標準のダークメタリック以外に、「ノーブルレッド」「ギャラクシーブルー」「シャンパンゴールド」が用意された。こちらもBTOで選択可能だ。

 Endeavor NT340は、カタログスペックで見る限り従来モデルのEndeavor NT331からほとんど変更がない。BTOで選択可能なHDDこそ、最大容量が60Gバイトから80Gバイトに変更されているが、選択可能なCPUも光学ドライブもそのまま。そのため、「Endeavor NT340は単なるマイナーチェンジ」と思われがちだが、実は使い勝手の点で大幅な改良が加えられていたのだ。

ユーザーの意見を大幅に取り入れたキーボードとフラットパッドデザイン

 Endeavor NT340で大きく変更されたのがキーボードだ。以前からEndeavor NTシリーズはB5サイズながら打鍵頻度の高いキーを19ミリにしており、文字入力のしやすさで定評を得ていた。

 その反面、キーボードを配置するスペースに限りがあるB5ノートの常として、右側の記号キーの横幅が狭くなったり、数字キーが縦14ミリピッチになるなど、一部のキーが変則ピッチになっていた。

 そこでEndeavor NT340ではキーピッチを18ミリに改め、今まで変則ピッチになっていた記号キー、数字キーも通常キーと同じ18ミリとした。アルファベットなどはキーピッチが1ミリ狭くなったことになるが、この程度の違いならデスクトップPCでフルピッチ(19ミリピッチ)のキーボードと併用するユーザーでもほとんど違和感なくタイプできる。

Endeavor NT340で大きく変更されたキーボードとフラットバッドのデザイン。ほとんどのキーが均一ピッチになり、横長の数字キーも正方に近い形に。パームレストと一体になったフラットパッドも使い勝手を向上させている

 それよりも、変則ピッチキーがなくなったメリットは格段に大きいだろう。普段19ミリピッチのキーボードしか使っていない筆者はこの原稿をEndeavor NT340で書いているが、普段のペースとなんら変わりなく文字の入力ができた。

 キートップ上のプリントも大きめの文字に変更された。このデザインは好き嫌いが分かれるかもしれないが、キーの視認性が向上したことは事実。キーストロークは2.75ミリとEndeavor NT331から変更ないが、キーボード部全体の剛性感を上げることでキータッチの改善も施されている。実際、キーボード部はたわむ感じがほとんどなく、少々強めに叩いてもまったく不安を感じない。

 また、最前列のキーレイアウトに影響を与えることなく左側に[ALT]キーが追加された。マウスを使えない状況では[ALT]+アルファベットキーのコンビネーション操作を多用するユーザーも多いだろうが、そういうコンビネーションキーを使うユーザーにとってこの変更はプラスになる。

 入力関係でもう1つの大きな変更がパームレストと一体構造となったフラットパッドだ。デザイン重視と思いきや、パッドがパームレスト部分より一段低くなったおかげで、打鍵時にパッドに親指が触れることでマウスポインタが意図しない動きをしてしまうことを防いでくれる。

 また、キーボードとフラットパッドの段差を小さくすることで、キーボードからパッドへのスムースな指の移動も阻害しない。このような構造にした場合、パームレストとパッドのパネルが別ユニットでは剛性面で問題が出るので一体にしたのだろう。もちろん、デザイン面の配慮もあるだろうが、実は快適な文字入力にも繋がるデザインの変更だったのだ。

継承された「うまい配置」のインタフェース

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