セイコーエプソンの「EPSON RAW Print」(以下、ERP)は、デジカメで撮影したRAWデータを手軽に印刷するツールだ。ERPが対応するデジカメは、セイコーエプソンの「RD-1」、キヤノンの「EOS Kiss Digital」、ニコンの「D70」の3機種で、セイコーエプソンの「PX-G5000」(以下、G5000)と「PX-G920」(以下、G920)に対応する。
では、さっそくERPの使い勝手を見ていこう。ERPの起動後、RAWファイルの保存フォルダを選択すると、サムネイルで画像が一覧される。次に、印刷したい画像のサムネイルにチェックを付けて、画面下部の印刷候補表示エリアに登録する。最後に用紙設定をして印刷ボタンを押し、G920/G5000で印刷を実行すればよい。
基本的な操作は、上記の3ステップしかない。実際の印刷は、ERPがRAWデータを展開したのち、G920/G5000に付属する印刷ツールの「EPSON Easy Photo Print」を経由して出力される。
RAWデータの利点の1つに、撮影後でも露出補正やホワイトバランスをPC上で変更できることがある。ERPでも、シーン選択(カラー画像のみ)、露出補正、ホワイトバランスという3項目を、印刷前に変更することが可能だ。
各項目の選択肢は、シーン選択が補正なし/標準/人物/風景、露出補正が±2EV(1/3EVステップ)、ホワイトバランスが晴天/曇天/晴天日陰/蛍光灯/白熱電球/フラッシュとなっている。ホワイトバランスに関しては、スポイトツールで画像内のグレー点を指定することで、色かぶりや色温度の補正が行える。
各種の補正を適用するには、まず対象画像を印刷候補表示エリアに登録し、ダブルクリックかズームアイコンで拡大表示する。続いて、調整したい補正項目のプルダウンメニューで目的の選択肢をクリックすると、拡大表示した画像に補正が適用される。
1つの選択肢を選ぶごとに補正が行われるが、RAWデータの処理時間としてはなかなか高速だ。どの調整項目を実行したときでも、Pentium4/2.4B GHzとメモリが1Gバイト(PC2700 DDR)のマシンで約1.4秒前後だった。一瞬というほどではないが、一呼吸くらいの感覚だ(EOS Kiss Digitalで撮影したRAWデータ、ファイルサイズは約7Mバイトのものを使用)。
また、「全てに適用」にチェックを付けておくと、印刷候補表示エリアに登録したすべての画像に対して、同じ補正が適用される。各種補正の組み合わせは、補正設定として保存しておき、あとから読み込んで適用することも可能だ。
なお、ERPはあくまで印刷だけのツールなので、RAWデータをJPEG形式やTIFF形式などの画像ファイルとして保存する機能はない。各種の補正も、メモリに展開した画像データに対して行われるため、もとのRAWデータはオリジナルのまま残る。
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