Prius Deck DS75Lには、多くのアプリケーションがインストールされているが、そのなかで、Prius Deckならではのソフト、といえるのが「Prius NaviStation 3」だ。「Top」「TV」「DVD/CD」「Library」の4モードを持ち、多様なコンテンツをこれ1つでコントロール可能だ。
特徴的なのが「Top」モードで、テレビのチャネルや録画された番組、CD、DVD、ニュースのWebサイトや天気予報のWebサイトなど、ジャンルの異なる情報を、同じ画面に一覧表示し、利用したいものをマウスで選ぶだけという、独特のメニューデザインをもつ。
録画の予約は、番組表から選ぶだけで簡単に行えるほか、おまかせ録画設定も可能で、ジャンルやキーワードで自動的に録画したい番組を指定できる。
視聴するときの画面サイズは、「標準画面」「全画面」「ミニ画面」のほかに、視聴画面を右サイドに寄せて番組情報を同時に表示できるモードも用意されている。ディスプレイが横長のワイド画面であるおかげで、並列表示のモードはかなり使いやすい。PCを使いながらの「ながら観」には最適だ。
HDD、DVDのどちらにも直接録画が可能。DS75Lに搭載されているDVDドライブは、日立LGのDVDスーパーマルチドライブGSA-4120Bで、DVD±R/RW、DVD-RAM、2層式DVD+Rと、あらゆるDVDメディアを利用できる。
Prius NaviStation 3には、ユニークな「いいとこ観」機能がサポートされている。一般的に、録画した映像ファイルを再生する場合、放送時間と同じ時間を費やすか、早送りやスクロールバーを操作して「飛ばし観」をすることになる。ところが、早送りやスクロールバーで適当に再生する方法では、サッカーのゴールの瞬間など、一瞬で起こる最も観たい部分を飛ばしてしまうことが多々ある。
大事なところは見逃したくないけど時間がないので短時間で再生したい、という要望を両立するために用意されたのが「いいとこ観」機能だ。これは、録画された映像の動きと音声を解析し、盛り上がっている大事な部分だけを抜き出す機能。現在は「野球」「サッカー」のモードが用意され、それぞれのジャンルで盛り上がりそうな動きの変化や音量の変化があった場面を抜き出して再生する。大事な部分だけを集めたダイジェスト版が再生できてしまうのである。
残念ながら、DS75Lの評価作業中に、野球もサッカーも試合中継がなかったため、本来の機能を味わうことはできなかったが、ものは試し、でNBAバスケットボールの試合とNFLフットボールの試合を、野球モード、およびサッカーモードで視聴してみた。
バスケットの試合では、あまりに動きが早く、盛り上がる回数も多くて短いためか、いいとこ観はあまり有効ではなかったが、それでもサッカーモードよりは野球モードで多少適切な部分が再生され、なんとか試合の流れは分かった。が、しかし「面白い!」となるまでには心が動かない。
NFLはサッカーモードで一応それらしい箇所が抜き出されるものの、こちらも大事なシーンを飛ばされてしまうなど、「興奮!」するには至らなかった。ただし、再生率を50%程度まで上げると大事なシーンは飛ばされなくなり、モードで設定されたジャンルとは異なるスポーツでも、「いいとこ観」の効果が実感できるようになる。
思うに、TV番組でも、ダイジェストで構成されるスポーツニュースは「結果を確認」するものであって、「実況中継」のようにスポーツの熱気と興奮を堪能するものではない。「いいとこ観」もそのコンセプトは録画した内容を確認する、にあるのだろうか。
2005年の春モデルは、多くの国内メーカーでAV利用を重視し、「テレビ画面の高画質」をアピールしている。もう「美しい」だけででも違いは打ち出せない状況で、Prius Deck DS75Lは、Wooo譲りの高画質と3つのチューナーユニットによる多チャネルの視聴と録画、だけでなく、「いいとこ観」という新しいアイデアで差別化を図っている。「いいとこ観」がどれだけユーザーの(とくに野球やサッカーフリークの)ツボを押さえた場面を抜き出してくれるかで、その評価は大きく変わってくるだろう。
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