マイクロソフトカップ決勝で、スコアブックテンプレートの使い勝手を試したレポート

東芝府中ブレイブルーパスとヤマハ発動機(ジュビロ)の2強の激突となったマイクロソフトカップ決勝戦。その舞台となった秩父宮ラクビー場にスコアブックテンプレート「Visco For Rugby」をインストールしたTabletPCを持ち込んで、使用感をチェックした。

» 2005年02月08日 09時30分 公開
[栗田昌宜,ITmedia]

「Visco For Rugby」の使い勝手はいかに

 マイクロソフトは去る1月12日、社会人ラクビーの8強が激突する「マイクロソフトカップ」の前夜祭に合わせて、ラグビー用スコアブックテンプレート「Visco For Rugby」を無償提供開始すると発表した(関連記事参照)。

 ビジネスグラフィックスソフト「Microsoft Office Visio」上で動作する同テンプレートは、日本ラグビーフットボール協会のアドバイスを得ながら、マイクロソフトと開発パートナーであるマイスターが協力して開発したもの。現在は主に紙で管理されているラクビーのスコアブックをデジタル化することで、出場・交替入替・退場選手や得点、反則、カードといった各種記録の入力・集計・分析などを効率化できる。

「Visco For Rugby」のメイン作業画面

 紙のスコアシートをつけたことがある人なら違和感なくすぐに馴染めるように、Visco For Rugbyのメイン画面には、社会人ラクビーの「トップリーグ」で使用されているスコア表記が採用された。操作方法も、スコアシートの横に並んだ図形(スコアマーク)をスコアシート上にドラッグ&ドロップし、ポップアップ表示された画面で記録したい項目を選択(または入力)するだけと、きわめて簡便なものだ。選手のポジションをビジュアル表示できるほか、フォーメーション変更などにも容易に対応できるという。

得点の入力画面。得点の種類や得点選手名、得点時間などを選ぶだけでスコアシートにデータを入力できる
「選手登録」の画面では、選手のポジションをビジュアル表示できる

 また、TabletPCとの相性が抜群なのも、Visco For Rugbyの特徴だという。PCの操作に慣れていない人でも紙のスコアシートへの書き込みに似た感覚で操作できる上、チームスタッフや控え選手が座るフィールドのベンチや競技場の観客席といった座るのがやっとのスペースでも不自由なく使用できるという。

 以上のように、ニュースリリースやマイクロソフトカップ前夜祭での取材で得たVisco For Rugbyの特徴を列記すると何やら良いことずくめのようだが、現実のラクビー試合の現場でも、謳われているような特徴を享受できるのだろうか。それを確かめるべく、Visco For RugbyをインストールしたTabletPCを携えて、ラクビーの聖地、東京・秩父宮ラクビー場を訪れた。

ルールさえ知ってれば、あとは見当で使いこなせる

 検証の舞台に選んだのは、東芝府中ブレイブルーパス vs. ヤマハ発動機(ジュビロ)のマイクロソフトカップ決勝戦だ。東芝府中は今シーズンのトップリーグ覇者、ヤマハはトップリーグ2位で、どんでん返しのあるトーナメント戦の決勝でも、現在もっとも力のある2強の激突となった。

マイクロソフトカップ決勝戦は社会人ラクビーの2強が激突する好カードとなった

 なお、今回の検証取材には、強力(?)な助っ人も用意していた。学生時代に大学ラクビーにハマり、以来ラクビー観戦歴十数年という知人のI氏である。I氏には、メインS指定席券との引き替えに、Visco For Rugbyの試用という大任をお願いした。

 Visco For Rugbyの第一印象を聞くと、「図形をドラッグ&ドロップして項目を選ぶだけなので、とても分かりやすい」とのこと。ちなみにI氏はラクビーのスコアシートをつけた経験はないが、「ルールさえちゃんと知ってれば、基本操作を教えてもらえば、あとは見当でだいたい使いこなせる」という。

試合開始の1時間ほど前にVisco For RugbyをインストールしたTabletPCを渡し、使い方に慣れてもらった

 試合は、序盤は東芝府中が優勢。2トライ1ゴールキックで12対0とヤマハを引き離すものの、前半38分にはペナルティゴールで12対3、後半早々にもペナルティゴールを許し、1トライ1ゴールキックで逆転となる12対6まで差を詰められた。

地力に勝る東芝府中(赤のジャージの)が序盤戦を完全に支配。一方的な展開になるかと思われたが……
ヤマハも前半39分(公式記録では38分)のペナルティゴールで盛り返す

 そこから後半30分過ぎまでは、一進一退の攻防。一時はあわやというところまでヤマハに押し込まれたが、そこを何とか耐えしのぎ、後半33分にペナルティゴールを奪うと、40、41分にもダメ押しとなるトライとゴールキックを決め、20対6で東芝府中が今期2冠を達成した。

2冠を達成し、喜びを爆発させる東芝府中の選手とチームスタッフ
マイクロソフトカップ決勝戦の最終スコア

 試合終了までスコアをつけてもらったあとで、総合的なVisco For Rugby+TabletPCの印象をI氏に尋ねた。

 「思っていた以上に使いやすかった。ノートPCだと机がないと実用にならないが、TabletPCだと膝の上に置いたり小脇に抱えてごく自然に使用できる。聞いて知ってはいたが、思わぬ再発見だった。また、PCなので当たり前だが、間違ってもアンドゥで元に戻せるので、操作に対する不安感がないのもいい」(I氏)。

 ただし、今回の検証取材に関しては、かなりストレスを溜め込んだようだ。「マイクロソフトカップの決勝戦を特等席で観戦できるというので頼みを聞いたが、スコアをつけることに気を取られ、全然試合を楽しめなかった。こんなことなら自腹で観に来た方がよかった(怒)」(I氏)。

 Iさん、お疲れ様でした。

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