高画質キャプチャーカードと大容量HDDでテレビを楽しむ──富士通「FMV-DESKPOWER H70K9V」(1/2 ページ)

» 2005年02月14日 18時33分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

Athlon 64対応のRADEON XPRESS 200を採用

 2005年春モデルで登場した「FMV-DESKPOWER H70K9V」。外見は従来モデルと同じに見えるが、中身は思いっきりリニューアル。その目玉的存在が、Athlon 64の搭載である。従来モデルが採用していたインテルプラットフォームから大幅な路線変更になる。

デザインそのまま中身は大変身のFMV-DESKPOWER H70K9V

 CPUの変更にともなって、マザーボードはGIGA-BYTEのGA-8KA480を採用。このマザーボードは、RADEON XPRESS 200チップセットを搭載している。このチップセットは、2004年11月に発表されたが、DIY市場でもこのチップセットを採用したマザーはまだ少ない。

 Athlon 64、Athlon 64 FX、Sempronに対応するほか、Serial ATAやUSB 2.0に対応する高機能チップセットだ。内蔵するグラフィックスは、RADEON X300をベースとしたもので、Direct X 9世代のバリュークラス相当のグラフィックス性能を発揮する、とATIは説明するが、それはローカルでビデオメモリを実装している場合の話だ。

 Athlon 64に切り替えたH70K9Vであるが、搭載するのは低クロックモデルであるAthlon 64 3000+。メモリは、PC3200/256Mバイトが2枚差さっている。このうち64MバイトはRADEON XPRESS 200のビデオメモリに割り当てられているため、システムメモリは448Mバイトとなる。ATI RADEON XPRESS 200では、ビデオメモリ用のローカルバッファにも対応しているが、このマザーボードでは採用されておらず、UMAでメインメモリが使用されている。

 外部インタフェースとして、BroadcomのギガビットLAN、6ポートのUSB 2.0、IEEE 1394、SDカードスロット、PCカードスロットなどのコネクタを装備。さらに、D2出力端子を備えており、セットの液晶ディスプレイのほかにTV出力が可能。D2を大画面テレビに接続して高解像度高品質の再生も楽しめる。

 Athlon 64を採用したことで、「cool'n quiet」が利用可能に。これは、システムの負荷によってCPUの動作クロックやファンの回転数などをコントロールする技術で、テレビ利用を重視したDESKPOWER Hで求められる静音化に貢献する。

 ただし、評価作業中における筆者の印象としては、ケースファンの音は常に聞こえている状態であったため、テレビ視聴時にはメーカー側が主張するほどの静音化効果はあらわれていないと感じられた。

 HDDは、Serial ATA対応の容量200Gバイトと250Gバイトの2基を搭載している。2004年冬モデルでもHDDを2基搭載していたが、春モデルではそれから50Gバイトアップしている。容量アップにともない、富士通がカタログでうたう最大録画時間は390時間から435時間へとアップした。

縦置き横置き両対応の「新スタイルAVパソコン」

 FMV-DESKPOWER Hシリーズの筐体は、薄型のデスクトップタイプ。付属のスタンドを使えば、省スペースデスクトップPCのように縦型設置が可能。45×41センチの筐体はその重量もかなりあるため。その重量を支えるスタンドは25センチ程度の設置幅を必要とする。

基本は重ね置きだが、スタンドを使えば普通の省スペースPCのような設置も可能。ただし、重い筐体を支えるため幅広のスタンドを使うようになる

 この筐体の最大の特徴は横置きを可能としたこと。横置きにして、付属の液晶ディスプレイを重ねて設置すれば、かなりの省スペースとなる。重量のある19インチの液晶ディスプレイを乗せたときに、筐体がゆがまないように、筐体の底面には通常のコーナーにある4本の足に加えて、中心部にも足を付けた5本足となっておる。

 先ほども触れたように、筐体の奥行きは41センチほどあるため、配線の分も含めると、設置場所の奥行きとして46〜47センチ程度は確保したい。先日掲載したFMV DESKPOWER CE70付属の液晶ディスプレイでも紹介したように、ベースには、サブウーファーが組み込まれており、ディスプレイだけでも約25センチほどの奥行きが必要になる。

 本体に液晶ディスプレイを重ねると、筐体の前部にキーボードを一緒に乗せられるほどの空間ができる。使わないときやリモコンで操作するとき、キーボードを置いておくことのにちょうどよいだろう。

 筐体のデザインは、HDDレコーダーなどのAV機器を模したものになっているが、幅は一般的AV機器よりやや広く、AVラックに収まらない場合もあるため注意したい。

 本体前面には、光学ドライブのほかに、PCカードスロット、SDカードスロット、USB 2.0、IEEE 1394などが配置され、頻繁に抜き差しをする外付け機器の接続に便利だ。さらに、PCとしては珍しく、ビデオ/Sビデオ+オーディオの映像入力端子が前面に用意されている。ビデオデッキや外付けチューナーなどを臨時に接続する場合、容易に作業ができるので、たとえばVHSなどアナログの録画データの取り込みなどで重宝しそうだ。

AV機器のようなフロントデザイン。下側の黒いパネルを跳ね上げると各種インタフェースにアクセスできる。ケーブルを差した状態であけたままになってしまうのは、似たデザインをもつPCと同様

背面はUSB、LAN、PS2にVGAとPCらしい雰囲気になる。ただし、ディスプレイ配線は専用のコネクタが用意されケーブル1本で接続されるため、通常ではVGAを使うことはないだろう

動画再生能力に優れた19インチ液晶で、プライベートルームがAVルームに変わる

 H70K9Vに付属する19インチ液晶ディスプレイは、富士通のテレビチューナー内蔵モデル「VL-19VSI」である。最大解像度は1280×1024ドット、画面の縦横比は4:3となる。最近のAV重視タイプのPCでは、ワイド液晶ディスプレイが付属する製品も多いが、19インチというサイズは、PCとして使用するときに使い勝手が良く、4:3に比率であっても人気が高い。たとえ、ワンサイズ大きい23インチのワイド液晶であっても、縦方向の解像度が768ドットという場合もある。PCディスプレイとしての使い勝手を考えれば、「19インチで4:3」は正解だろう。

付属の19インチディスプレイはFMV-DESKPOWER CE70Kでも紹介した「VL-19VSI」で、ユニークな外見の3Dスピーカーシステムを採用。インタフェースとしてD4入力も備えている

 19インチというサイズは、リビングにおいてみんなで取り囲んで見るテレビとしては小ぶりだが、独り暮らしの場合や、仕事部屋、書斎などのプライベートルームなら、メインのテレビとしても十分に使える。たしかに16:9の映像を再生すると、大型ワイドテレビほどの迫力はなくなるが、VL-19VSIは高い解像度を持っているため、近い位置から観ても美しい映像が楽しめる。

 液晶パネルは、高輝度スーパーファイン液晶を使用しており、映像の品質はかなりいい。ディスプレイの外部入力端子はD4にも対応しているので、ハイビジョン対応デジタルチューナー用ディスプレイとしても利用可能だ。内蔵チューナーは地上波のみだが、3DY/C分離回路搭載の高画質チューナーとなっている(ただし、ゴーストリデューサは搭載していない)。

 VL-19VSIは、2画面表示機能を搭載しているので、PCのテレビチューナーと内蔵チューナーの映像を同時に表示可能だ。PCとは専用DVIインタフェースによって、ケーブル1本だけで接続される。

 また、VL-19VSIがサポートする「あざやかウィンドウ表示」は、再生するコンテンツの種類によって輝度を変化させる機能。映像や画像を表示すると、自動的に「あざやか表示」にしてくれる。PCにおける動画再生は、テレビに比べて暗くなってしまいがちだが、この機能によって、テレビと同じ明るさの映像が楽しめる。

高画質化機能を搭載したテレビチューナーユニット

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