ベンチマークを走らせるなど、本体に負荷をかけると冷却ファンの回転数は確実に増加する。静か、とまでは言い難いが十分許容範囲。極端に「ブォン」とはならない点は、逆に好印象だ。ただし、暖房があるとはいえ冬場のテストであることも事実なので、気温が高い夏場ではどうなのかはわからないが。
残念なのは、HDDのシーク音がとても目立ったこと。冷却ファンの音が抑えられているだけに逆に気になるし、正直言うとうるさかった。しかし、これはHDDの動作モードを変更すると大きく改善したことも報告しておこう。
本機のBIOSセットアップメニューには、HDDの動作モードの設定項目があり「Quiet」にすれば、本機の騒音レベルは、家庭用PCとして十分合格点が与えられるものになる。標準設定が「Quiet」になっていないのは、やはり対象ユーザーが企業ユーザーだからだろうか。
オフィス向けのごく普通な省スペースPC、と言ってしまうと味も素っ気もないのだが、筆者が評価したいのは、拡張スロット周りの工夫だ。マザーボードには、グラフィクス用のPCI Express X16が1つと、PCIが2つの合計3スロット構成。
通常はこれらにロープロファイル仕様の拡張カードが増設できるのだが、本機のようにライザーカードとメカが一体になったライザーケージを選択することで、標準的なハーフハイトサイズのボードが増設できる構成を選択することも可能だ。
ライザーケージは、PCI Express+PCI、または、PCI×2のものが用意されている。こういった所までユーザーの希望に応じて選択できるのは、デルらしいところだ
また、スタンドなしでも、縦置きと横置きの両方が可能だったり、ワンタッチで簡単にサイドパネルが開くなど、使い勝手も良い。35.3センチと、このクラスとしてはコンパクトな奥行きなど、本機を見るとオフィス向けだけで終わらせるのはもったいない気がする。
もちろん、デザインは色と造り含めて「業務用」といった趣だし、モデムやカードリーダーも用意されていない。グラフィックス周りも、Intel 915Gチップセット内蔵のIntel GMA 900を利用する(オプションでRADEON X300/X300SEが選択可能)が、そのビデオメモリのメインメモリ共有セッティングは「8Mバイト」「1Mバイト」しかBIOSで選択できないなど、このまま本機を家庭で使うことが、手放しでお勧めできるわけではないのだが。
デルはこれまでも、業務用のOptiPlexシリーズで使ったプラットフォームを一般家庭向けのDimensionシリーズに展開することが多かった。今後BTXを採用した家庭用PCの登場の可能性も高いだろう。その時は、どんな味付けで登場するのか「興味深く」待っていたい。
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