HPならではの主張は、ケースだけでなく基本スペックにもきっちりと盛り込まれている。
採用されるチップセットは、Intel 865Gから外部AGPのサポートを省略したIntel 865GVだ。上位モデルは最新チップセットのIntel 915ファミリーに移行しており、その点では古い世代といえるが、デュアルチャンネルメモリーやFSB 800MHzのPentium 4プロセッサーのサポートなど、まだまだ現役として通用するだけの性能は備えている。
何より、このクラスのライバル機の多くが、旧世代のチップセット(Intel 845など)や、互換チップセットを搭載していることを考えると、本機のアドバンテージが見えてくる。加えて、メモリースロットをライバル機の倍にあたる4本も実装しており、メモリーの増設が柔軟に行なえるのもうれしい。
スリムボディーゆえ、さすがにドライブベイに空きはなく、前述の通りAGPスロットも持たないが、3本のPCIスロット(装着可能なのはロープロファイル仕様のカードのみ)を用意しているので、将来的な拡張性も問題ない。ユニークなのは、865GV内蔵のグラフィックス機能のほかに、CTOでNVIDIA Quadro4 280NVS搭載のPCIカードを追加(+13,650円)できる点だ。このカードは64Mバイトのグラフィックスメモリーを実装し、2画面表示用に2つのD-Sub 15ピン端子を備えた分岐ケーブルが付属する。2D/3Dを問わず描画性能を追求したい場合や、デュアルディスプレイを利用したい場合は迷わず選択しておこう。なお、DVIとD-Subの二股ケーブルは別途オプション製品(5,040円)としてラインナップされている。
スペック面のこだわりとともに、冷却機構にも着目したい。本機は大小あわせて3つの冷却ファンを内蔵することで、システム内部の熱を効率よく外部に排気している。具体的には、熱源となるプロセッサーに直径7cmのシロッコファンを備え、プロセッサーとシステム内部の熱を外部に放出している。もう1つの熱源となる7200回転のハードディスクは、上面手前側(縦置き時)にある5cm角の吸気ファンで外気を取り入れ、ドライブの下側に位置する電源ユニットの排気ファンで電源の熱とともに排気される仕組みだ。3つもファンがあるため、風切り音が懸念されるところだが、意外にも静粛性は高く、耳障りなノイズはそれほど気にならなかった。ちなみに、シロッコファンの回転速度はBIOSセットアップで4段階に変更できる。
このような冷却機構は安定したシステムの運用に欠かせない要素だが、ビジネス用途で重要なセキュリティー面の配慮はどうだろうか。
HPはデスクトップPCとノートブックPCを問わず、BIOSレベルでのセキュリティー機能を標準で搭載している。本機も例外ではなく、電源投入時にパスワードを入力するように設定できたり、BIOSの不用意な変更を防ぐ管理者パスワードを設定可能だ。細かいところでは、USBメモリーキーによるデータ持ち出しを防ぐためにUSBポートを無効化(前面ポートのみ無効化も可)したり、フロッピードライブの書き込みも無効化できるなど、多彩な機能が目白押しだ。OSが起動する前段階でさまざまなロックが行なえるので、安全性はワンランク上といえるだろう。個人向け用途では過剰な装備のように思えるが、廉価モデルでもセキュリティー機能を省略しない点は好印象だ。
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