Visio+TabletPCはビジネスモバイルコンピューティングをどう変えるか?レポート(1/2 ページ)

「Microsoft Office Visio」は、単なるビジネス向け“お絵描き”ソフトではない。同ソフトをTabletPCと組み合わせることにより、ビジネスモバイルコンピューティングの今後の有り様を大きく変えていくことも可能だ。TabletPCを切り口に、Visioの機能と特徴を紹介しよう。

» 2005年04月05日 09時30分 公開
[栗田昌宜,ITmedia]

図形を入り口に各種データやソフトとも連携可能

 ヤマハ発動機(ジュビロ)の追撃をはねのけ、東芝府中ブレイブルーパスがトップリーグに続いて今期2冠目を達成した社会人ラクビーの「マイクロソフトカップ決勝戦」。その決戦の舞台に乗り込んで、TabletPCにインストールしたラグビー用スコアブックテンプレート「Visco For Rugby」の使い勝手や使用感をチェックしたのは既報のとおりだ(2月8日の記事参照)。

 同テンプレートは、日本ラグビーフットボール協会のアドバイスを得ながら、マイクロソフトと開発パートナーのマイスターが協力して開発したもの。大部分の操作をポインティングデバイスだけで実行できる簡便な操作性が特徴で、画面の左側に並んだ図形をスコアシート上にドラッグ&ドロップし、ポップアップ表示された画面で記録したい項目を選択または入力するだけで、出場・交替入替・退場選手や得点、反則、カードといったスコア情報を簡単に記録できる。選手のポジションをビジュアル表示できるほか、フォーメーション変更などにも容易に対応することが可能だ。

「Visco For Rugby」のメイン画面
得点の入力画面。得点の種類や得点選手名、得点時間などを選ぶだけでスコアシートにデータを入力できる

 この“優れモノ”スコアブックテンプレートのプラットフォームになっているのが、ビジネスグラフィックスソフト「Microsoft Office Visio」である。

 Visioはただのドロー系“お絵描き”ソフトではない。最大の特徴は、「シェイプ」と呼ばれる図形自体にユーザーが独自に設定した多種多様なデータ(カスタムプロパティ情報)を持たせたり、関数で図形の形や動きをコントロールできる点だ。

 例えば、ネットワーク構成図を作成するケースでは、豊富に用意されたLANケーブルやルータ、サーバ、PCなどのテンプレートシェイプをドラッグ&ドロップでドキュメント上に配置するだけで、簡単にネットワーク構成図を作成できる。また、個々のPCのシェイプにカスタムプロパティ情報を設定することで、コンピュータ名やネットワーク名、IPアドレス、サブネットアドレス、MACアドレスといった各種の管理情報までもが、1枚のネットワーク構成図で一元管理することが可能だ。

 さらにこれらのデータは、Excelや、Accessなどのデータベースソフトとの間で双方向にやりとりできる。つまり、ネットワーク構成図の管理情報だけを抽出してExcelでレポートにまとめたり、データベース内の情報とVisioのシェイプを関連付けることにより、シェイプのドラッグ&ドロップでデータベースからデータを取り込むといったことが簡単にできるのだ。

 Visioが情報システム部門のITプロや業務プロセスの可視化(フローチャート化)に取り組んでいる生産管理/業務管理部門の担当者に高く評価されているのは、Visioにしかないこのような機能・特徴があるからである。

自動車見積システムでの応用例。データベース内の価格情報と関連付けられた各自動車やオプション品のシェイプをドラッグ&ドロップし、ポップアップ画面でグレードなどを選択するだけで見積書を作成できる

Visio+TabletPCはフィールドワーク支援に最適

 TabletPCとの親和性の高さもVisioの特徴だ。Visco For Rugbyや自動車見積システム(前ページ図版を参照)の例でも分かるように、大部分の操作がスタイラスペンなどのポインティングデバイスだけで実行できるからである。

 Visioをユーザーインタフェースに使用したシステムソリューションを企業向けに提供している同社ビジネスプロダクティビティソリューション本部 ビジネスツールズソリューショングループのエグゼクティブアドバイザー佐藤久氏は、その具体例として事故検分システムやプラント保全システムを上げた。

Visioを使用した企業向けシステムのデモを交えながらインタビューに応えるエグゼクティブアドバイザー 佐藤久氏
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