一般的にワークステーションといえば、無骨かつ大型で使い勝手は二の次という業務用システムが頭に浮かぶが、本機ではその心配もない。カーボン&シルバーのツートーンカラーを採用したミドルタワーケースは、横幅が168mmとスリムなうえに、高さも450mmと机の上に設置しても威圧感が少なくてすむ。
優れたメンテナンス性も見どころだ。ケースカバーや拡張カード、光学ドライブやハードディスク、マザーボードまでもが工具を使わずにワンタッチで着脱できる。緑色のプラスチック部分を操作すればパーツの取り外せるなど、内部がわかりやすく色分けされているのも好印象だ。拡張性は5インチベイと3.5インチベイが3基ずつと不満はなく、前面に6ピンのIEEE1394と2基のUSB 2.0ポートが並べられ、アクセス性が高いのもポイントといえる。
内部は電源ケーブルが多少ごちゃごちゃしているものの、総じてゆとりがある。前面から吸気して背面にある電源ファンや9cm角のセカンドファンで排気を行なうが、静粛性にも配慮されており、アイドル時はグラフィックスカードの冷却ファンの風切り音が耳につくほどだ。システムに高い負荷をかければそれなりに騒音は発生するが、処理が終わればすぐに冷却ファンの回転数が下がる。冷却ファンの回転数はBIOSセットアップで7段階にきめ細かく調整が可能だ。
メンテナンス性だけでなくセキュリティーにも配慮が見られる。盗難防止用にケースカバーに電磁ロックをかけたり、電源オフ時にケースカバーが開けられると、次回起動時にBIOS画面でアラートを出すといったことがBIOSセットアップで簡単に設定できる。PC起動時やBIOS変更の際にパスワードの入力を求めるように設定できたり、USBポートやフロッピードライブ、シリアルやパラレルといった各ポートの無効化など、細かな設定が行なえるのは同社のHP Compaq Business Desktopシリーズと共通だ。
さて、HP Workstation xw4200/CTのレビューはいかがだったろうか。目ざとい方ならば、「ワークステーションといっても普通のPCとそんなに変わらないじゃん」と思われるかもしれない。確かに、技術的な面を見れば間違いではないが、高い信頼性が要求されるワークステーションでは、採用されたパーツ単体はいうまでもなく、システムとしての品質管理や動作検証、ソフトウェアベンダーやグラフィックスベンダーとの協力で動作環境の検証や認定、不具合の対応が行なわれており、単なる自作PCやショップブランドのPCとは明確に異なる製品に仕上がっている。独自仕様のBIOSやメンテナンス性の高いケースなど、メーカー製ならではのアドバンテージも大きな魅力だ。
そして何よりも、最小構成で88,830円、評価機の構成でも116,130円とデスクトップPC並みのプライスパフォーマンスは満足感が高い。標準で3年間の翌日オンサイト保証(エンジニアの出張修理サービス)と3年間のパーツ保証がついており、サービス&サポート体制にも抜かりはない。注文時にハードウェアサービスのHP Care Packシリーズを選択すれば、サポート期間の延長や4時間対応のオンサイトサービスにアップグレードできる。
あまのじゃくな筆者からすれば、本機を「パワフルなデスクトップPC」と見立てて、メインマシンのベースモデルとしての購入をおすすめしたい。特にグラフィックスレスのモデルを選び、NVIDIAのGeForceかATIのRADEONシリーズなどコンシューマー向けのグラフィックスカードを装着してゲームPCにしたり、大容量のドライブを増設してノンリニアビデオ編集PCに仕立てるのも面白いだろう。HPが想定するターゲットからは大きく外れてしまうが、これだけ安価に入手できるとなると、「単なるワークステーション」という枠にとどめてしまうには、あまりにももったいなく感じる。
高いポテンシャルを秘めたワンランク上の選択肢として、購入時の候補にいれてみてはいかがだろうか。
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