入門その1「PICで遊ぶために必要なもの」春だからはじめる工作教室(2/2 ページ)

» 2005年04月11日 17時27分 公開
[小林哲雄,ITmedia]
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「とりあえず、タダ!」で遊ぶ環境をそろえてみる

 PICはマイコンなのでプログラムを作るには開発環境が必要だ。ところが、多くの技術者に開発してもらえないとPICそのものがたくさん売れない、という事情があって、「最低限の開発環境」なら開発元謹製のものが「タダ」で手に入る。

 ここでいう「最低限」とは「高級言語でない」という意味で、アセンブラとエディタ、そしてシミュレータが統合された「MPLAB IDE」(現在はVer.7.10)がフリーの開発環境として用意されている。これを使えば、プログラムを書いてその場でアセンブルして、ソースを見ながら動きをシミュレートできるシンボリックデバッグが可能、と意外と本格的な開発が可能。

 開発元は高級言語を有料で提供しているが、サードパーティが高級言語をサポートした開発環境のお試し版を用意している場合がある。このなかには12F675程度ならフル機能使えてしまう「高機能お試し版」を提供している太っ腹なソフトメーカーもある。

 今回の工作教室のテーマは「PIC入門」ということなので、ハンダこてがどうのこうのという電子工作の部分は極力少なくしている。さらに、前段で説明したように最小限の開発環境ならタダでダウンロードできる。もしも実際に回路を組み立てず、PC上でPICの動きをシミュレートするだけならお金をかけずに遊べてしまう。

 ただ、面白いのはやっぱり「実際にPICに書き込んで動かしたい」となる。そこで、PICにプログラムを書込むツールとその書き込むツールの回路を組み立てる電子工作が必要になる。書込み環境は千差万別だが、ここでもフリーの回路としては有名なJDMプログラマがあって、これと対応したフリーの書込みソフトを使えば、あとはパーツ代だけ(それでも千円程度だ)で済む。

 「アセンブラのプログラミングはできるけど電子工作はどうも」というならば、完成品(例えばソリトンウェーブの製品を千石電商で扱っている)もあるし、個人で改良した回路を発表するだけでなく、キットを作成して配布しているWebサイトもある。

 なお、JDMプログラマとその亜流はRS-232Cから電圧を得るため、ノートPCやUSBとRS-232Cの変換アダプタでは動作しない。USB-RS232C変換アダプタでも大丈夫、かつ安価で作りやすいライタキットとして秋月電子の「AKI-PICプログラマーキットVer.3.5」(6700円)、および「Ver.4バージョンアップキット」(1500円)がある。さらに、ケーブルと電源のセットに1000円前後、USB-RS232C変換ケーブル1200円前後の支出。

 ほぼ純正の開発キット「PIC START+」もあるが(ソリトンウェーブも互換製品を販売している)、「これからPICで遊びます」というビギナーなら不要だろう。

AKI-PICプログラマーキットVer.3.5。かつては入門キットの定番だった

 そうそう、肝心かなめのPICも忘れずに購入しておこう。12F675はフラッシュROMを使っているため、何度でも(規格上は10万回)プログラムの書き直しができる。ICのピンを折るとかよほどの失敗がない限り1個でも問題ないが、まずは2個ぐらい買っておくとよいだろう。なんたって秋月電子で150円ぐらいで購入できるのだから。

 ただし、これらPICと開発キットの購入は今すぐでなくてもよい。また、工作のときにもう少し必要なものが出てくるので、この記事を読んであわてて買いに走る必要はない。次回の記事を見てその気になってからでも十分なのだ。で、その「次回」では開発環境のダウンロードと簡単なプログラミング、そしてデバッグの方法を紹介してみたい。

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