さて、今回取り上げる日本HPのHP Compaq Tablet PC TC1100は、特徴的な外観だけでなく、OSにWindows XP Tablet PC Editionを搭載しているのが目を引く。このWindows XP Tablet PC Editionは、Windows XP Professionalのスーパーセットで、ペンデバイスのサポート、音声入力エンジンやAPIを実装しつつ、既存のWindowsアプリケーションとの互換性を維持している。ペンと紙の世界をPCへ融合することを目指した同OSだが、2002年に登場して以来、地道にバージョンアップが行なわれ、現在ではWindows XP Service Pack 2を適用したWindows XP Tablet PC Edition 2005が最新版となっている。
そもそも、タブレットPCは紙に文字を書く感覚で操作できるピュアタブレット型と、ノートブックPCのように扱えるコンバーチブル型の2タイプが提供されてきた。後者は液晶パネルを回転させることでノートブックPCとしても利用できる高い汎用性が武器だが、純粋にタブレットPCとして使うには重量が重く、ノートブックPCとの差別化も微妙であった。
その点、HP Compaq Tablet PC TC1100は単体でピュアタブレット型として、付属のシート型キーボードを取り付けることで、コンバーチブル型としても活用できる、まさにいいとこ取りの1台に仕上がっている。加えて、オプションのドッキングステーション(35,700円)を購入すれば、省スペースデスクトップPCとしても利用可能な高い柔軟性を備えているのも魅力だ。
10.4インチで1024×768ドット表示に対応した液晶ディスプレイには、電磁誘導式のデジタイザーが内蔵されており、付属のワコム製ペナブル電子ペンでWindowsのオペレーティングやペン入力を行なう。ペナブル電子ペンは電池が不要で重量が16gと軽く、直径11mmと適度な太さがあるので握りやすい。アイコンやボタンをペン先で直接クリックする操作性は独特ながら直感的に扱えるため、慣れれば思った以上に使いやすい。ペンには右クリック用のボタンがあるので、Windowsの操作も快適だ。
OSが最新の2005となって手書き文字認識の精度が大幅に向上しただけでなく、文脈認識機能やリアルタイム文字認識機能が加わり、使い勝手が改善されているのも見逃せない。
本機ならではのポイントとして、右側面にあるQ Menuボタンとジョグダイヤルが挙げられる。Q Menuボタンを押すと輝度調整やサウンドのオン/オフなどの指定が行なえるランチャーメニューが起動し、直接ペンで選ぶか、ジョグダイヤルで選択してダイヤルボタンを押し込むことで機能を実行できる。Q MenuにはタブレットPCで頻繁に扱う項目がまとまっており、何かと重宝する。また、ワンタッチボタンやジョグダイヤル、画面上の3つのボタンにそれぞれ好みの機能を割り当てられるのもうれしい。
液晶ディスプレイの表面をハードカバーのガラスでコーティングすることで、携帯時の耐久性を高めるとともに、ほこりや指紋などの清掃が容易な点も本機のアドバンテージといえるだろう。A4サイズを下回るボディーサイズと、約1.4kgと携帯も苦にならない点も好ましい。ACアダプターのサイズも小型で、ケーブル込みでも約400gと軽量だ。
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