生産ライン増強とPMRで小型市場拡大を狙う東芝のHDD事業

» 2005年05月13日 16時53分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 東芝は小型HDDに大きな野望を抱いている。

 ノートPCと音楽プレーヤー向け小型HDDで評判の高い東芝は5月12日、松下電器産業子会社のパナソニック四国エレクトロニクス(松下寿電子工業が社名変更)から、米カリフォルニア州フレモントにあるHDD設計センターを買収したと発表した。取引内容は明らかにされていない。

 東芝は今後、2年以上前から仕事を委託してきたこの設計センターを通じて、低価格で大容量の次世代HDD開発を強化する。

 (買収後は)約50人の技術者が、PCメーカーと家電メーカーを含む東芝の顧客各社の製品にドライブを組み込む作業の支援にあたり、将来的な小型ストレージデバイス需要を後押ししていくと、東芝の米国部門である東芝アメリカ情報システムのストレージデバイス部門ジェネラルマネジャー、スコット・マッカビー氏は説明した。

 「より大きな視点から言えば、東芝は(HDDの)スモールフォームファクター分野を動かし、先導していくことに完全にコミットしている。この分野の競争は激しさを増しつつあり、日本における私たちのリソースは限られている。これまでの関係を通じて証明されたこのセンターの技術力は、当社の全社的な事業方針に合致する」(マッカビー氏)

 小型HDDは、通常の2.5インチのノートPC用HDD、3.5インチのデスクトップPC用HDDに対し、東芝製品では0.85インチ〜1.8インチで、その利用は最近急速に広がっている。

 小型HDDの登場で、PCメーカーは出張者向けノートPCの小型化と薄型化を促進するとともに新しいタイプのデバイスの投入も可能になった。最も良く知られている小型HDDの用途は、Apple ComputerのiPodなどの音楽プレーヤー。

 だが東芝が展望しているのは、携帯電話やPDA(個人携帯端末)におけるビジネス向け小型HDD事業だ。東芝の0.85インチ、4GバイトのHDDは携帯電話での使用に適しており、例えばビジネス用メールや画像ファイルの保存といった用途に十分な容量を確保できる。このHDDの出荷は今年半ばの予定。

 低価格・大容量の小型HDD開発に加えて、東芝では自社開発したPMR(垂直磁気記録)技術を小型HDDラインに採用することも目指していると、マッカビー氏。今四半期(4〜6月期)中には同社初の1.8インチ型PMRドライブが出荷される予定だ。PMRは向こう数年間でHDDの大幅な大容量化を実現する技術として期待されている。

 一方、日立と富士通はそれぞれノートPC用2.5インチ型HDDラインを強化した。

 日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は、高速化が図られたノートPC向け2.5インチHDD「Travelstar 7K100」を投入した。このラインでは、回転速度が従来の5400rpmから7200rpmに引き上げられた80Gバイトと100GバイトのHDDが追加された。回転速度の向上により、アクセスの高速化を実現していると日立はリリース文で述べている。同社によれば、高速化により、従来のHDDと比べてWindows XP の起動、アプリケーションのロード、ファイルコピーがスピードアップする。

 富士通の米国法人Fujitsu Computer Products of Americaは5月13日、ノートPC向けSerial ATA対応2.5インチHDDシリーズの新製品を発表した。リリース文によれば、このHDDの容量は40Gバイト〜100Gバイト、回転速度は5400rpm。

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