WC-202導入前後の冷却性能を、CPUとグラフィックスチップの温度を測って調べてみた。CPUは「Superπ」の3355万桁計算直後の温度、クラフィックスチップは「3DMark 2001SE」のテスト終了直後の温度を計測している。
測定に使ったマシン構成と結果は以下の通り。
テスト環境 | |
CPU | Athlon 64 3000+ |
HDD | IDE接続(120Gバイト) + IDE接続(80Gバイト) |
メモリ | PC3200 256Mバイト×4 |
グラフィックスカード | 玄人志向「RD70-A64C」(RADEON7000搭載) |
テスト結果 1 | CPU | グラフィックスチップ | ||
アイドリング | Superπ直後 (アイドリング時との差) | アイドリング | 3DMark 2001SE直後 (アイドリング時との差) | |
リテール環境 | 26.3度 | 33.2度(+6.9度) | 28.9度 | 39.6度(+10.7度) |
WC-202環境(LOW) | 25.8度 | 28.8度(+3度) | 25.8度 | 28.8度(+3度) |
WC-202環境(HIGH) | 25.8度 | 28.6度(+2.8度) | 25.8度 | 28.1度(+2.3度) |
リテール環境と比べて、テスト後の温度上昇度が少なく、とくにグラフィックスカードは10度以上の差が出た。しかしWC-202の最小回転(LOW)モードと最大回転(HIGH)モードではあまり差が見られない。これは、メインラジエータのファン設置方法の都合で効果がなくなっていることが原因と思われたため、真上に設置してあるDVDドライブを外して再度測定してみた。
テスト結果 2 | CPU | グラフィックスチップ | ||
アイドリング | Superπ直後 (アイドリング時との差) | アイドリング | 3DMark 2001SE直後 (アイドリング時との差) | |
リテール環境(テスト1から流用) | 26.3度 | 33.2度(+6.9度) | 28.9度 | 39.6度(+10.7度) |
WC-202環境(LOW) | 25.9度 | 28.7度(+2.8度) | 26.0度 | 28.8度(+2.8度) |
WC-202環境(HIGH) | 25.9度 | 26.9度(+1度) | 26.0度 | 27.4度(+1.4度) |
メインラジエータのファン通気口をきちんと確保したことで、回転モードによる違いも、効果もかなり大きく出た。5インチベイ搭載タイプなので設置方法こそは容易なのだが、その通気口の確保は結構重要なようだ。
また、メインラジエータがほとんど機能していなかった状態のテスト1環境でLOWとHIGHの差が大きく出なかったのは、セカンドラジエータの効果がメインラジエータと比べてやや低いことを示している。ただ、セカンドとメインの間にHDDクーラーなどのオプションパーツを装着する場合には、CPUやグラフィックスチップで熱くなった冷却液の温度を低下させるのに役立つだろうと思われる。
なお騒音レベルに関しては、従来の環境と比べても、LOWモード時であってもややうるさいかなと感じる。そのほとんどはポンプ駆動のためのモーター音、かつそれは低音のために決して耳障りではないのだが、5インチベイに常時駆動しているポンプ部があるため、軟弱なケースの場合は共振してしまう可能性も大きい。水冷キット導入において、静音ないし無音性を強く求めるユーザーであれば、WC-202はお勧めできないかもしれない。
WC-202は実売で1万5000前後。グラフィックスチップブロックも付属しており、5インチベイ内蔵型という設計を考えると水冷キットとしては十分値ごろだ。冷却性能はテストにてチェックした通り、リテール環境以上の安定した効果も期待できる。
また、メインラジエータの設置位置には工夫も必要とはいえ、水冷キットを構成するパーツをすべてPCに内蔵できるのは大きなメリットである。水冷システムを構成する各パーツがコンパクトで、オプションパーツを組み込む余地も残せるので、増設志向で水冷キットを導入するなら手頃で扱いやすい製品であると言えそうだ。
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