Intel、“全部載せ”無線LANチップを開発

» 2005年06月17日 18時58分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Intelの研究者が、無線LANへの接続に必要なすべての要素を小さなパッケージに統合する方法を見つけ出した。同社は6月17日、日本のVLSIシンポジウムでこの成果を発表した。

 多数の企業が既に802.11a/b/g規格をサポートしたWi-Fiチップを開発しているが、これらチップが無線LANに接続するにはマザーボードに幾つかほかのチップを搭載しなくてはならない。

 Intelはパワーアンプなどの部品を1個のトランシーバパッケージに統合した。さらにこのパッケージに、パワーアンプから外部無線アンテナへの接続――これまではパッケージの外部の複数のチップを使って確立されていた――も組み込んだと、Intelの広報担当ハワード・ハイ氏は説明する。トランシーバは、信号を送信・受信できるチップ。

 このデバイスは現在802.11a/b/gをサポートしているが、これから登場する802.11n規格をサポートできるだけの十分な帯域があるはずだとハイ氏。Intelは、この統合型設計は顧客がより安価でより電力効率のいい機器を構築する役に立つだろうと考えている。

 このパッケージを構築する上で、Intel研究者は統合型設計が持つ幾つかの問題を解決しなくてはならなかった。例えば、パワーアンプが無線信号に干渉するのを防ぐ方法を見出す必要があった。

 必要なチップの数をできるだけ減らすことで、Intelはこのパッケージの消費電力を減らし、無線LAN技術をノートPC、携帯電話、PDAに組み込むコストを抑えることができたとIntel研究者はこの成果を記した論文の中で述べている。

 現行の設計はプロトタイプにすぎず、このチップの量産を始める前にさらなるテストと検証を行う必要があるとハイ氏は語る。同氏は、無線チップには政府からの販売許可も必要なため、Intelがこれらを販売開始するまでには少なくとも2年はかかるだろうと述べている。

 Intelの最終的な目標は、Wi-Fi無線LANでも、同社が積極的に推進しているWiMAX技術ベースのWANでも、BluetoothやUWB(超広帯域無線)のようなパーソナルエリアネットワーク(PAN)でも、どの種類のネットワークにでも接続できる通信チップを構築することだという。

 同社は2007年までに、これら各種無線ネットワークに対応した統合型チップを開発し、最終的には「コグニティブ(認知)」無線、つまり自律的に複数の種類のネットワークに接続できるソフトウェア定義型無線を組み込んだチップを作りたい考えだ。

 Intelはこのプロトタイプを、半導体研究の進歩にスポットを当てた年次カンファレンス、VLSIシンポジウムで披露した。18日まで行われるこのカンファレンスでは、Intel、IBM、AMD、Freescale Semiconductor、NVIDIAなど多数の半導体メーカーが研究成果を披露している。

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