いま求められるのは「通信速度と信頼性」──CAT6eケーブル導入のすすめ(2/2 ページ)

» 2005年06月30日 00時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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ケーブル交換だけで10Mbps前後の差が

 1000BASE-Tにも余裕で対応すると謳われているKB-T6Eシリーズ。では実際「CAT5e」LANケーブルも利用可能な1000BASE-T環境でもそのメリットはあるのだろうか。簡易ながら検証環境を構築し、各々の転送速度をチェックしてみた。利用した機材は以下の通りだ。

PC「A」PC「B」
CPUAthlon 64 3200+(Scoket939)Athlon XP 2500+
マザーボードギガバイト「GA-K8N Ultra-9」ASUS「A7V600」
メモリPC3200 256Mバイト×2
LANチップMarvel 8053(1000BASE-T対応、PCI-Express接続オンボード)3com 3C940(1000BASE-T対応、PCI接続オンボード)

 OSは両PCともにWindows XP Professional SP2。1000BASE-T対応スイッチを用い、PC間はこのスイッチを介した一般的な接続方法にしている。

 2つのPC間の通信速度測定には、フリーソフトの古川 佳靖(風助)氏作「NetMi 1.14」を用いた。標準設定からデータサイズのみを1024バイトに変更し、30秒間のデータ送信を行って平均送信速度を両方のPCで計測した。その比較には2本の「KB-T6E」と一般的なCAT5eケーブルを用いている。

PC「A」→ハブ→PC「B」1回め(テスト1との差)2回め(テスト1との差)3回め(テスト1との差)平均(テスト1との差)
テスト12本ともKB-T6Eシリーズを使用543.213Mbps544.857Mbps543.581Mbps543.884Mbps
テスト2PC「A」のみKB-T6Eを使用528.680Mbps
(-14.533Mbps)
536.049Mbps
(-8.808Mbps)
531.737Mbps
(-11.844Mbps)
532.155Mbps
(-11.728Mbps)
テスト32本ともCAT5eケーブルを使用536.321Mbps
(-6.892Mbps)
531.312Mbps
(-13.545Mbps)
534.344Mbps
(-9.237Mbps)
533.992Mbps
(-9.891Mbps)
PC「B」→ハブ→PC「A」1回め(テスト4との差)2回め(テスト4との差)3回め(テスト4との差)平均(テスト4との差)
テスト42本ともKB-T6Eを使用292.507Mbps292.259Mbps292.350Mbps292.372Mbps
テスト5PC「A」のみKB-T6Eを使用291.277Mbps
(-1.23Mbps)
290.667Mbps
(-1.592Mbps)
291.393Mbps
(-0.957Mbps)
291.112Mbps
(-1.259Mbps)
テスト62本ともCAT5eケーブルを使用291.218Mbps
(-1.289Mbps)
291.170Mbps
(-1.089Mbps)
290.662Mbps
(-1.688Mbps)
291.017Mbps
(-1.355Mbps)

 まずPC「A」→「B」とPC「B」→「A」で大きく通信速度が異なるのは送信側のLANチップの世代、さらにPCI-ExpressとPCI接続という違いと思えばいい。それぞれでLANケーブルの違いによる結果に変化に注目して欲しい。

 LANケーブルの組合せによる違いにより、決して大きくはないが超えられない壁があったことが分かった。PC「A」→「B」では2本ともKB-T6Eシリーズを使用した場合と、それ以外では平均で10Mbps前後の速度差があった。比率に直すと2%程度でしかないが、これがLANケーブルの伝送品質だけの違いだとすると決して無視はできない。

 PC「B」→「A」では2本ともKB-T6Eを使用した場合と、それ以外での違いは1Mbps前後とわずかな差となったが、それぞれのスコアを見ると292Mbpsを超えたのは2本ともKB-T6Eシリーズを使用した場合だけで、そのバラつきももっとも小さい。ほかの条件が変わらない以上、こちらもLANケーブルの伝送品質の差が生んだ結果と見ていいはずだ。

いま、有線LANに求められるのは「高速性と信頼性」

 いま普通に量販店などで販売されているLANケーブルには、細身やフラットな形状のケーブルを採用する製品も多くあり、ユーザーとしてはちょっとした比較ポイントとなっている。同シリーズではこれらと比較するとやや固く、取り回しは若干しにくいと思うかもしれない。もっとも、これにも意味がある。ケーブル内には十字セパレータが入っており、信号線同士の電磁波干渉を防ぎノイズ混入を防ぐため処置である。固いのにも大きなわけがあるのである。

photo ケーブル内部に十字セパレータが入っており、これもノイズ混入を防ぐ意味合いがある

 もちろんこれだけ無線LANが普及してきた現在では、有線LANにそれほど配線の自由度を求める状況もそう多くないかもしれない。そのため有線LAN接続する際には通信速度や信頼性のほうがずっと重要だ。オフィス用としてめったに移動せず、背面にケーブルを接続するデスクトップPCユーザーであれば、LANケーブルがフレキシブルであることの必然性はそれほど求められないことも多い。

 もちろん家庭内においても、有線LANを利用している理由はその速度だろう。PCでTV録画を行ってビデオサーバ化して利用したり、オンデマンドビデオ再生をするいったファイル容量の大きい動画を頻繁に利用するユーザーの場合は、無線LANはおろか100Mbps有線LANでも不満で、すでにギガビットLANを導入済みという人も多いはずだ。ここでもLANケーブルに優先して求められるのは通信速度と信頼性ということになる。

 もちろん、依然有線LANにコスト面の手軽さを求めている場合も多々あるだろうが、すでに触れたように有線LAN用のケーブルに求められることは昨今、確実に変わりつつある。

 また100BASE-Tから1000BASE-Tへのアップグレードはもちろん、近い将来やってくるであろう10G BASE-TへのLANのアップグレードも、LAN配線はそのままにハブなどを入れ替えるだけで済むという将来的なメリットもある。これから有線LANケーブルを購入するなら、高い伝送能力と信頼性を持つKB-T6Eシリーズを選ぶのは決して損することはない選択のはずだ。

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