オーバークロックBIOSの効果はいかに、ということで、ここはITmedia得意の「Athlon 64 3500+を基幹としたミドルレンジシステム」というケチなことはいわずに、「Athlon 64 FX-57を基幹としたハイエンドシステム」でどぉーんと最速パフォーマンスを測定してみたい。
ベンチマークシステム環境 | |
CPU | Athlon 64 FX-57 |
マザーボード | ASUS A8N-SLI |
メモリ | PC3200/512MB×2ch |
HDD | ST3160023AS |
OS | Windows XP Professional +SP2 |
ForceWare | 77.72 |
ベンチマークの結果は以上のとおり。3DMark05/03の結果は、もうここまで来ると「強烈」としかいいようがなくなる。オーバークロックBIOSを適用した状態でNVIDIA SLI構成にすると、3DMark05は最も負荷が重い条件でも1万台に手が届きそうな勢いだし、3DMark03の最軽負荷状態では、3万台が見えてきている。通常構成の空冷システムでもここまできたか、という思いだ。
シングル構成における、ノーマルBIOSとオーバークロックBIOSの結果はクロックがアップした分、順当にパフォーマンスもアップしているのが分かる(10パーセントのクロックアップに対し、Futuremark系ベンチマークの結果はおよそ7〜8パーセント)。Aquamark3や市販ゲームを使ったベンチでも重負荷条件の項目ではパフォーマンスが順当に向上している。
Webページでは述べられていないが、ギガバイトはオーバークロックBIOSを適用した状態でNVIDIA SLI動作を推奨していない。日本ギガバイトは社内で検証した製品のパフォーマンスをWebページで公開しているが、GV-NX78X256V-Bの紹介ページでは通常の検証結果として「SLIモード動作時」「1枚での動作時」のデータを掲載しているのに対し、オーバークロックBIOSの紹介ページにある検証結果には(明記していないが)1枚動作時における検証結果しか掲載していない。
このあたりの事情を日本ギガバイトは「NVIDIA SLI構成にすると、オーバークロックしただけのパフォーマンスのアップが見られないので」と説明しているが、Futremark系のベンチマークでは、NVIDIA SLI構成でもクロックが速くなった分だけ、結果もオーバークロックBIOS適用後に8%ほど向上している。ただ、さすがに市販ゲームのベンチマークではオーバークロックBIOSを適用してもその結果はほとんど変わらない。
1024×768ドット | 1600×1200ドット | |||
nonAA、nonAniso | 4AA、8Aniso | nonAA、nonAniso | 4AA、8Aniso | |
3DMark05 Score | 1.08 | 1.08 | 1.09 | 1.08 |
3DMark03 Score | 1.08 | 1.07 | 1.08 | 1.08 |
AquaMark Score | 1.02 | 1.04 | 1.04 | 1.07 |
FarCry(HardwareOC River) | 1.01 | 1.41 | 1.27 | 1.88 |
half-life2(HardwareOC d3c171) | 1.00 | 1.01 | 1.01 | 1.07 |
DOOM3 | 1.01 | 1.04 | 1.06 | 1.07 |
1024×768ドット | 1600×1200ドット | |||
nonAA、nonAniso | 4AA、8Aniso | nonAA、nonAniso | 4AA、8Aniso | |
3DMark05 Score | 1.02 | 1.03 | 1.06 | 1.08 |
3DMark03 Score | 1.07 | 1.07 | 1.08 | 1.07 |
AquaMark Score | 1.01 | 1.01 | 1.02 | 1.02 |
FarCry(HardwareOC River) | 1.01 | 1.01 | 1.01 | 1.02 |
half-life2(HardwareOC d3c171) | 1.00 | 0.99 | 1.01 | 1.01 |
DOOM3 | 1.01 | 1.01 | 1.02 | 1.05 |
「パフォーマンスで差をつけろ」というオーバークロックBIOSだが、クロックを上げた分だけのパフォーマンスを手にすることができるようだ。BIOSをアップデートする多少の手間と、その作業でBIOSが吹っ飛んでしまうリスクを自分で抱えなければならないが、コストをかけることなく、8パーセントほどのパフォーマンスアップが実現する。
この「8パーセント」を「ほんの8パーセント」と見るか「なんと8パーセント」と見るかは、意見の分かれるところだが、それでも、絶対数的なパフォーマンスは「最速」では間違いないところなので、これは試してみる価値はあるのではないか、と思う。
ただ、同じグラフィックスカードベンダーの中には「オーバークロックBIOS」に手を出さないところもあるわけで、その関係者のひとりは「ベンチマークの値は確かに魅力であるけれど、チップに与える負担を考えるとベンダーとして何年も製品を保証することができない」と述べていることも最後に付け加えておきたい。
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