あなたのPCでWindows Vistaは動くか?(1/2 ページ)

» 2005年08月05日 19時29分 公開
[John G. Spooner, Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK

 すべてのPCがWindows Vistaの「全景」を見られるわけではない。

 Microsoftはまだこの次世代OSを走らせるための最小PC要件を最終決定していない。だが多数のPC業界観測筋は、2006年後半に登場するこのOSについて分断が起きると予測している。

 このOSはかなり古いマシンを除いてほとんどのPCで動作できるだろうが、真の色の表示に関しては、比較的新しく強力なマシンを好むだろうとアナリストらは語る。

 Microsoftが提供する詳細情報に基づいて――同社担当者は今週、Windows Vistaのユーザーインタフェースをフルに体験したいのなら、DirectX 9をサポートするグラフィックスカードを搭載したPCを購入することを提案した――アナリストは、現行ハードのすべてが、Windows Vistaの最も視覚的魅力のある機能「Aero Glass」3Dインタフェースを表示するのに必要なグラフィックス性能を持っているわけではないと指摘している。

 昨年新しいPCを購入したユーザーでも、Aero Glassを走らせるにはなんらかのハードのアップグレード――グラフィックスカードか、グラフィックスのアップグレードが無理なら、ことによると新しいシステム――が必要になるかもしれない。

 Microsoftの提案から考えると、向こう数カ月間に新しいPCを購入するユーザーでも、Aero UIを動かすのに必要なグラフィックス能力を持ったシステムを確実に選ぶには、特に注意を払い、余分なお金を出す必要があるだろうとアナリストらは述べている。

 「今疑問なのは、最終的にWindows Vista出荷時のグラフィックス要件がどうなるのか、現在売られているコンピュータがどのくらいこれらの要件を満たすのかだ」とJupiter Researchのアナリスト、ジョー・ウィルコックス氏は語る。

 特に懸念されるのはノートPCだ。ノートPCは従来、グラフィックス性能に関しては一歩遅れているとウィルコックス氏は指摘する。

 Microsoftは、Windows Vistaの最小ハード要件を発表するのは来年の夏以降になるとしている。しかし同社は既にヒントを出しており、アナリストはこのヒントから、Aero UIが比較的高いグラフィックス性能を必要とすると話している。Windows Vista自体は、PCのグラフィックス性能を認識することで、そのPCに合うレベルを判断する。PCがAeroを動かせるかどうかが判断されるのだ。動かせないと判断されたPCでは、クラシックなWindowsインタフェースが表示されるとMicrosoftは説明している。

 このように、PCはWindows Vistaへの対応に関して2つの基本的なレベルに分けられる。4月のWinHECでWindows製品管理部門グループプロダクトマネジャー、マーク・クロフト氏は、ほとんどの既存の主流プロセッサはLonghornを動かせるはずだとPCメーカーに話していた。だが同氏は、「Longhorn-ready(対応)」PCと「Longhorn-capable(実行可能)」PCを明確に区別した。

 古いCPU、128Mあるいは256Mバイトのメモリ、古いグラフィックスカードでも実行は可能だと同氏は語った。

 Vistaリリースまでの間に、Microsoftはユーザーに最低でもPCのグラフィックスをアップグレードするよう提案している。

 「Windows Vistaは、それぞれのコンピュータのグラフィックス性能で実行できるだけの最高のユーザー体験を提供する」とMicrosoftの広報担当者は電子メールの中でZiff Davis Internetに語った。「グラフィックスサポートはまだ仕上げの最中で、新しいPCの購入を考えているユーザーは、AGPかPCI Expressインタフェースのグラフィックスカードを指定することを考えるべきだ。これらは最も簡単にアップグレードできる。Aeroを動かすには、ビデオグラフィックスカードがDirectX 9とLDDMドライバ、32bpp(bits per pixel)の色深度、64MバイトのグラフィックスRAMをサポートするべきだ」

 DirectX 9をサポートするグラフィックスカードは今年に入って登場した。しかし、ほとんどのローエンドPCとノートPCは統合型グラフィックスを使い、これらマシンのすべてがAGPあるいはPCIスロットを備えているわけでないことを考えると、すべてのPCのグラフィックスをアップグレードできるわけではない。新しいPCを購入するユーザーも同じ問題を考慮して、初めから十分なグラフィックス性能を備えているか、あるいはアップグレードの余地があるマシンを買うようにしなくてはならないとアナリストらは主張している。

 アナリストによると、PCがいわゆる統合型グラフィックスを搭載しているか、アドインカードにアップグレードする手段があるかが、グラフィックスの「持てるものと持たざるもの」を分ける境界線になるだろう。

 ほとんどのローエンドからミッドレンジのデスクトップ・ノートPCは、統合型グラフィックスを利用している、つまりグラフィックスプロセッサがチップセットの一部になっている。チップセットは人間の神経系のように、PC内のポイント間でデータをやり取りする。

 「500ドルで(Intelのグラフィックス統合型チップセット)865GVが搭載されたDellのお勧めマシンを買った場合は、(Vistaが)レガシーモードで動く可能性の方が高い」とMercury Researchのアナリスト、ディーン・マカロン氏。「正直言って、そんなに驚くことではないはずだ」

統合型グラフィックスでは動かない?

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