先ほども述べたように、いまやGPSは航海になくてならない道具。「GPSのせいで、海に出てこれない人も出てくるようになっちゃったわね」と昔の人は言うけれど、それでも、海が荒れてクロスベアリングした方位を海図にプロットする余裕もないときは、GPSがありがたい。
海上で自分の現在位置を知るのは意外と難しい。以前は灯台や島の山頂など位置がはっきりわかっている物標の方位を複数測定し、クロスベアリングで海図に位置をプロットしていたが、GPSが登場してからは、GPSを接続したPCや専用のGPSプロッタを使って、地図の上に自分の位置を表示できるようになった。ハンディGPSでも一部の機種では地図表示機能を持ち、GPSプロッタのように利用できる。ただ「高機能」だけあって実売価格6〜8万円と「高価格」でもある。
そこで、G'zOne TYPEーRのGPS機能だ。auのGPS内蔵端末はGPSプロッタアプリともいえる「EZナビウォーク」機能が利用できる。これは端末のGPSが衛星から取得した位置情報を基に地図サービス提供サーバを参照することで、ダウンロードした地図に現在位置をプロットして表示する機能だ。見た目はGPSプロッタと何ら変わりはない。
陸上用の地図なので、暗礁や航海用の情報は表示されないものの、自分のいる位置がある程度把握できるだけでもいざというときにはありがたい。問題は「EZナビウォークが海の上でも使えるのか?」ということ。周囲の「携帯電話のエキスパート」に質問してみたところ「そんなこと、考えたこともやったこともない」という回答が返ってきた。
やったことがないのなら、自分でやって確かめるしかない。ということで、相模湾や伊豆諸島沖でEZナビウォークを実行してみた結果が以下のとおりである。
沖合いで捉まえている基地局が適切でないときは、表示される地図も適切でないこともあったが、沿岸で使う分には「GPSプロッタ」として海の上でも十分機能するようだ(もちろん海の安全に関わる情報は表示されないので、あくまでも参考情報にとどめておくようにしたい)。
また、EZナビウォークでは現在位置の詳細地図が存在しない場合に地図情報が表示されないが、そういうときでもGPSの情報をメールで送信できる。ちなみに、この機能やauが提供している「安心ナビ」を使えば、陸上にいる家族やサポートメンバーにも自船の位置を知らせることが可能になる。
というわけで、G'zOne TYPE-RのGPS機能も「GPSプロッタ」としては条件付(沿岸に近いところで、かつ参考情報として使うこと)で合格、GPSプロッタではとてもできない位置通知機能を考えると、こちらも「ナビゲーションツール」としては見事合格! である。
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