一方、新しいCPUの「Yonah」は、どうやらBaniasやDothanとはかなり異なるプロセッサになっているようだ。基本的な考え方やパイプラインの本数に変更はないものの、デュアルコア化に伴ってパイプラインステージが追加されているという。もちろん、省電力設計に関しても新しいアイデアが詰め込まれており、コアが2倍になることで増加する消費電力増加を極力抑えようとしている。
たとえばキャッシュ容量が大きいYonahは、そのままではキャッシュメモリの消費電力が多くなってしまう。このため、低電圧でも動作するようにSRAMの設計を見直し、さらにキャッシュ容量をプロセッサの利用状況に応じて増減させる仕組みを導入した。
たとえば片方のコアが休もうとするときは、キャッシュの内容を半分だけメモリに書き戻し、キャッシュ容量を半分にする。両方のコアが拡張DeeperSleepに入ると、すべてのキャッシュをメモリに書いてキャッシュの電源をオフにする。
エデン氏によると、Yonahは負荷の状況に応じて片方のコアを休ませたり、あるいはキャッシュサイズを動的に変化させるといった機能を実現するため、パイプラインステージがBaniasやDothanよりも増えているという。
ちなみにPentium IIIのP6アーキテクチャにおいてパイプラインステージは11段(プレスリリースでは12段だが、数え方によって異なる場合もあるので、ここでは11としておく)。BaniasとDothanはこれよりも多いと言われており、またYonahの次に登場するMeromは14段であることが分かっている。
これらの情報を総合すると、P6が11段、Baniasが12段、Yonahが13段、Meromが14段と推測される。いずれもパイプラインステージの増加は最小限に抑えており、P6以降はさほど複雑化は進んでいないようだ。
話がそれたが、最終的にYonahはDothanと同程度の平均消費電力となる見込み。もちろん、コアが増加しているためリーク電流は少なくないと予想できるが、TDPで5ワットを実現する超低電圧版はシングルコアで提供されるため、Dothanで長時間駆動を実現している既存の小型ノートPCのバッテリー駆動時間が短くなることはないだろう。
また、松下電器との協業で1セルあたり2.9Ahの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載したノートPCが来年の4月を目処に登場する見込みだ。新型バッテリーは「ある工夫」をすることで、既存のバッテリーパックに比べ30パーセントもの駆動時間延長が期待できるという。
この新型バッテリに関しては、併設された展示会のレポートで詳細をお伝えしたい。
Yonahの次に登場するMeromでは、デスクトップPC向けのConroeも提供される予定だが、Yonahの世代でも一足先にサーバ向けバージョンのSossamanが提供される。
Sossamanはサーバ/ワークステーション向けのデュアルプロセッサチップセットE7520(開発コード名Lindehurst)との組み合わせで利用可能な、Yonahと同一アーキテクチャのCPU。デュアルプロセッサシステムをサポートするほか、36ビットメモリアドレスなどサーバで必要な機能がYonahに対して追加されている。
なお、Yonahベースのため64ビット命令の実行はサポートされておらず、用途も低消費電力が求められるアプリケーションのみが想定されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.