2004年度には前年割れを記録し、ほぼ飽和状態とも思われていたインクジェットプリンタ市場だが、2005年の予想では対前年比111.6%の伸びを見せているといる。この牽引力はなんと言っても「インクジェット複合機」。同社が2004年下期より進めた複合機シフトにより買い換え需要を喚起したことが原因であると同社は分析する。現在は全体の4割ほどを、複合機が占めるという。
2005年のインクジェット市場でエプソンがアピールするポイントは、「おうちプリント」の推進だ。セイコーエプソンの三村孝雄氏は、「せっかくデジカメで撮影しながら、店頭でプリントを依頼するユーザーの意識としては、店頭の方が写真がきれいにプリントされ、保存性もよいと思われている」と話す。
そこで今年登場する戦略が“Epson Color”。「『フジカラー』や『コダカラー』といったブランド名と同様に『Epson Color』を認識してもらうのがポイント」と三村氏。新しい画像処理技術とプリントメディア、インクの“三位一体”となった“画質のエプソン”を強調していくという。
Epson Colorを実現するためのコア技術が、今回新たに採用された「オートフォトファイン!EX」だ。オートフォトファイン!EXでは、人物の「顔」を自動的に認識し、好ましい肌色に補正するほか、色かぶり補正、逆光などの明度補正を自動で可能にしている。一般画像における人物検出能力は80%を越えるそうだ。
「お店プリントでオペレーターが手作業で行っている補正を、エプソンのプリンタならば自動的に“好ましい画像”へと変換することができる」(三村氏)
今回、Epson Colorの対象となるのは、複合機では「PM-A950」、「PM-A890」の2機種。フォトプリンタは「PM-D800」およびコンパクト機の「E-150」、単機能機では「PM-G730」の5機種。これに加えて、2004年の商品よりもユーザビリティを向上させ、マニュアルを見なくても操作できるようにしたという。
「今回の商品により、7機種にカラー液晶モニタを搭載したほか、液晶サイズも昨年のモデルよりも大きくした。また、PM-A890については赤外線アダプタを標準で搭載し、携帯電話からのプリントアウトだけでなく、文字入力にも対応する」と三村氏。このように、ただの機能向上だけでなく、使い勝手の提案にまで踏み込んでいるのが、今年のエプソンプリンタの特徴だ。
エプソン販売の真道昌良社長は「従来の2年間は複合機時代到来のメッセージを訴求してきたが、今後の目標は、充実した機能よりも、やりたいことが実現できる、家族の写真生活を楽しく豊かにする複合機、について訴えていきたい。年末商戦のシェアは52%以上を目標としたい」と語った。
なお、新機種の価格はすべてオープンプライス。発売日は10月6日を予定している。店頭予想価格は以下の通り。
種類 | 機種 | 店頭予想価格 | 発売日 |
インクジェット複合機 | PM-A950 | 4万円台後半 | 10月6日 |
PM-A890 | 3万円台中盤 | ||
PM-A750 | 2万円台中盤 | ||
PX-A650 | 1万円台後半 | ||
フォトダイレクト機 | PM-D800 | 2万円台後半 | |
PM-D600 | 1万円台後半 | ||
E-150 | 1万円台後半 | ||
シングルファンクション | PM-G730 | 1万円台後半 | |
PX-V630 | 1万円台後半 |
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