半月で予兆、早くも──“別の街”に変化していく秋葉原とアキバ(2/3 ページ)

» 2005年10月05日 08時56分 公開
[古田雄介(アバンギャルド)&ITmediaアキバ取材班,ITmedia]

アキバは、さらなる観光地化へ促進か

 開店前にとったアンケートでは「ヨドバシがオープンしても駅の“向こう側だけで完結する”と思う」といった声が多かったが、上記のちょっとした状況からだけ見ても、そうとはとは言い切れない側面が出てきている。

 それは観光地化。しかも従来からの電気街もそもそも観光地の1つではあるが、再開発地区も含めた秋葉原全体に広げた“さらなる”といった感じである。

 開店当日、アキバヨドバシに訪れた数人に話を聞いてみると「せっかく秋葉原に来たので、ほかにも色々回りたい」(20代・男性)や「オープンキャンペーン目的で来ましたが、(買い終わったし、まだ時間もあるので)どこかで暇をつぶします」(30代・女性)といった回答が、数多く得られた。初めてつくばエクスプレスに乗って、アキバヨドバシに買い物しにきたといった人や、大阪から新幹線で来た。これからお台場に行って泊まって日曜に帰る、学生服を着た皆様や海外の旅行客など、観光ふうな雰囲気の人もかなり多かった。

 そのような人には、当日アキバヨドバシ1店だけ行ってそのまま帰ることはないと思われる。周囲を見渡すとあまり休める施設がない状況ながらも周辺の喫茶店などはかなりの確率で混雑していたうえ、ならば街の中心街に行ってみようと“反対側”に流れて行くのもしごく予想できることと思われる。

 なおヨドバシ側はオフィスビルが多く、いわゆる観光地然とはしていない。しかしこれは“まだ”観光地然としていないと表現するのがよいのだろうか。

photo アキバヨドバシがある十字路。ヨドバシ出口から反対側に行くには、駅内か脇の通路から通り抜ける方法や神田駅よりのガード下から行く方法のほか、やや御徒町駅寄りのJR線路ガード下からも容易に行くことができ、パーツ密集地帯へ行くにはこちらからが近い

既存の大型家電量販店は静観のところも多い

 アキバヨドバシ開店により、もっとも打撃を受ける可能性があると思われる、総合的にPC関連製品を扱う総合家電量販店の反応を聞いた。

 オノデンは「対ヨドバシということでキャンペーンなどの対策を計画していることはいません。確かに話題になっていますが、価格では弊社が勝っていますし」と特別なユーザー向け対策は取っていない(むろん同社社内会議における議題などには上がっているだろうが)。

 もう1店、石丸電気もほぼ同様の回答で、老舗は予想に反してそれほど息巻いてはいない。ヨドバシによるオープニングキャンペーンの勢いが一段落ついた10月頃まで静観する構えのようだ。

photo オノデン本館(左)と石丸電気駅前店(右)

 また、JR秋葉原駅から3つめの有楽町に同社関東最大の店舗を構えるビックカメラも「とくに対策は打ち出していません。また、秋葉原に進出する予定もありません。それよりも全国の地方都市に進出するほうを優先しています」とコメントし、こちらも静観といった印象の答え。

 ただしビックカメラ有楽町店に関しては、ヨドバシ開店にあわせて「50人に1人タダ(無料)キャンペーン」や吉本芸人による日替わりライブイベント(その期間中、テレビCMを見た人も多いと思う。それだけ力を入れていたととらえることもできる)を、ヨドバシオープン日には大型・薄型TVやデジタル一眼レフカメラなどの「さらに10%引き」キャンペーンなどを行っていた。静観とはいっているが、ライバル視するのは当然だろう。

photo 有楽町ビックで、アキバヨドバシ開店日のみ行われていた「さらに10%引き」キャンペーン

秋葉原の老舗ということでいわゆる“おごり”があった

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