1キロを切る超小型・軽量のコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK P8210」レビュー(2/2 ページ)

» 2005年10月17日 08時40分 公開
[平澤寿康,ITmedia]
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指紋センサーやセキュリティチップ採用で高いセキュリティ性を実現

 P8210では、高いセキュリティ性を確保するために、セキュリティチップに加えて指紋認証用のセンサーが標準で搭載されている。

 指紋センサーは、Windowsのログオン認証を含め、ユーザー認証を指紋によって行えるため、高いセキュリティ性が確保できる。指紋センサーは液晶フレームの左側下部に用意されているため、ノートPCモードでもピュアタブレットモードでも利用できる。

液晶フレームの左側下部に搭載された指紋センサー

 各モードによってセンサー位置が変化するため(縦置き主な使用スタイルとなるピュアタブレットモードでは、指紋センサーの位置が液晶フレームの下部右側になる)、使い勝手に懸念を感じるかもしれないが、各ユーザーごとに複数の指の指紋パターンを登録できるため、ノートPCモード時は左指、ピュアタブレットモード時は右指といったように左右の指を登録しておけば、モードに関係なく指紋認証を有効に活用できる。

ノートPCモード(左)用には左手の親指、ピュアタブレットモード(右)用には右手の人差し指などを登録しておけば、自然な動作で指紋認証作業が行える

 また、セキュリティチップによって、HDDに保存されているデータに暗号化を施したり、物理的にHDDを取り出したとしても保存されているデータを抜き出して利用できないようにすることも可能だ。企業向けのノートPCでは、セキュリティ性の確保はもはや必須となっているが、P8210ではセキュリティチップと指紋センサーを組み合わせることによって、企業が求める高いセキュリティ性を実現しているわけである。

Pentium M採用でマシンスペックは大幅に向上

 LIFEBOOK LSでは、CPUにTransmetaのCrusoe TM5800が採用され、メインメモリは256Mバイト固定となっていた。そのため、パフォーマンス面で不満があったのは事実。特に、Windows XPを利用するにはメインメモリの搭載量が少なく、改善してほしいという声はかなり大きかったようだ。

 それに対しP8210では、CPUに超低電圧版Pentium M 753(実動作クロック1.2GHz)を採用。また、メインメモリも標準で256Mバイト搭載され、最大1Gバイトまで増設が可能となった。メインメモリは標準容量の256Mバイトでは若干心許ないものの、増設すればWindows XP TabletPC Edition 2005も軽々と動作する。チップセットがIntel 915GMSのためメインメモリはシングルチャネル動作となるが、実際に操作してみても動作がもたつくという印象は全くない。

 HDD容量は標準30Gバイトだが、カスタムメイドでより大容量のHDDを選択することもできる。企業向けマシンでは一般ユーザー向けの製品に比べて大容量HDDが求められる場面はそれほど多くないと思われるが、さまざまな業種・業態に対応するには、HDDやメインメモリ容量のカスタマイズが不可欠。そういった意味でも、カスタムメイドが可能となっているのは大きな魅力の一つと言えるだろう。

 液晶ディスプレイは、LIFEBOOK LSと同じく1024×600ドット表示対応の8.9インチワイドを採用する。表面にタッチパネルが配置されてはいるものの、一般的なノートPCの液晶と比較しても視認性は申し分ない。また、Intel 915GMS内蔵グラフィック機能によってある程度の3D描画速度もあり、利用できるアプリケーションの幅を拡げている。

 キーボードは従来モデルと同様に16ミリピッチとやや窮屈な印象だが、本体サイズを考えるとこれが限界だろう。とはいえ、カーソルキーが一段下がった位置に配置されるなどの改善もあり、スティックタイプのポインティングデバイスと合わせて使用感は悪くない。

キーピッチは16ミリとやや窮屈だが、A5サイズであることを考えると致し方なしか。ポインティングデバイスにはスティックポイントを採用している

 機能面に関しては、IEEE 802.11a/b/g対応の無線LAN機能や、SDカードスロットおよびCFカードスロットなどが標準で搭載されていることもあって、実用上の不足はない。企業向けマシンに欠かせないポートリプリケータもオプションで用意されている(価格:

税別1万円)。

ポートリプリケータには、USB2.0×2、VGA、10/100BASE-T有線LANが装備されている。右側面にあるのは着脱用のハンドル
FMV LIFEBOOK P8210の主な仕様
OS Windows XP TabletPC Edition 2005
CPU(実クロック) 超低電圧版Pentium M 753(1.2GHz)
FSB 400MHz
チップセット Intel 915GMS Express
メモリ(最大) PC2-3200(DDR2-400)対応DDR2 SDRAM 256Mバイト(1Gバイト)
ディスプレイ 1024×600ドット表示対応8.9インチワイドタッチパネル液晶
グラフィックス チップセット内蔵(GMA900)
HDD(最大) Ultra ATA/100 30Gバイト(60Gバイト)
光学ドライブ
セキュリティ セキュリティチップ、指紋センサーを搭載
ポインティングデバイス スティックポイント
ネットワーク 10/100BASE-T有線LAN、IEEE802.11a/b/g無線LAN、モデム
インタフェース ポートリプリケータ(専用80ピン)、SDメモリカードスロット、CFカードスロット、USB2.0×2、VGA、ヘッドフォン、マイク
ポートリプリケータ オプション(10/100BASE-T有線LAN、USB2.0×2、VGA)
バッテリ駆動時間 約4時間
サイズ 232(幅)×167(奥行き)×34.5(高さ)ミリ
重量 約990グラム
価格(税別) 24万円
出荷開始 11月中旬


機能面・携帯性・セキュリティ性など死角のない仕様が魅力

 P8210は、約990グラムという小型・軽量のミニノートではあるが、紹介してきたように、機能面やセキュリティ性も含、企業向けマシンとして死角のない仕様が実現されている。コンバーチブルスタイルのタブレットPCということで、利用用途にも制約がない。通常のノートPCとしてもしっかり利用できるだけでなく、タブレットPCの特長が活きるさまざまな業務用途にも柔軟に対応できる。そういった意味では、常に持ち歩いて営業用ツールとして利用するマシンに最適の製品だろう。

 また、従来モデルで不満とされていたスペック面がしっかり改善されていることもあって、十分魅力のある製品に仕上がっている。P8210は富士通のオンラインショッピングサイト「WEB MART」で扱われているので、興味のある方は検討してみてはいかがだろうか。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日