搭載される80GバイトHDDは、おおよそ44Gバイト分のCドライブと25.5GバイトのDドライブ、そして4.9Gバイトのシステムバックアップ・INSTANT PLAY機能用領域に分割されている(PC的な計算では74.5Gバイト程度が使用可能となっている)。ちなみにシステムバックアップ領域は通常見ることができないようになっている。
前モデル「Mebius PC-XG70J」(レビュー参照)は、2.5インチの80GバイトHDDを2基搭載することにより合計160Gバイトと、ノートPCの中ではとくに大容量さが魅力であったが、今回のMebius PC-XG60Kでは80Gバイト1基のみである。そのため80Gバイト(もちろん実使用領域はもっと少ない)ではやや物足りないかなぁという印象も受ける。
ただしシャシーの基本構造はPC-XG70Jと同じであり、HDDベイも2基搭載できる構造となっている。詳しいユーザーであれば自身で増設することも可能であり、かつ「Mebius XG」シリーズ向けオプションとして、80GバイトHDDの増設サービスも用意されている。なお容量が足りない場合はUSB外付けHDDなどを追加すればよいともいえるが、Windows XPで制御しないINSTANT PLAY機能の設定部分に絡んでくると、一般ユーザーでは作業が困難と思われる。そのためWindows XPを起動しないINSTANT PLAY機能にて録画を多用したいと考えているのであれば、同社オプションサービスを利用するとよいだろう。
さて、INSTANT PLAYより録画した番組は通常のMPEG-2ファイルとして記録される。そのためWindows上からも閲覧・整理・DVDへの保存といった操作が、もちろん行える。Windows上からはバンドルされるインタービデオ「WinDVR」を使用して視聴・録画(標準録画先はCドライブ)するようになっている。
PCを起動せず液晶TV兼HDDレコーダーとして活用する場合はINSTANT PLAYで視聴し、録画はリモコンの「録画」ないし本体の「REC」ボタンにて行う。iEPGを活用し録画予約を行ったり、映像編集やDVD-Videoを作成するといった場合にはPCで作業するといった使い方が想定される。
ちなみに同機は、Windows上でのTV録画用アプリケーションとしてWinDVR5を使用するわけだが、ビットレート設定など録画における細かい設定をカスタマイズしたり、そのカスタマイズ情報を残しておくプロファイルの新規作成や編集ができない。そのため、家庭用DVD/HDDレコーダーのようなLP/SP/XPと3つぶんしか録画プロファイルがない。PCで録画できるのであれば細かいカスタマイズも行えるユーザー作成機能も欲しいと思うが、家庭用レコーダーでは細かく設定できないのが一般的で、この辺は、万人にできるだけ簡単に使えるようにする配慮と考えられる。
冒頭でテレパソというより“パソテレ”と称したように、視覚・聴覚に訴えかける、いわゆる“難しそう”という意味も含むPC色をいい意味で省き、家電的に扱えるような部分の造りこみの工夫がなされている。かつてTV/カセット/ラジオにコンピュータを内蔵した多機能ラジカセ「ラテカピューター」を生んだ同社らしい魅力のある製品といえる。
背面の接続コネクタの感じから、ノートPCとはいってもモバイル用途はあまり考えず、家庭内にて、移動するといっても部屋間くらいで使うと想定できるもので、そのTV・レコーダー・DVDプレーヤーといったAV機能をスマートにデスク上で使いたい、しかもPC機能も活用する──つまりオトーサンの書斎用として最適だ。発色のよいパーソナル液晶TVに、DVD/HDDレコーダーも、できればそれにPC一緒にして欲しいという欲張りユーザーにこれ一台でOKとお勧めできそうだ。
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