今週木曜、アビー製ミドルタワーケース「AS Enclosure S1」がアキバ各ショップに入荷された。シルバー筐体の「ES1S-011」と、ブラックの「ES1-BK-012」が揃って入荷され、価格は3万3000円弱。在庫は潤沢だ。
AS Enclosure S1は、電源非搭載のアルミ製ミドルタワーATXケースだ。本体サイズは203(幅)×399(奥行き)×369(高さ)ミリとなっており、同社によると「世界最小ミドルタワーATXケース」徒のことである。
フロントパネルから見て左側にマザーを逆さに設置する仕様となっており、拡張ブラケットは上部にある。ほか5インチベイ3基と、3.5インチベイ6基(うちシャドーベイ4基)を備える。
入荷したフェイス秋葉原本店は「高級志向のアルミケースは静音性にとくこだわるユーザーに人気があります。販売数そのものは低価格帯のケースにかないませんが、確実な需要があります」と話す。
製品 | アビー「AS Enclosure S1」 |
入荷ショップ | |
クレバリー1号店 | 3万2518円 |
BLESS秋葉原本店 | 3万2780円 |
フェイス秋葉原本店 | 3万2800円 |
俺コンハウス | 3万2800円 |
T-ZONE.PC DIY SHOP | 3万2800円 |
高速電脳 | 3万2800円 |
TSUKUMO eX. | 3万2800円 |
さて、高級志向のアルミケースと聞いて思い浮かぶメーカーの1つとして、ソルダム(星野金属工業)がある。同社はキューブ型ベアボーンなどを含め、2、3年前のアキバを賑わし、新製品が出るたび結構な話題となっていた記憶がある。
しかし、ここ最近はあまり見かけない気がする。今回の調査で回った15店舗中、店頭で扱っていたのは5店舗のみであった。対して9店舗がこのアビー製ケースを置いていることを考えると少ない。両社の製品は購買層も似ており、品質に関しても評価は高い。またアビーは、ソルダムの元スタッフが始めたメーカーというのは有名な話だ。
何かあったのだろうか。
アキバではある噂がささやかれている。某ショップはこう述べる。(編集部注:初出時、「不穏な噂」とありましたが、左記に訂正いたします)
「ソルダムは自社で通販サイトも展開しています。そのこと自体はいいのですが、そこの販売価格が卸値並みに安いんです。ユーザーは当然ながら通販サイトに流れてしまいますので、どうしても割高になってしまう小売店で扱う意味があまりないのです」
ユーザーにとっては安く買えるためほとんど不利益はない(あえて言うなら通販ならではのタイムラグか)が、ショップにとってその“卸値並み”の価格に対抗しようとするなら、ほとんど利益が出ないことになってしまうということになる。
ソルダムでは店頭販売に加えて、ネット通販も展開している。そこではネット通販店舗のみオリジナルモデルケースなどを販売している。上記のことについて同社に聞いてみた。 「現行の同一モデルを安売りすることはありません」 たとえばネット通販店舗のみで販売される「ALCADIA X-2 JV HOMOLOGATION」がある。このモデルは店頭では販売していない。 対して「ALCADIA X-2 JV HOMOLOGATION α」というファンをすべて取り、一部パーツを加えた店頭専用モデルも用意し、販売している。加えてカラーを変更したりスペックの一部を変更などを行って展開している。まったく同一スペックの製品をむやみ安価に販売することはしていないという。 |
※編集部注:2005年11月1日追記 |
いっぽう、ドスパラではソルダムとのコラボレートにより復刻モデルを店頭販売するなど、アキバならではのモデルを販売するショップももちろんある。ドスパラ秋葉原店によると「8月から販売していますが好調に売れています。コアなユーザーが注目しているようで、今も定期的に売れています」という。
ユーザーから見ればまったく同じ製品であれば安価な方がいい。メーカーも製品そのものは売れるし、効率のよさなどのメリットも想像できるためそのように判断していると思われるので、どこかがいい/悪いという問題でもない。ともあれ、今後のアキバPCショップのあり方を変えてしまうような火種がくすぶっているのでは、と思うのは考えすぎだろうか。
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