富士通がHDDメーカーであることを知らない人もいるかもしれないが、2.5インチHDDの世界市場では第2位のシェア*を誇っている(1位が日立グローバルストレージテクノロジーズ[GST]、3位は東芝)。以前は3.5インチHDDも製造しており、筆者はよく富士通製のバルクのHDDを秋葉原のショップで購入し、パソコンに増設したものである。ただ最近では、バルクで売られている2.5インチHDDは東芝、日立GST、Seagateがメインであり、バルクの富士通製HDDを見かけることはほとんどない。
しかし逆に考えれば、バルクHDDがショップに流れないのは商品管理がしっかりしているからとも言えるわけで、そうした意味でリライアビリティに優れると考えることもできるだろう。
さらに、自社製HDDを用いて社内で製品化することにより、OEM先の周辺機器メーカー製の外付けドライブよりも安価にできるというメリットもある。事実、富士通が発売した容量100GバイトのUSB対応外付けポータブルHDD「HandyDrive(FPHD1100)」(写真1)の実売価格は、大手量販店では2万円ちょっとであり、同じ100Gバイトの容量を持つ競合製品より4000円程度安くなっている。
競合製品より安価であるのは理由がある。自前のHDDを使えるというメリットはもちろんだが、ACアダプタを別売オプションにしたり、ユーティリティ類の提供を自社Webサイトからのダウンロード方式にするといった対応を行った結果、安価にすることができたわけだ(写真2)。
ドライブメーカーとしては、世界シェアNo.2*の高品質・高信頼性ブランドとしての地位を確立している同社だが、コンシューマー向け外付けHDD市場ではあくまでも新参者であり、他社製品よりも価格を高く設定すると売れなくなってしまう可能性も出てくる。そうした部分まで見越して営業努力を行っていることも評価できる点だ。
富士通と言えば、国内最大手PCメーカーのうちの1社でもある。自社製ノートPC用のオプション製品として価格設定を高くした“大名商売”を行おうと思えば行えるわけで、それをせずに価格を安くしてきたことは、いかに本製品に対して本気モードであるかがわかるだろう。
この手のポータブルHDDは、USB対応の外付けHDDケースとバルクのHDDを組み合わせて自作することも可能だ。
しかし、先述したように市場で売られている2.5インチHDDはバルク製品が多く、ドライブ自体にはメーカー保証が付かないことがほとんどである。外付けHDDケースに保証が付いていたとしても、内蔵するHDDに対する保証はなく、またケースにHDDをセットして安定動作するかの検証もなされていない。外付けHDDの自作は、あくまで自己責任となる。
一方、周辺機器メーカーが出している外付けポータブルHDDは、ケースとHDDを含めたパッケージ全体での保証が受けられる。もちろん動作検証もなされており、動く動かないといった情報がサポートページなどで公開されている。そうした意味でパッケージ製品としてのポータブルHDDは“安心分”だけ価格が高いことになる。
しかし、周辺機器メーカーの外付けドライブの場合、搭載しているHDDが必ずしも同一メーカー製であるとは限らない。たとえば、製品ロットによって搭載しているHDDが東芝製だったり、日立GST製、Seagate製などが混在している可能性がある。そのときに安価に仕入れることが可能なHDDを搭載するのは、周辺機器メーカーとしての戦略上よくあることである。よって仕様を見ても、どのメーカーのHDDを搭載しているのかは記述されず、容量と回転数だけが表示されていることが多い。
対して本製品は、自社製の2.5インチHDDと外付けケースを組み合わせて製品化しているため、当然のことながらHDDは富士通製が搭載されている(仕様として記述するまでもないが)。日立GSTや東芝の2.5インチHDDは基本的にはOEM向け製品であり、メーカー保証が付いた形でエンドユーザーが購入できるパッケージは存在していない。保証はOEM先の周辺機器メーカーがするという形だ。対してHandyDriveにはドライブメーカー自体の保証が付いており、競合製品と比べて大きなメリットになるだろう。
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提供:富士通 株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日