オールラウンドプレーヤーか、はたまた静止画のスペシャリストか頂上対決! 「FlexScan S2410W」 vs. 「FlexScan L997」(1/3 ページ)

ナナオ製液晶ディスプレイで高性能を指向するユーザーの関心が高いのは、24.1インチの「FlexScan S2410W」と21.3インチの「FlexScan L997」だ。すでに両者のレビューを掲載しているが、比較という観点で、改めてじっくりと触れてみた。性格的に異なる部分が多い両製品なので、選択の一助にしていただければ幸いだ。

» 2005年12月08日 00時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]
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大きな違いは画面解像度と液晶パネルの駆動方式

 「FlexScan S2410W」(以下、S2410W)と「FlexScan L997」(以下、L997)は、画面サイズと画面解像度が異なるものの、どちらもハイエンドに位置する液晶ディスプレイだ。S2410Wはワイド画面のハイエンド、L997は非ワイド画面のハイエンドと考えればよい。

 S2410WとL997の大きな違いは、画面解像度、および液晶パネルの駆動方式だ。画面解像度は、S2410WがWUXGA(1920×1200ドット)、L997がUXGA(1600×1200ドット)なので、S2410Wの方が優れている。特に、ハイビジョン映像のフルHD解像度である1920×1080ドットを表示できるのが大きなメリットだ。

24.1インチWUXGA(1920×1200ドット)表示対応の「FlexScan S2410W」(右)と、21.3インチUXGA(1600×1200ドット)の「FlexScan L997」(左)。S2410Wはワイド画面モデルのハイエンド、L997は非ワイド画面モデルのハイエンドという位置付けだ

 液晶パネルの駆動方式は、S2410WがハイグレードタイプのVA系、L997がスーパーIPSだ。この違いが、両者の諸スペックと画質傾向を決定づけているといっても過言ではない。表1は、S2410WとL997のコアスペックを抜粋したものだ。全体的にはS2410Wが上回っているが、L997にはスペックに表れない画質的な優位点がある。動画と静止画に分けて、S2410WとL997の画質を比較してみたい。

表1 S2410WとL997のコアスペック比較

FlexScan S2410WFlexScan L997
画面サイズ24.1インチ21.3インチ
画面解像度1920×1200ドット1600×1200ドット
駆動方式VA方式(高品位タイプ)S-IPS方式
最大表示色1677万色(8ビット対応)
視野角水平178度/垂直178度水平170度/垂直170度
輝度450cd/m2250cd/m2
コントラスト比1000:1550:1
内部10ビットガンマ補正搭載(14ビット処理)
応答速度黒→白→黒16ms30ms
中間階調部8ms非公開
オーバードライブ回路搭載非搭載


動画や3Dゲームの表示品質ならS2410W

 動画の表示品質は、S2410WとL997の「FineContrast機能」を「Movieモード」にして比較した。Movieモードの設定は、輝度が100%、色温度が9300Kで、その他のパラメータはデフォルトだ。

 画質に効いてくるスペックは、輝度、コントラスト比、応答速度である。いずれもS2410Wが優れているので、実際の動画表示でもS2410Wのほうが高品質だ。輝度とコントラスト比が高いため、映像にメリハリがある。発色についても、S2410Wのほうが高彩度な色を出せているように感じた。実写映像ではL997の雰囲気も悪くないが、日本のアニメ映像だとS2410Wの見栄えの良さがはっきり実感できる。

 応答速度でもS2410Wがリードする。中間階調の応答速度を高めるオーバードライブを搭載していることもあって、見た目でもL997との違いが分かる。具体的には、映像画面内の輪郭がシャープなのだ。L997でも、さすがに「残像」として気になる場面は皆無だったが、画面内の動きが速いほど、輪郭のシャープネス損失が判別しやすくなる。

動画表示に強いS2410W。輝度やコントラスト比が高く、高彩度な色も鮮やかに発色できるため、動画系だけでなく静止画系でも強みを発揮する汎用性の高さが特長だ

 あくまで個人的な感想だが、L997でも普通に動画を見るぶんには大きな不満は感じなかった。3Dゲームについても、筆者はそれほどヘビーなゲーマーではないので、アクション系のFPS(一人称視点のシューティングゲーム)やレースゲームでもL997で十分にプレイできた。この辺りは個人差が大きいので一概には言えないが、総合的な動画の表示品質を求めるユーザーや、動画を含む2D/3DのCG/CADユーザーには、S2410Wが向いていると言えるだろう。

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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日