ナナオの「FlexScan L797」は、S-IPS方式の液晶パネルを採用した19インチSXGAの液晶ディスプレイだ。S-IPS方式ならではの高画質が好評で、おもにクリエイティブ分野で人気が高い。新製品というわけではないが、これまで取り上げていないモデルなので、その実力をチェックしていこう。
はじめに「FlexScan L797」(以下、L797)の基本スペックを確認しておこう。
液晶パネルの駆動方式はS-IPS方式で、画面サイズは19インチ、解像度はSXGA(1280×1024ドット)だ。輝度は280cd/m2、コントラスト比は450:1、最大表示色は8ビット対応の1677万色フルカラー、応答速度(黒→白→黒)は20msである。L797の製品情報ページでは「中間階調の応答速度に優れた」と記されているが、オーバードライブ回路は搭載していない。S-IPS方式は階調全体で応答速度のバラつきが小さいため、数値としては掲載されていないものの、20ms+数msくらいだと思われる。
インタフェースはデジタル/アナログ両対応のDVI-I×2系統で、アナログ接続×2からデジタル接続×2までの豊富なPC環境に対応できる。付属ディスプレイケーブルは2本で、1本は両端コネクタがDVI-Dのデジタル接続用、もう1本は片側がミニD-Sub15ピンになったアナログ接続用だ。USB2.0ハブ×2ポートも搭載している。
スタンドは定評あるArcSwing 2ではないが、チルトとスイーベル、高さ調整が可能だ。画面の回転機構も備えており、時計回りに90度回転させて、縦長表示が利用できる。ただし画面回転は「FlexScan L997」(以下、L997)のようなハードウェア制御ではないため、PC画面が自動的に縦表示になるわけではない。ビデオカードの回転機能や画面回転ソフトウェアを使って、縦表示に切り替える必要がある(L997の画面自動回転機能はレビュー記事を参照)。
L797は上位クラスの製品ということで、ナナオ独自のASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)を搭載している。これにより、普及クラスの製品にはない機能も多い。
分かりやすいのは、SXGA以下の解像度を表示するときの拡大モードだ。フルスクリーン拡大、アスペクト比を保持した拡大、実ドット表示の3通りから選べる(一部の解像度を除く)。これまで何度も述べているが、これらの表示モードを持った液晶ディスプレイは、今では本当に少なくなった。おもにゲームをプレイするときに役立つ。
2系統のビデオ入力が、系統ごとに設定を記憶してくれるのも使いやすいところだ。入力1はムービーモード、入力2はsRGBモードといったように、入力系統ごとの設定を常に固定しておける。2系統以上の入力を持つ液晶ディスプレイには必須の機能だと思うが、設定が共通になってしまう製品が多いのが実状だ。目立たない部分ではあるが、日常の使い勝手に大きく影響するため、積極的に評価したい。
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年3月31日