サードウェーブはデスクトップ型タブレットPCで何を狙う?インタビュー(1/2 ページ)

マイクロソフトの記者発表会でデスクトップ型タブレットPCを展示し、話題をさらったサードウェーブ。ホワイトボックスメーカーとして定評のあるサードウェーブが、このマシンで何を狙っているのか。仕掛け人である同社法人営業部の担当者に話をうかがった。

» 2005年12月27日 10時30分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

顧客を100%満足させるのがホワイトボックスメーカーの努め

 サードウェーブは、秋葉原を中心に全国展開しているパソコンショップ「ドスパラ」を運営するかたわら、法人向けPCやサーバの販売も精力的に行っている。法人向けモデルは、ドスパラで販売するモデルとは異なり、基本的に顧客が100%満足できるマシンを届けるというスタンスで、顧客それぞれの要望に合わせた完全オリジナルマシンを製作し納入しているという。

 「大手メーカーが販売している汎用的なPCを使っている法人ユーザーは、そのPCを実務に合わせてなんとか使っているという人が多く、大半の人がなんらかの不満を感じているんです。しかし我々なら、顧客一人一人が100%満足できるオリジナルマシンを提供できます。それがホワイトボックスメーカーの強みなのです」

法人営業部 技術責任者 齊藤愼仁氏。マイクロソフトの定例記者発表会で展示されたデスクトップ型タブレットPCを組み上げたのも同氏だ

 こう語るのは、サードウェーブ法人営業部技術責任者の齊藤愼仁氏だ。

 確かに、大手メーカー製PCは、法人向けであろうと、ある程度ラインアップ化されたマシンの中から選択し、限られた部分のみにカスタマイズを施すぐらいしかできない。そうなると、実際に利用するときに、仕様面で妥協しなければならない部分が少なからず出てくることも十分考えられる。

 しかし、ホワイトボックスメーカーであれば、顧客が望めば、市販のさまざまなパーツを加え、完全にカスタマイズされたPCも簡単に提供できる。そういった中で、Windows XP Tablet PC EditionがDSP(Delivery Service Partner)版として販売できるようになったことを受け、より幅の広い要望に対応できるように、タブレットPCもカスタマイズの選択肢として追加することにしたそうだ。


固定概念を崩すためデスクトップを選択

 「ただ、タブレットPCは、ビジネス用途やプレゼン用途に利用するPCだ、という固定観念が強いんです。そこを崩す意味もあって、デスクトップ型のタブレットPCを展示してみたのです」(関連記事を参照)と齊藤氏。

 確かに、これまでタブレットPCといえば、オプションのドッキングステーションに接続することでデスクトップPCライクに使えるものはあったものの、基本形としてはポータブル型マシンしか存在していなかった。そういった中、マイクロソフト本社で開かれた定例記者発表会に展示されたサードウェーブのデスクトップ型タブレットPCはインパクトが大きかった。

マイクロソフトの定例記者発表会に展示されたデスクトップ型タブレットPC

 展示されていたデスクトップ型タブレットPCは、スリム筐体の一般的なデスクトップPCに、ワコムの液晶タブレットを組み合わせたものだ。これこそ、「タブレットPC=ポータブル型」というこれまでの発想の中からは絶対に出てこない製品だ。実際に、他のホワイトボックスメーカーから、「そんなのありなの!?」と言われたこともあったそうだ。

 ただこれも、単純に面白そうだから、という理由だけで作られたわけではない。タブレットPCを従来からの概念の中で販売していくのではなく、さまざまな可能性を考慮しつつ、どういった要望にも対応できる柔軟な発想をもって販売していこうという考えを表しているのである。

 もちろん、実際にデスクトップ型のタブレットPCを作るにあたって、業務効率を上げられる業種もある程度は想定していたようである。その業種とは、医療関係だ。

 医療の現場では、医療支援システムの導入などもあって、もはやPCを使用するのは当たり前となっている。ただ、電子カルテとなると、キーボードやマウスを利用した入力環境では効率が良くないと感じているケースが多いようだ。

 しかしタブレットPCを活用すれば、直接文字を書き込むことで業務効率が大幅に向上するだけでなく、レントゲン写真などを画面に表示させ、ペンで患部に印を付けつつ患者に説明できるようになるなど、医療現場でのPCの活用範囲もさらに広がってくる。実際にタブレットPCの導入を検討している医療機関も少なくないようである。

 とはいえ、実際には、現状のポータブル型タブレットPCでは、パワーや拡張性が不足していたり、接続できるディスプレイが制約されるといった問題もあって、導入に踏み切れないといった声も多いそうだ。しかし、デスクトップ型タブレットPCであれば、パワーや機能面の拡張に制約はなく、まさに顧客が思い描いている仕様を100%実現できることになる。つまり、医療機関で利用するマシンとして、デスクトップ型タブレットPCは最適であると考えているわけだ。

 こういったことを、単に思い浮かべるだけでなく実際に実現してしまうという身のこなしの軽さも、ホワイトボックスメーカーならではと言えるだろう。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日