では、先ほど複数のショップがあの頃は……と挙げたWindows 95から98の時代をちょっと振り返ってみよう。
1995年、Windows 95のリリースでPC市場が劇的に拡大した。深夜の発売開始イベントに人が詰めかけ大々的に報道もされた。なお流行語大賞に「インターネット」が選ばれ、28.8Kbpsダイヤルアップ接続、ないしISDNにより個人にもインターネットが利用されはじめた。当時のアキバにおけるPCパーツ主役はCPU。1996年からPentiumの166MHzタイプやMMX Pentiumが登場し、ソケットがSocket 5からSocket 7へ移行した。
Windows 98リリースともに、自作パーツ市場もさらに盛り上がった。やはり主役はODPキットなども含むCPUで、インテルとAMDのほかにCyrixやCentaur Technology(IDT、現VIA)なども製品を投入していた。
当時を振り返り、某ショップ店長氏は「まだ店舗を出しておらず、リアルユーザーの頃でした。当時は売れ筋CPUが200〜300MHzで勝負していた時代。CPUを決めてからほかのパーツを選ぶといった時代でしたね。コンピュータを自分の好み・予算で構成し自分で作れる、この楽しさを伝えたい。このことが店を出す動力源となりました」と話す。
MMX Pentiumなど売り上げはインテル優勢だったが、当時の自作ユーザーは同等パフォーマンスで安価傾向であるAMDのAMD-K6などにも大いに注目しオーバークロックにチャレンジしたりと、いわゆる“つるし”のPCとは違う楽しさを見いだすこともできた。
なお、グラフィックスカードが大きく注目され始めたのはWindows XPが登場する前後頃からで、こちらも華になっていく。なおCPUよりも高価なグラフィックスカードがヒットするようになったのは、3Dネットゲームが流行してからなのでごく最近のことだ。
今年、PC系では珍しくなった深夜販売イベントとしては4月に行われた、Windows XP Professional x64 Editionの販売イベント(関連記事参照)が思い出される。「少なく見積もっても1万〜2万人は集まった」(T-ZONE.PC DIY SHOP)というPC市場が劇的に広がったWindows 95/98登場時イベントの盛況さを思い出すと、そもそも大多数のユーザーをターゲットとしないハイエンドユーザー向けのバージョンとなるので単純には比較できないが、このイベントに参加した店舗はわずか5店舗だけだった。
その際に聞いた「これで少しでも電気街が盛り上がれば、それで成功です」(ドスパラ秋葉原本店)の声は、現在のアキバの状況を端的に示していたといえるのか。──PCパーツが思うように売れないことへ。
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