2つのGPUを載せた1枚のカードでNVIDIA SLIを利用できる「デュアルGPUカード」は、展示会や店頭で姿を見せるたびにユーザーの注目を集める。ただし、このユニークなグラフィックスカードに積極的に取り組んでいるベンダーは、以前レビューでも取り上げたことがある「GV-3D1-XL」「GV-3D1-68GT」を投入したギガバイト、「WinFast Duo PX6600GT Extreme」のリードテックなど、少数に限られている。
GeForce 6800 Ultraを2つ搭載した巨大な「Extreme N6800ULTRA DUAL/2DT/512M」でユーザーを驚かせたASUSもその1つだ。そのASUSは、GeForce 7シリーズでは初めてとなるデュアルGPU搭載グラフィックスカードを2005年10月末に行われたWPC EXPO 2005で展示していた。
それから3カ月余。GeForce 7800 GTを2つ搭載したExtreme N7800GT DUAL/2DHTD/512M(EN7800GT DUAL)が「ワールドワイドで限定2000枚」という条件付きでようやく出荷を開始する。その仕様はWPC EXPO 2005で紹介されていたときと同じで、家庭用100ボルトコンセントにつなげた外部ACアダプタユニットから「12ボルト、6.67アンペア」が供給される、特徴的だった外部電源仕様もそのまま採用されている。
ASUSのデュアルGPUらしく基板は大きい。しかし、その長さはEN6800ULTRA DUAL/2DT/512Mほど非常識ではなく、以下にある画面を見ても分かるように、GeForce 7800 GTXリファレンスカードとさほど変わらない(とはいえ長いことに変わりないが)。
問題なのは「幅」である。外付けACアダプタから供給される電力をグラフィックスカード後端にあるコネクタまで誘導するケーブルの通路と、コンデンサチップの実装スペースを確保するために、その分幅が広くなっているのだ。
2つ並んだそれぞれのGPUを取り囲むように8個×2=16個のメモリチップが基板に配置されている。基板裏面の画像を見ても分かるように、通常のグラフィックスカードの基板サイズに相当する部分はGPUとメモリだけで埋まっている。コンデンサの場所を確保するために幅が必要になるわけである。
クーラーユニットは1つのファンを大きなヒートシンクに組み込んだものを搭載している。ギガバイトのGV-3D1-68GTは2つ搭載したGeForce 6800GTを冷やすために基板の表と裏にそれぞれファンを1つ組み込んだ巨大なクーラーユニットを採用していたが、EN7800GT DUALは表だけに取り付けられている。
となると、EN7800GT DUALを使えば、NVIDIA SLIを構成するのに1つのファンで間に合うことになる。起動時は別にしても、確かに動作中の音は静かだ。ただし、GPUの温度に合わせて回転数を変化させる機能を持っているため、評価作業中でも急に回転数があがる瞬間の音がしばしば耳につく場面があったことは述べておきたい。
GeForce 7800 GTの定格クロックはコアクロック400MHz、メモリクロック1GHzだが、EN7800GT DUALはコアクロック430MHzにメモリクロック1.2GHzと高めに設定されている。その値は上位モデルのGeForce 7800 GTXに近い(コアクロック430MHz、メモリクロック1.20GHz)。ただし、PixelShaderパイプラインの本数、VertexShaderユニットの数はそれぞれ20本に7個と、こちらはGeForce 7800 GTのスペックのままだ。
クロックをGeForce 7800 GTXに近づけたNVIDIA SLI構成でどこまでパフォーマンスを発揮できるのか。定番ベンチマークでGeForce 7800 GTX、GeForce 7800 GTの2枚差しによるNVIDIA SLI構成、それからグラフィックスカードの価格帯がやや高い(その違いは2枚構成で2万円強)RADEON X1800XT+RADEON X1800 CrossFire Editonの構成と比べてみる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.