ViivもOK!なBTX仕様のハイパフォーマンスPC――デル「Dimension 9150」ダイレクトPC最前線

» 2006年03月08日 09時00分 公開
[兼子忍&ダイレクトPC取材班,ITmedia]
白と銀をベースにアクセントで黒を取り入れた外観のDimension 9150

 豊富なラインアップをそろえるデルのデスクトップPCシリーズの中で、BTXフォームファクタを導入しているのがDimension 9150と同5150Cだ。後者が省スペース性を重視しているのに対し、ここで取り上げる9150は900番台のPentium Dを中心とした高性能なBTOメニューを用意しつつ、ミドルタワーケースを採用することで、パワーユーザーも満足できる性能と拡張性を両立する。同社の個人向けデスクトップPCのフラッグシップモデルは、SLI構成も可能なGaming PCのXPS 600なので、この9150はDimensionシリーズの事実上の最上位機に位置付けられる格好だ。選択可能なOSにはWindows XP Home Edition、同Professionalに加え、Windows XP Media Center Edition 2005(Update Rollup 2)を用意する。

メンテナンス性に優れたBTX専用のミドルタワーケースを採用

 白と銀のツートーンカラーが目を引くボディは、168(幅)×445(奥行き)×445(高さ)ミリ、容積が約33.3リットルのミドルタワーケースを採用する。正面から見た限りでは何の変哲もないケースだが、両側面の前方に大きなスリットがある。これはケース前面から外気を取り込み、巨大な冷却ファンでCPUやチップセットなどの内部の熱を背面に排気するBTX特有の形状だ。

 本機はケース前方の中央に12センチ角、その下に9センチ角の冷却ファンを搭載する。前者は直接CPUを冷却し、後者はHDDを冷やすものだ。ケース背面にファンはないが、電源ユニット内に9センチ角の排気ファンがあり、ここからも排気が行われる。これらのファンはシステムの負荷に応じて回転数が制御されており、アイドリング状態では低い駆動音がする程度で静かだった。また、CPUに負荷をかけた状態でも騒音が極度に増大することはなく、机の下に置けば気にならなくなるレベルだ。

12センチ角と9センチ角のファンをケース前面に配置。前者は高さ14センチのヒートシンクに直接外気を導く

 ドライブベイは5インチと3.5インチのオープンベイ、そしてHDD専用のシャドウベイともに各2基ずつと余裕のある構成だ。オープンベイに設置するドライブはレール用の専用ネジを取り付ける必要があるものの、あとは拡張カードを含めてレバー操作だけでパーツを着脱できるメンテナンス性のよい機構を採用する。ただ、前面端子は2基のUSB 2.0とサウンド関連のみで少々さびしい構成なので、BTOメニューで3.5インチベイ用のメモリカードスロットを追加(プラス3000円)したいところだ。ちなみに、3.5インチのオープンベイにはHDDを取り付けられるが、BTOメニューでは最大2基までのHDDしか選べず、RAIDも0か1のみにとどまる。マザーボードに4基のSerial ATAポートがあることを考えると、やや物足りなさを覚えた。

右側面のサイドカバーはレバー操作だけで取り外せる。ケース内はケーブルにじゃまされず広々としており、メンテナンス作業が行いやすい。電源容量は375ワットだ。なお、右側面下部に開口部があり、外気を直接HDDに取り込んでいる(写真右)

チップセットにIntel 945Pを採用した独自形状のマザーボード

 チップセットにIntel 945Pを採用したマザーボードは、サウスブリッジにViivブランド対応のICH7-DH(NH82801GH)を搭載しているのが目新しい。加えて、チップセットやメモリスロットなどのレイアウトをBTXの仕様に合わせつつ、下部にあるHDD専用ベイとの干渉を避けるための切り欠きを設けた独自デザインをとる。microBTXをベースに2本のPCIスロットが追加されており、拡張スロットはPCI Express x1/x4/x16が各1本ずつ、PCIスロットが3本の計6本もあり将来性に不安はない。スロットの配置にも工夫が見られ、PCI Express x16スロットをPCI Express x1スロットの下(上から2段目)に並べ、カード2枚分のスペースを占有する大型クーラーを搭載したハイエンドのグラフィックスカードを装着可能にしている点が興味深い(ただし、カードの厚みは35ミリ以下でないとサーマルモジュールに干渉する)。なお、最下段のPCIスロットはHDD専用ベイと近接しており、取り付けられるのは長さ14.5センチ程度までのカードに限られる。

Intel 945Pチップセットを採用したオリジナルのマザーボードで、拡張スロットが計6本と多い。BTXに準拠しながら形状は本ケース専用になっており、前面の端子類が独自形状なのでマザーボードの換装は事実上難しいだろう
評価機はATI RADEON X300 SE HyperMemory(ローカルメモリは32Mバイトでメインメモリとあわせて最大128Mバイト)搭載の独特な形をしたグラフィックスカードを採用していた。性能と静音性を重視するならば、BTOメニューでファンレス仕様のATI RADEON X600 HyperMemory(ローカルメモリは128Mバイトでメインメモリとあわせて最大256Mバイト)搭載カードを選ぶといいだろう

性能重視の構成で選びたい

 BTOメニューの内容は、冒頭に述べた通り高性能なパーツ中心の構成だ。例えばCPUはPentium Dの選択肢が4種類(940/930/920/820)と豊富で、3.20GHz駆動のPentium 4 640も用意されている。メモリは最大4Gバイトまで、HDDは最大1Tバイト(500Gバイト×2)までと、ニーズや予算に応じて柔軟に基本システム構成を調整できる。また、BTO対応モデルながらViivブランドの構成を選べるのもユニークだ。

 Viivモデルを構築する場合、OSにWindows XP Media Center Edition 2005を選択する必要があるほか、光学ドライブやTVチューナーカードもViiv対応のものを選ぶなどの制約がある。逆に、BTOメニューでTVチューナーカードを追加すると、OSをWindows XP Media Center Edition 2005にしなければならないので気をつけたい。ちなみに、TVチューナーカードは2番組同時録画に対応し、ゴースト軽減機能を備えたEmuzed Angel(MPEG-2エンコーダはNECのμPD61153を採用)と、PCI Express x1対応のシングルTVチューナーカードのATI TV Wonder Eliteが用意されている。

 上位機のXPS 600のようにゲーム用PCほどのハイエンド構成は手に余るが、高性能かつエンターテインメント要素を盛り込んだPCを求めるユーザーなら、ぜひ選択肢に加えたいモデルといえる。最小構成価格は10万円台からで、随時実施されている「割引クーポン」を使えばさらに本機を安価に購入できるので、これを利用してワンランク上の性能を持ったパーツを選ぶのもかしこい方法だ。なお、同社の直販サイトでは、液晶ディスプレイをセットにした構成例が複数提案されている。1からパーツを選ぶ自信がないユーザーはこの構成例をベースに、お気に入りの1台を作り上げてみるといいだろう。


「Viiv」印のメインPCを組む――兼子忍のオススメBTO

 CPUやメモリなどの搭載パーツを自由に選択しつつ、Viiv対応モデルを購入できるのが本機の特徴だ。そこで、Viivの要件を満たしたメインPCとして快適に扱えるスペックを狙った。なお、TV機能はシングルチューナーとダブルチューナーから選べるが、ここでは画質改善機能を備えた後者をチョイスしている。CPUはコストパフォーマンスを重視してPentium D 820(2.80GHz)を選んだが、HDDはシステム用の250Gバイトと録画用の500Gバイトを個別に搭載した。予算が許すならば、より大容量のHDDを、データ保護を重視するならばRAID 1(ミラーリング)にしておきたい。なお、グラフィックスカードは悩んだのだが、静音性と性能を勘案してRADEON X600とした。値段はそれなりに張るが、TV番組の鑑賞や動画編集も楽しめる1台に仕上がった。下記の価格はお得なクーポン券を適用していないため、場合によっては20万円以下で購入することも可能だろう。

BTO内容 項目
CPU Pentium D 820(2.80GHz)
メモリ 1024MB(512MB×2/PC2-5300)
グラフィックス ATI RADEON X600 HyperMemory
HDD 750GB(250GB+500GB/RAIDなし)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ(DVD+R DL対応)
TV機能 Emuzed Angel ダブルTVチューナカード
カードリーダー 13メディア対応カードリーダー/ライター
そのほか IEEE1394(PCIカード)
OS Windows XP Media Center Edition 2005
価格 23万3100円(クーポン適用せず)
価格は2006年3月7日現在



ゲームも仕事も快適なパワフルPCを手に入れる――ダイレクトPC取材班のオススメBTO

 今回はTV機能を手軽に楽しめるViivをあっさり見送り、ビジネス用としてはもちろん、最新の3Dゲームも楽しめる1台を目指した。CPUは価格と動作クロックに重点を置いてPentium 4 640(3.20GHz)とし、グラフィックスカードには選択肢の中で最上位のGeForce 7800 GTXをおごった。サウンド機能はEAX 2.0/1.0対応のSound Blaster Audigy(オンボード)を選ぶ一方で、動画などの大容量データを保存しないためHDDは容量250Gバイトと抑えている。ポイントは液晶ディスプレイで、1600×1200ドットの広大な画面の20インチモデル(2001FP HAS)を選んだ。より安価で大画面がほしいならば、1280×1024ドット表示の17インチモデル(1707FP HAS)の2台構成もおすすめだ。GeForce 7800 GTXはデュアルDVI出力をサポートするほか、価格は25万5150円にまで下がる。なお、購入の際は忘れずに割引クーポンを活用しよう。

BTO内容 項目
CPU Pentium 4 640(3.20GHz)
メモリ 1024MB(512MB×2/PC2-5300)
グラフィックス NVIDIA GeForce 7800 GTX(256MB)
HDD 250GB(RAIDなし)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ(DVD+R DL対応)
TV機能
カードリーダー 13メディア対応カードリーダー/ライター
液晶 20インチ1600×1200ドット(2001FP HAS)
そのほか Sound Blaster Audigy(オンボード)
OS Windows XP Professional
価格 29万2950円(クーポン適用せず)
価格は2006年3月7日現在


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