2006 International CESで公開された「Quad SLI」と呼ばれる4つのGPUで実現されるマルチGPU機能をGeForce 7900シリーズはサポートする。Quad SLIの構成は基本的に2006 International CESで動態デモが展示されていた「XPS 600 Renegade」向けのソリューションと同じのものになる。
Quad SLIは、基本的に現在のNVIDIA SLI対応プラットフォームをそのまま利用できる。マザーボード上にPCI Express x16のスロットが2つあればQuad SLIを利用できることになっている。というわけで、チップセット側はnForce4 SLI X16をそのまま使えることになる。
そうなると、2つのGPUが1つのPCI Express x16に接続されることになる。2006 International CESで公開されたQuad SLI対応のグラフィックスカードを見ると、その構造は2枚の基板にそれぞれ1組のGPUとメモリが搭載されて、片方の基板に搭載されているPCI Expressスイッチがチップセットと2つのGPUの接続を分岐しているのだ。このPCI ExpressスイッチにはPCI Expressのレーンが48本が搭載されており、チップセットに16レーン、それぞれのGPUに16レーンを割り当てて動作させる仕様になっている。
NVIDIA SLIの基本的な動作モードには、SFR(Split Frame Rendering)と呼ばれる上下のフレームをそれぞれのGPUが描画するレンダリングモードと、AFR(Alternate Frame Rendering)と呼ばれるフレームを偶数奇数に分けてそれぞれのGPUが分かれて担当するレンダリングモードの2種類がある。ちなみに、ゲームタイトルによって性能が向上するモードが異なる。NVIDIAでは適切なモードをゲームタイトルごとに定義している「プロファイル」としてドライバの中でデータを公開している。
Quad SLIでは、このSFRとAFRを拡張した「4-SFR」「4段階AFR」「SFRとAFRの組合せ」といった3種類の描画モードが用意されている。4-SFRとは画面を4つに分割してそれぞれのエリアを4つのGPUが分担し、4段階AFRはフレームを奇数1、偶数1、奇数2、偶数2の4つに分けてそれぞれを4つのGPUが分担する。SFRとAFRの組合せでは奇数フレーム、偶数フレームをぞれぞれ上下に分け、分割した4つの部分を4つのGPUで分担する。
NVIDIAの説明によると、Quad SLIに対応した製品は最初にデルからリリースされ、その後OEMベンダ向けに出荷されることになっている。OEMだけに出荷される理由は、専用の電源供給ユニットが必要でリテール向けユーザーがその環境を用意するのはまだ難しいと考えられるからだ。Quad SLIは4つの高性能GPUを使うため、システム全体で要求される電力も500ワットでは足りず、また、4つのPCI Express用電源コネクタが必要になるなど、大容量で供給コネクタが多く用意されている特別な電源ユニットが必要になる。自作PCユーザーの市場でこのような電源ユニットが入手できるようになればQuad SLI対応グラフィックスカードもリテール向けにリリースされるが、それがいつになるのかは現時点で未定であるということだ。
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