NVIDIA、ハイディフィニション時代に向けた最新のGPU3種をCeBITでアピールCeBIT 2006

» 2006年03月10日 12時15分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 「今年はハイディフィニションの年」と同社のマーケティング担当上級副社長、ダン・ヴィボリ氏は語る。グラフィックスチップに特化してきた同社にとって、さらなる飛躍の年となりそうだ。

NVIDIAマーケティング担当上級副社長、ダン・ヴィボリ氏

 新GPUの「GeForce 7900」「GeForce 7600」を説明したGeForce担当ジェネラルマネージャーのユジェシ・デサイ氏は、「今年はエクストリームハイディフィニション(X-HD)ゲームとグラフィックスがエンゾージアストPCを席巻する」と語る。X-HDでは2560×1600ドットと、通常のコンシューマー向けHDTVよりもより高解像度をサポートする。画面が従来より20%広くなることから、これまでの解像度では入りきらなかった敵の姿が表示されたりウインドウを整理できたりと、ゲームをさらに快適に楽しめるという。

上は1600×1200ドットの解像度で見えなかったキャラクターが下の1920×1200ドットでは表示される

 同社にとって最新のフラッグシップGPUとなるGeForce 7900シリーズはX-HDゲームを想定して設計されている。最大解像度は2650×1600ドットをサポートし、4つのGPUを連動させる「Quad SLI」にも対応した。コアクロック650GHz/メモリクロック800MHz(データレートで1.60Gbps相当)、512MバイトのGDDR3を搭載してデュアルリンクDVI出力をサポートする「GeForce 7900 GTX」と、コアクロック450GHz/メモリクロック660MHz(同じく1.32Gbps相当)、256MバイトのGDDR3を搭載してデュアルリンクDVIをサポートした「GeForce 7900 GT」の2種類を投入する。

 「GeForce 7600 GT」は大成功を収めた「GeForce 6600 GT」の後継となる。上位モデルのGeForce 7900シリーズと同じ90ナノメートルプロセスルールを採用、ミドルレンジのGPUながら最大2560×1600ドットの解像度をサポートする。コアクロック560GHz/メモリクロック700GHz(データレート1.40Gbps相当)、256MバイトのGDDR3を搭載しデュアルリンクDVIをサポートする。

最新のGPUを利用した「Geo Forms」のデモでは、影を多用してルックアンドフィールを改善した完成度の高い画像が流れた

「Dino Bones」のデモでは、博物館に設置した恐竜の展示物の画像が流れた。天井から差し込む光を受けて影がたくさんできる床だけでも500以上の影に関するインストラクションを用いたという

 NVIDIA SLIは3年前に発表された技術だが、今年初に開催された2006 International CESでGPUを4基連動させる「Quad SLI」を発表している。GeForce 7900シリーズを4基連動すると、トータルのトランジスタ数は11億個にも達する。同様な数え方をするとQuad SLI構成では96のピクセルシェーダーユニット、グラフィックメモリは2Gバイトとなる。CeBITではこの「Quad SLI」の概要を紹介、会場にはOEM7社がデモを行っている。

 デサイ氏はNVIDIA SLIビジネスの成果も紹介。すでに900万個以上のNVIDIA SLI対応GPU、300万セット以上のSLI対応MCPがそれぞれ出荷されたという。NVIDIA SLI認定アプリケーションは当初の20タイトルから200タイトル以上に増え、110社以上の認定パートナーから200アイテム以上のSLI対応認定製品が登場しているという。

 「発表当初、“どうしてGPUが2つ必要なのか?”という声もあったが、市場は実際にGPU2基のメリットを享受している」とデサイ氏は述べ、NVIDIA SLIの必要性を説いた。

「エンドユーザーは最高の解像度を実現するGPUでゲームをプレイしたい」とデザイ氏。「Quad SLI」では32x AAをサポートして「イメージクオリティの限界をさらに押し上げる」という。

 この日は、ノートPC分野における取り組みも紹介された。デスクトップPCと同等の3D性能を持つノートPCを求めるユーザーが多いこともあって、NVIDIAのモバイル向けGPUはノートPCの全セグメントで好調という。

 また、ハイディフィニションノートPC向けのチップセットとして、「GeForce Go 6100」と「nForce Go 430」を組み合わせたノートPC向けの統合型チップセットも発表した。

 同社モバイル製品マネジメント担当ディレクター、ビル・ヘンリー氏の「妥協はない」という言葉通り、デスクトップ向けnForceが持つネイティブギガビットLAN、Active Armorファイアウォール、ハイディフィニションオーディオなどの機能はそのままだ。マイクロソフトの「Windows Vista」が年内に提供される予定だが、このOSはグラフィックス効果が操作に与える影響が大きいため「プレミアムな経験をもたらす(高性能な)GPUを必要とする」とヘンリー氏。新しいノートPC向け統合型チップセットを登場させるタイミングとしてはまさに今が絶好といえそうだ。

 ヘンリー氏がもう1つ強調するのが、PureVideoによるH.264形式HDビデオのハードウェアデコードサポートだ。3月公開された新しいPureVideo技術を利用することで、HD画質のビデオ再生ではCPU占有率を最大40%削減できるという。このことは消費電力を抑えることでも大きなメリットとなる。(掲載当初「ハードウェアエンコードサポート」を記載されていましたが、ただしくはハードウェアデコードサポートの誤りです。お詫びして訂正いたします)

 「GeForce Go 6100」と「nForce Go 430」を組み合わせたノートPCは、すでにEversham、Rover、Wortmannから提供されており、数カ月以内に他のOEMからも提供される予定だ。

モバイル製品マネジメント担当ディレクター、ビル・ヘンリー氏
ノートPC向け統合型チップセット「GeForce Go 6100」「nForce Go 430」の構成。PCI Express x16は1つ、3Gbpsの転送レートをサポートするSerial ATAもサポートされる

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