PCを“ワイヤレスTV&レコーダー”に──LAN接続型TVユニット「AVeL LinkTuner」を試すLAN接続型TVユニット(1/3 ページ)

» 2006年03月17日 10時00分 公開
[寺崎基生,ITmedia]
photo アイ・オー・データ機器「AVeL LinkTuner AVLT1/GXW」。実売価格は4万2000円前後(ITmedia +D Shoppingで最安値をチェックする)

 ビデオデッキに代わってHDD搭載のDVDレコーダーが一般にも広く浸透し、TV録画の環境も大きく変わった。家庭用HDD/DVDレコーダーでは、2番組の同時録画も行えるダブルチューナータイプのモデルや、地上デジタルチューナーを搭載によりハイビジョン録画が可能なモデルも一般的になってきており、非常に進化は早い。そしてPCでもメーカー製モデルの多くがTV機能を搭載し、PC周辺機器としても非常に多くのTVキャプチャー製品が発売されている。

 最近のPC用TVキャプチャー製品は、ハードウェアエンコードタイプの製品が主流に、かつチューナーを2基搭載するタイプなど高機能な製品がそろってきた。なお2006年3月現在は、デジタルチューナーを搭載する個人市場向け製品はまだ市販されておらず、基本的にはアナログ地上放送用として活用する(ただし外部入力端子に別途デジタルチューナーを接続し、SD画質かつ制限付きにて録画が行えるモデルもある)のが現状である。

 最近になって、PCで利用するTVチューナーの新たな形態を提案する、LAN接続タイプのモデルが登場した。今回紹介する、アイ・オー・データ機器「AVeL LinkTuner AVLT1/GXW」(以下、LinkTuner)もその1台だ。

 LAN接続タイプのPC向けTVチューナーというと、カノープス「DNT-888L」や、以前紹介したバッファロー「Link de 録!!」などがある。ただしLink de 録!!は、NASとUSBタイプのTVチューナーユニットと組み合わせる仕組みのシステムであるため、やや大がかりだ。その点LinkTunerは、視聴や録画操作などに別途PCを必要とするものの、家庭用AV機器のように、より手軽に利用できることをポイントとしている。今回は同機を導入し、LAN接続型のTVユニットが家庭内でどのように便利に活用できるかを試してみよう。

AV機器のような外観のLAN接続型外付けTVダブルチューナーユニット

photo LinkTunerに付属するインストーラのメニュー画面。mAgicTVを利用するのかDiXiMを利用するのかを選ぶことができる。もちろん両方インストールすることも可能だ

 ではLinkTunerを実際に使用してみよう。基本的には本体にLAN端子とTVアンテナ端子を接続するだけであり、接続は非常に簡単だ。

 TVを視聴するにあたり、LinkTunerでは2種類の方法で活用できる。1つは、本機のDLNAサーバ機能を活用し、DLNAクライアント機能を有するネットワークメディアプレーヤーや、DLNAクライアントソフトをインストールしたPCを使用して視聴する方法となる。

 もう1つは、同社製TV視聴・録画ソフト「mAgicTV」を利用して視聴する方法である。2005年末の初登場時には未対応だったが、今年2月に新たなドライバとファームウェアに加え、このコントロールソフトがリリースされ、番組録画にも行えるようになった。これにより、LinkTunerの本当の実力を発揮できる環境が整ったといえる。mAgicTV5は同社製TVキャプチャーユニットに付属するTV視聴・録画ソフトで、ADAMS-EPG+による番組表表示やキーワード指定によるおまかせ録画などの機能も持つなど、その操作性には定評がある。

 ポイントは、PCにインストールしたmAgicTV5からLAN接続されたLinkTunerが、あたかもPCI内蔵タイプやUSB接続タイプのTVユニットと同じように認識されることだ。同機はチューナーを2基搭載するため、mAgicTV5ではデバイスが2つ認識されることになる。もちろん同社「GV-MVP/GX2W」「GV-MVP/RX3」「GV-MVP/RZ3」などの対応キャプチャーユニットユーザーであれば、既存のユニットを同時に認識させることもできる。

photo 一般的な家庭用AV機器の横幅とほぼ同サイズの筐体を採用し、AVラックなどに設置しても違和感のないデザインを採用する。背面はTVアンテナ端子、S-Video/RCA映像/RCA音声左右入力端子、100BASE-TX LAN端子、オプション機器接続用のピン端子を備える

 LinkTunerはHDD/DVDレコーダーやAVアンプなど、よくある家庭用AV機器の横幅と同サイズで、PC機器として見るとちょうどDVDドライブを搭載しないネットワークメディアプレーヤーのような外観となっている。

 内部はメインの基板にTVキャプチャーカードが接続されるだけといった感じの、非常にシンプルな構成となっている。基板には中央にCPU、Realtek製ネットワークコントローラやNEC製USBコントローラなどが並ぶ。CPUはフリースケール・セミコンダクタ「MPC8241」で、ネットワーク機器やNASなどでも採用例があるもの。型番から推測すると、動作クロックは266MHzのモデルのようだ。

 基板にはPCIスロットが1基用意され、そこにTVキャプチャーカードを実装する。これは同時期に発表された、ダブルチューナー+XCode II-Lを搭載するPCI接続タイプのTVキャプチャーカード「GV-MVP/GX2W」そのものと思われ、裏面にシリアルナンバーシールが貼られていないこと以外は違いがない。

 なお、本体ケースの背面からは拡張スロットが2基あるように見えるが、基板の仕様上、基本的にはこれ以上の増設はできない。想定されるシチュエーションから家庭用AV機器と同じ横サイズのケースを採用したと思われるが、第一印象としては内部のがらんとしたスペースがややもったいないとも感じ、小型の筐体を採用してもよかったのではないかと思う。あくまで筆者宅での使用における感想なのだが、本体は家庭用DVDプレーヤーほどの大きさがあるわけで、PCの周りではなかなか置き場所に困る。そうといって、AV機器のように家庭用TVの周辺に置くと考えても、TVに出力できるネットワークメディアプレーヤー的な機能を持つわけではない。冷却ファンもあるため、わずかながら風切り音も気になるのである。

photo 内部は非常にシンプル。基板と電源部、TVチューナーカードのみで構成され、可動部分は排気ファンのみ。基板に搭載されるCPUは、ルータやNASなどのネットワーク機器で利用されるフリースケール・セミコンダクタ製MPC8241(動作クロック266MHz)だ

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