NVIDIAのミドルレンジGPUは長らくGeForce 6600GTが主力となっていたが、昨年11月に「前世代の主力GPU」GeForce 6800 GSがリリーフ。そして今年の3月には待望の新世代GPU「GeForce 7600 GT」が登場した。先日掲載したベンチマークでは、競合する2万円台GPUのなかで、旧世代のGeForce 6800 GSはもちろんのこと、新世代のRADEON X1600XTをも凌駕する結果を残している。
GeForce 7600 GSは、そのGeForce 7600 GTの下位モデルに位置付けられるGPUになる。そのクロックとシェーダユニットの数をほかのミドルレンジGPUと比較すると以下のようになる。
GeForce 7600 GT | GeForce 7600 GS | GeForce 6800 GS | RADEON X1600XT | |
コアクロック | 560MHz | 400MHz | 425MHz | 590MHz |
メモリデータレート | 1.40Gbps | 800Mbps | 1Gbps | 1.38Gbps |
VertexShader | 5 | 5 | 5 | 5 |
Pixcel Shader | 12 | 12 | 12 | 12 |
メモリバス幅 | 128ビット | 128ビット | 256ビット | 128ビット |
コアクロックとメモリクロックを並べてみると、GeForce 7600 GSがGeForce 7600シリーズの下位モデルであることがよく分かる。クロック以外のスペックは上位モデルのGeForce 7600 GTと同等であるが、クロックの抑え加減は激しい。コアクロック400MHzというのはGeForce 7シリーズではGeForce 7800 GTと並んで最も低く、メモリクロック400MHz(データ転送レートで800MHz相当)というのはバリュークラスGPUであるGeForce 7300 GSの最も速い設定と肩を並べる(もっとも、メモリバス幅はGeForce 7600 GSが128ビット、GeForce 7300 GSが64ビットであるため、そのパフォーマンスに与える影響はまったく異なる)。
このように、GeForce 7600 GSのクロックは同じシリーズとはいえかなり抑えた設定であるが、これにはラインアップの差別化ということもあるだろうが、同時にクロックが低くなって発熱が少なくなることで、グラフィックスカードベンダーとっては「ファンレス」化するのに都合がよろしいGPUということにもなる。すでに各ベンダーからGeForce 7600 GSを搭載したグラフックスカードが発表されているがそのなかにはファンレス仕様の製品も多い(ASUSのこれとか玄人志向のこれとか今回取り上げるLeadtekとか)。
GeFore 7600 GTでもファンレス仕様のグラフィックスカードが発表されているが、温度管理という点からするとGeForce 7600 GSが有利だ(搭載するクーラーユニットが優秀でGPUやメモリから効率よく熱を発散させても強制的に排出されないため、熱はそのエリアに滞留することになる。システム全体の冷却を考えると発熱の少ないことが重要になる)。
ユーザーにとって気になるのが、ファンレス化が容易になった代わりにパフォーマンスがどれだけ犠牲になっているかということだ。もちろん、クロックを抑えた分だけ発熱も抑えられているのか、アイドル状態だけでなく負荷の重い3D描画処理を行っているときでも熱くならないのだろうか、こういったあたりも注意しなければならない。
以上のような、パフォーマンスと熱のバランスを中心に今回はベンチマークの結果を評価していきたい。GeForce 7600 GS搭載のグラフィックスカードとして今回取り上げるのはビデオメモリを256Mバイト搭載するLeadtek「WinFast PX7600 GS TDH」である。
GeForce 7600 GTは外部電源を必要としていたが、WinFast PX7600 GS TDHにはそのコネクタは用意されていない。また、基板にブリッジチップコネクタがあることから分かるようにGeForce 7600 GSもNVIDIA SLIに対応するが、今回調達できたのが1枚のみであったため2枚差しのパフォーマンスは別の機会に紹介したい。
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