2万5000円で買える高速モノクロレーザープリンタ――ブラザー工業「HL-5240」(1/2 ページ)

» 2006年04月06日 09時57分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

 安定した市場を形成しているA4モノクロレーザープリンタだが、意外とこの市場が激戦区であることを知らない人も多いだろう。市場規模で見れば昨年第三四半期の総出荷台数が7万4千台程度と、インクジェットに比べ大きいとは言えないものの、ここに各メーカーが注力している背景には、大規模なマーケットを持つ企業向けA3レーザープリンタ(カラー/モノクロ)の存在がある。

 モノクロレーザープリンタは世界規模で見れば軽く1000万台を超える市場を持ち、A4モノクロと言えどもこのカテゴリーに入るわけで、イメージ戦略としてそこを押さえたいというメーカーの思惑も頷ける。また、A3モノクロレーザーの技術(エンジンやドライバなど)は、そのままA4モノクロレーザーにも応用できる。今回ブラザー工業が投入した「HL-5200」シリーズは、まさにこうしたポジションに位置付けられる製品なのだ。

 HL-5200シリーズのラインアップは、接続インタフェースがパラレル/USB 2.0のエントリー機「HL-5240」、パラレル/USB 2.0に加えて有線LANを搭載し、両面印刷機能を備えた「HL-5270DN」、さらに無線LANも標準で装備する「HL-5280DW」の3モデルだ。その中から今回は実売価格で2万5000円を切るエントリー機のHL-5240を試した。

カラーリングを一新、True1200dpi×1200dpi対応で印刷速度は24ppmへと向上

本体サイズは371(幅)×384(奥行き)×246(高さ)ミリ

 HL-5200シリーズはHL5000シリーズの後継に当たる。以前はホワイト系のカラーリングでいかにも事務用機器といったイメージが強かったが、HL5200シリーズではグレーを基調とした配色へと変更された。最近ではPC本体の色にブラックやグレー、シルバー系などを採用するモデルが増え、ホワイト系はむしろめずらしくなってきている。オフィス全体がそうした配色のPCで統一されている環境でも本機は違和感なくマッチするだろう。

 もちろん変更点はカラーリングだけではない。前モデルは印刷解像度が2400dpi×600dpi(HQ1200)で18ppmというプリントエンジンを搭載し、実売は3万円を切る価格だった(定価6万2790円)。一方、このHL-5240は、2400dpi×600dpi(HQ1200)に加えてTrue1200dpi×1200dpiのリアル1200dpi出力が可能となり、印刷速度も18ppmから24ppmへと高速化した。さらに実売価格は2万5000円を切るところまで抑えられ、コストパフォーマンスが大幅に向上している。

多目的トレイの標準装備で最大800枚の給紙が可能に

 HL-5240は本体フロント部の前面カバーの手前に多目的トレイを用意しており、A4用紙50枚をセットできる。この多目的トレイだが、前モデルには非搭載で従来の上位モデル「HL-5070DN」だけに用意されていたものだ。それがエントリーモデルの本機でも利用可能になったことは評価できる。

 本体下部の給紙トレイにはA4用紙が250枚セット可能なので多目的トレイと合わせて標準で300枚、これにオプションのローワートレイユニット(2万6250円)を2段追加することで最大800枚の大容量給紙が可能となる。また、多目的トレイに別サイズの用紙を、給紙トレイにはA4用紙をセットするといったように、トレイ内の用紙を交換せずに複数の用紙を使い分けられる。

フロントカバーを開けると多目的トレイが顔を出す(左)。下段の給紙トレイは250枚までの用紙をセット可能だ(右)。排紙方向はフェイスダウン(印刷面が下)になる

 印刷可能な用紙は多目的トレイではA4、レター、リーガル、B5、A5、A6、システム手帳用紙、封筒(洋形4号、定形最大120×235ミリ)、官製はがき、給紙トレイにはA4、レター、B5、A5、官製はがきをセット可能だ。自動両面印刷はオプションでも用意されないのが残念だが、多目的トレイを利用して手動で両面印刷を行うことはできるようになっている。

メンテナンスしやすいフロントオペレーション

エラー時はLEDの色の組み合わせでエラー内容が分かる

 本機はフロントオペレーション機構を採用し、給紙/排紙やトナーカートリッジの交換といったメンテナンス作業を容易に行える。一方、操作系は本体左上部に配置した4つのLED「Toner/Drum/Paper/Status」と「Job Cancel」「Go」という操作ボタンをあわせたシンプルな構成だ。深刻なエラーが発生した場合は「Job Cancel」と「Go」を同時に押すことで、各種LEDの点灯の組み合わせからエラー内容が分かる仕組みになっている。なお、デフォルトの用紙サイズや給紙モード、印刷解像度などの初期設定はPC側のプリンタドライバでしか設定できない。

 HL-5240はエントリークラスながらCPUを搭載する。この価格帯のレーザープリンタにはCPUを搭載せずOSとドライバで印刷処理を行う製品もあるが、ここまで安価なのにCPUまで搭載しているのは驚きだ。今回実装されたのはNECのMIPSCPU「VR5500」(266MHz)で前モデルのSPARC lite(133MHz/富士通製)から変更されている。モーターや消耗品を含めたエンジン性能の向上とあわせて、より高品位な出力や24ppmの高速プリントを実現しているわけだ。

増設メモリには汎用SO-DIMM(PC133 SDRAM)が利用可能

 また拡張用メモリが入手しにくい100ピンSO-DIMMから144ピンSO-DIMMに変更されたのもトピックだ。搭載メモリ容量は標準で16Mバイト(PC133 SDRAM)で、最大528Mバイトまで拡張可能となっており、本体左側面のメモリスロット用カバーはワンタッチで外せるため増設作業は容易に行える。モノクロレーザーには増設メモリが特殊形状で高価な製品もあるが、HL-5240ではノートPC用のSO-DIMMが利用できるのがメリットだ。

 例えばバッファローの「VN-133」シリーズで、64MBの「VN-133-64MY」なら価格が5000円前後と安く、メモリを増設しても本体と合わせて3万円程度と安価に収まる。もちろん標準の16Mバイトでも印刷できないことはないが、画像を多用した文書や数十ページにおよぶ大量文書を頻繁に印刷する場合は、メモリ容量が足りないと連続印刷時に息継ぎ状態(メモリからのデータを再読み込み)になることがある。本機の高速性を十分に生かすならメモリの増設も検討したいところだ。

 トナーとドラムは分離型で標準トナーとオプションの大容量トナーが利用可能だ。大容量トナーで運用したさいのランニングコストは2円/枚、その後のドラム交換を含めても3円/枚まで抑えられる。印刷可能な枚数は、標準トナーが約3500枚(8562円)、大容量トナーが約7000枚(1万4700円)、ドラムは約25000枚(2万6250円)となっている(いずれもA4/5%印字時)。

フロントカバーが大きく開くのでトナーやドラムへのアクセスは容易だ(左)。分離型トナーを採用するため、手前にスライドさせるだけでトナーを取り外せる(中央)。本体背面のカバーを開けると紙送り機能にアクセス可能だ(右)。紙詰まりが起きた場合への対応は問題ない
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