IDF Japan 2006で紹介されたIntel Mac開発ツールIDF Japan 2006

» 2006年04月07日 23時24分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

 IDF Japan 2006で、Intelは同社が提供する開発ツールのMacOS X対応について明らかにした。

 Intelは、自社のプラットフォーム向けにソフトウェア開発に必要とされるツール類の提供を幅広く行っている。最適化コンパイラ(C/C++およびFortran)、最適化ライブラリであるMKL(Math Kernel Library)とIPP(Integrated Performace Primitives)、スレッド化されたコードのデバッグ・分析ツールであるスレッド化ツール、アプリケーション性能評価ツールのVTuneなどだ。

 IntelはAppleがIntel製CPUの採用を表明した2005年6月の時点で、同社開発ツールのMacOS X対応を表明、β版の提供を行ってきたが、このIDF Japan 2006のタイミングに合わせるかのように、米国時間の4月6日から製品版のリリースが始まった。

 販売されるのは、C/C++コンパイラ9.1(標準価格6万1200円、以下同様)、Fortranコンパイラ9.1(7万2300円)、MKL8.1(6万1200円)、およびIPP5.1(3万1200円)の計4製品。コンパイラ製品にはMKLとIPPをバンドルしたProfessional版も用意されており、格安(差額2万円前後)で合計9万円あまりのライブラリ2種が入手できる。

 MacOS Xに対応したソフトウェアの開発には、Appleが提供する統合開発環境であるXcodeを利用することが一般的だ。Intelコンパイラも開発環境としては、このXcodeを利用する(Windows版がVisutal StudioのIDEに対するプラグインになっているのと同様)。

 XcodeにはGCC/G++コンパイラをはじめとするツール類が含まれているが、Intel製のコンパイラはCPUを作った会社が提供するツールだけに、GCC/G++コンパイラとのソースコードレベルの互換性を保った上で、さらに最適化されたコードを出力することがセールスポイントとなっている(Objective Cとの互換性はバイナリレベル)。

Intel Macの開発環境では選択するコンパイラのリストに「Intel C++ Compiler 9.1」が追加される

 とくにIntelプラットフォームを初めて採用したMacの場合、コンパイラが出力するコードについて過去のCPUとの互換性を配慮する必要がない。ほかのプラットフォーム向けIntelコンパイラには、ターゲットとするCPUを指定するコンパイルオプションが用意されているが、MacOS版にこのオプションは存在せず、最新のCPU(コンパイラオプション的にはPrescott)をターゲットにした最適化(極力SSE命令を利用するなど)が常に有効になる設定となっている。

 IDFのセミナー会場では、Pov-Rayを用いたレイトレーシングを、Intelコンパイラが生成したバイナリがGCCで作成されたバイナリより約20%高速に動作する様子が紹介された。今後、Intelは同社がソフトウェア開発者向けに開催している(有償)ソフトウェアカレッジに、MacOS Xの講座を新設するなど、さらにサポート体制を強化していくとしている。現在は提供されていないスレッド化ツールについても、将来的には提供される見込みだ。

左はIntel C++でコンパイルした実行ファイル、右はGCCでコンパイルした実行ファイル。Intel Coreに最適化したコードを生成するため、このようにパフォーマンスに差がでてしまう

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