HD DVDと地デジチューナーを内蔵した“全部入り”BIBLO――富士通「FMV-BIBLO NX95S/D」2006年・PC夏モデル特集

» 2006年04月11日 13時40分 公開
[田中宏昌,ITmedia]
photo 6月末発売予定の最上位機FMV-BIBLO NX95S/D

 この夏モデルでは、ラインアップを従来の2モデルから3モデルに増やしたFMV-BIBLO NXシリーズ。今回から、下位モデルでもIntel Core Solo T1300(1.66GHz)を採用することで、全モデルでNapaプラットフォーム(Intel 945 Expressベース)に移行を果たしたことになる。

 そのほかの基本的なスペックは前モデルをほぼ踏襲しており、17インチワイド液晶ディスプレイのサイズや解像度、ボディサイズに変更は見られない。

 細かな比較はこちらの記事に譲るが、Intel Core Solo T1300のCPUと160GバイトのHDD、地上アナログ放送に対応した下位モデルのNX70S/W、NX70S/WのCPUをIntel Core Duo T2300(1.66GHz)に強化し、地上デジタル放送にも対応した中位機のNX90S/D、そしてNX90S/Dをベースにメインメモリを1Gバイトに倍増し、HD DVD-ROMドライブを内蔵した最上位のNX95S/Dでラインアップは構成される。実売価格は順に25万円前後、28万円前後、40万円前後で、発売日は前者2モデルが4月27日、NX95S/Dのみ6月末日予定となっている。

東芝のQosmio G30に続き、HD DVDドライブを内蔵

 それでは、NX95S/Dのスペックを見ていこう。まず、新搭載のHD DVD-ROM兼DVDスーパーマルチドライブだが、これは先日発表された東芝のQosmio G30/697HSと同じく、東芝サムスン ストレージ・テクノロジー製のTS-L802Aを採用する。12.7ミリ厚のスリムドライブで、試作機にはHD DVDビデオ再生用にインタービデオジャパンのWinDVD Platinumがプリインストールされていた(製品版では変更される可能性がある)。また、ドライブの仕様は現時点で未定となっている。

photo 左側面手前に内蔵された12.7ミリ厚のHD DVDドライブ「TS-L802A」(東芝サムスン ストレージ・テクノロジー製)。右の写真は試作機にプリインストールされていたWinDVD Platinumで、HD DVD用の設定タブが見える

新たに地デジチューナーを本体に内蔵

 HD DVD-ROMドライブの搭載とともにトピックとして挙げられるのが、地上デジタル/アナログ両放送に対応したことだ。地上デジタルチューナーを内蔵したノートPCは東芝のQosmioシリーズに続く形だが、TVチューナーは地上デジタル/アナログともにピクセラ製を採用する。TV視聴/録画用のソフトウェアは、デジタル放送がピクセラ製のDigitalTVboxに対し、アナログ放送は従来通り松下電器産業製のTVfunSTUDIOを使う。

 TVチューナーは左側面奥に内蔵される。TVアンテナはこれまでと同じように付属のRF変換ケーブル経由で接続する必要があるが、入力端子は1基ですむ。地上デジタル放送用のB-CASカードはタッチパッドの右側に収納されており、工具を使わずに取り出しが可能だ。チャンネルの変更や音量調整は付属の赤外線リモコンに加え、キーボード上部にあるコントロールパネルでも行える。

 地上デジタル/アナログの2番組同時録画を実現しているほか、アナログ放送はインスタントMyMediaを使ってPCの電源を入れずに楽しめる(デジタル放送はPCを起動しなければならない)。ちなみに、夏モデルは録画番組の管理に3D Media Surfingを利用する。従来のMyMediaがアナログ放送のみだったのに対し、この3D Media Surfingでは地上デジタル/アナログを一括して扱えるだけでなく、曜日や時間の時系列、曜日やジャンル別に3D表示でビジュアル的に検索できるのがウリだ。

photo 地上デジタル/アナログチューナー(写真左と中央)は左側面奥に設置されている。写真右はB-CASカードで、タッチパッドの右横からアクセスが可能だ

ボディやインターフェイスは従来機を継承

 AV機能では大幅な強化を果たしたNX95S/Dだが、PCの基本スペックは春モデルの上位機NX90R/Wを受け継ぐ。CPUはIntel Core Duo T2300(1.66GHz)で、チップセットもIntel 945PM Express、グラフィックスチップのATI MOBILITY RADEON X1400 HyperMemory(ローカルメモリは128Mバイトで最大256Mバイトまでサポート)、容量160Gバイトの2.5インチHDDを2基内蔵するのも同様だ。

 スーパーファインDXII液晶と呼ばれる17インチのワイド液晶ディスプレイや、1440×900ドットの画面解像度も変わりがない。数少ない強化点としては、これまで512Mバイト+256Mバイトで構成されていたメインメモリ(PC2-5300)が、512Mバイト×2の計1Gバイトに増量し、デュアルチャンネル動作に対応した。なお、2基のメモリスロットは出荷時にすべて埋まっている。

 テンキーを備えたキーボードや、指紋認証センサー付きタッチパッドも手が加えられていないが、キーピッチ19ミリ、キーストローク3ミリのキーボードはキーを強く押し込んでもユニットがしなることなく、安心してタイピングできた。

photo 17インチのワイド液晶ディスプレイや、403(幅)×295(奥行き)×45.5(高さ)ミリのボディサイズは従来機を継承する。地上デジタル/アナログチューナーは左側面奥に、D1/D2出力端子が背面に並ぶ。もちろん、Windows Vista Capable PCのロゴシールが貼られている

ダブルHDDを搭載しサブウーファーも内蔵

 細かなところでは、専用のLSIを搭載することで映像を色鮮やかに表示するVisualオプティマイザの実装や、TV番組などの画面サイズの選択肢が増えるといった改善も見られる。全モデルでサブウーファーを内蔵するなど、サウンドへのこだわりも健在だ。

 本機の発売は6月末と、Qosmio G30よりもやや遅く登場する予定だ。価格は実売40万円前後(直販のWEB MART価格は39万9800円)とQosmio G30と並んで高価で、CPUや液晶ディスプレイの解像度(Qosmio G30は1920×1200ドット)、HDMIインターフェイスの標準搭載などのスペックはQosmio G30にかなわないが、容量320GバイトのHDD(Qosmioは240Gバイト)やボディのスリムさではNX95S/Dが上回る。

 なお、中位機のNX90S/Dは実売28万円前後、下位モデルのNX70S/Wは実売25万円前後となり、HD DVD-ROMドライブにこだわらないならば、地上デジタル/アナログ放送に対応したNX90S/Dが、コストパフォーマンスの面で狙いめといえそうだ。

photo 底面積はB4サイズに近く、ボディとともにACアダプタも重量が約840グラムと巨大だ(左上)。2基のメモリスロットや2基のHDDには底面から簡単にアクセスできる(右上)。バッテリーは10.8V 4000mAhに容量が増えた(左下)。タッチパッドには指紋センサーが内蔵されている(右下)

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